鳩山政権の「もっとも果たしたい一番大きな思い」とは何でしょう? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

鳩山政権の「もっとも果たしたい一番大きな思い」とは何でしょう?

秘書です。その場、その場にいる人たちが一番聞きたい言葉をいう。たぶん、その時には真剣にそう思っているのでしょう。その誠実さを疑うわけではありません。しかし、これこそがブレを生む最大の原因なのではないのでしょうか。

■「北方領土の日」 鳩山首相、北方領土返還要求全国大会で問題解決に向けた決意表明
(2月7日19:09FNN)
「北方領土の日」の2月7日、鳩山首相は、都内で開かれた「北方領土返還要求全国大会」に出席し、「政権交代後、最も果たしたい思いが北方領土問題の解決だ」と述べ、領土問題解決への決意を表明した。
鳩山首相は「政権交代ができて、この鳩山にとって、いろいろと行いたいことはございますが、その中でも、最も果たしたい一番大きな思いが、北方領土問題を解決したい、その一念でございます」、「2島返還・平和条約などという結論ではありえないんだ。4島の帰属というものを明らかにしなければいけないんだ。そこをスタートラインにしようではないかと」と述べた。
鳩山首相は、大会のあいさつで、祖父の故・鳩山一郎元首相が、1956年に日ソ共同宣言に調印したことに言及して、歯舞・色丹の2島返還という結論はありえないとの立場を強調したうえで、「(日ロの)思いが1つなら道は必ず開ける」と述べた。


鳩山総理が「もっとも果たしたい一番大きな思い」は北方領土返還だったんですね。鳩山民主党政権は「北方領土返還政権」だった。施政方針演説ではどうおっしゃっていたでしょうか。



第174回国会における鳩山内閣総理大臣施政方針演説(平成22年1月29日)

http://www.kantei.go.jp/jp/hatoyama/statement/201001/29siseihousin.html

いのちを、守りたい。
 いのちを守りたいと、願うのです。
 生まれくるいのち、そして、育ちゆくいのちを守りたい。
 若い夫婦が、経済的な負担を不安に思い、子どもを持つことをあきらめてしまう、そんな社会を変えていきたい。未来を担う子どもたちが、自らの無限の可能性を自由に追求していける、そんな社会を築いていかなければなりません。
・・・
経済のしもべとして人間が存在するのではなく、人間の幸福を実現するための経済をつくり上げるのがこの内閣の使命です。
・・・


施政方針演説で「いのち」を使うこと24回。1月29日段階では、「いのちを、守りたい」政権だったのではないでしょうか。

それでは、施政方針演説では、北方領土問題についてはどうふれていたのか?



「ロシアとは、北方領土問題を解決すべく取り組むとともに、アジア太平洋地域におけるパートナーとして協力を強化します」


この表現で、「政権交代ができて、この鳩山にとって、いろいろと行いたいことはございますが、その中でも、最も果たしたい一番大きな思いが、北方領土問題を解決したい、その一念でございます」という思いが伝わるでしょうか?


「人間の幸福を実現するための経済をつくり上げるのがこの内閣の使命です」(1月29日)

「最も果たしたい一番大きな思いが、北方領土問題を解決したい、その一念でございます」(2月7日)


どちらが総理の本音で、どちらがウソなのか、とはいいません。たぶん、ご発言されたときはどちらも真剣に思っているのでしょう。両方とも真剣にいっていることが問題の本質です。

問題は、その真剣さの優先順位が、発言する相手によって変わっていくこと、それが結果としてブレにつながっていること、しかし、そのことは、「世論の支持率が高ければいい」「選挙の勝てればいい」という政府・与党の価値判断基準の中では、まったくといっていいほど問題視されていない、ということにあるように思います。民主党の世論調査至上主義、選挙勝利至上主義のもとでは、民主党の高支持率が変わらない限り、「最も果たしたい一番大きな思いが、●●●●、その一念でございます」の「●●●●」は日替わり定食のように、日によって、聴衆によって、変わる可能性があるのでしょう。