県は3日、10日開会の6月定例県議会に提案する2009年度一般会計補正予算案を公表した。国の経済対策に連動して公共事業や雇用対策、産業基盤整備などの事業を積極的に盛り込み、総額656億1000万円を追加。知事選に伴う肉付けを除き、補正予算としては95年12月補正を137億円上回る過去最大規模となった。

 補正後の一般会計予算総額は前年同期比8・5%増の7848億7100万円。7年ぶり7800億円の大台を超えた。

 歳出では、前倒しや追加で実施する国、県道の補修など公共事業に353億円、雇用対策の拡充に75億円、農林水産業の基盤強化に50億円を計上。蒲島郁夫知事が目指す、産業基盤づくりやソフト事業にも総額176億円を費やす。

 主な財源として、国庫支出金322億8400万円のほか、国の地域活性化・公共投資臨時交付金172億円、地域活性化・経済危機対策臨時交付金86億3700万円を充てた。

 当初予算に計上した県債を、公共事業地方負担分の約9割を補てんする公共投資臨時交付金に置き換えることで、県債発行総額の増加を抑制。147億円を追加発行する補正予算債も、後年度に地方交付税で全額充当されるため、今回の補正予算はすべて国費で賄われる。財政調整用4基金も残高53億円を維持した。

 財政再生団体転落を回避するため財政再建戦略を進める中での積極補正に、財政課は「一般財源を使わず、県債も増やさないことで、財政再建戦略との整合性を図った」としている。

 6月定例会には補正予算案のほか、条例改正案など計14議案が提案される。
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 「よう増えてくれたよ。はちみつば待ってくれとる人に見せたかね」。後ろ足に黄色い“花粉玉”を付け、丸木をくりぬいて作った巣箱に次々と戻ってくるニホンミツバチたち。宮崎県椎葉村松木、養(よう)蜂(ほう)家の那須久喜さん(75)は、活発に飛び回るミツバチの姿に目を細めると同時に、村の養蜂家が壊滅的な打撃を受けた2004年の悪夢を思い起こした。

 この年、村の養蜂家たちの巣箱からミツバチが徐々に姿を消した。那須さんが管理する70個の巣箱もほぼ空き家になった。ミツバチの“集団逃亡”は、今年全国で問題になっているミツバチ不足より一足早く起きた。

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 村で飼育しているのは、在来種のニホンミツバチ。養蜂で主に利用されている外来種のセイヨウミツバチよりはちみつの収量などは少ないが、寒さや病気に強い。ニホンミツバチは気に入った巣箱にしか入らないうえ、環境が悪化したり、天敵のスズメバチに巣を襲われたりすると集団で逃亡することもある。

 04年の激減は「小さいときから70年近くハチを飼っている」という那須さんにも、思い当たる原因がなかった。そんな中、05年に遠い山中に置いていた一つの巣箱にニホンミツバチが入っているのを発見。「宝物のようにして持ち帰った」

 たった一つだけになった巣箱を自宅裏の茶畑に置いた。翌年にはミツバチは2箱に増えた。その後も、下草刈りやスズメバチ退治などの世話を続け、今年はようやく35箱にまで回復。12キロ四方の山林に点在する巣箱を見回り、世話をする日々が続く。

 秋には巣箱一つから5・4リットルほどのはちみつが採れる。はちみつは通信販売で全国に届けられていたが、注文に応えられないもどかしい年が続いた。それだけに那須さんも「ちょっとずつでも届けられそうだ」と胸をなで下ろしている。
 九州地方知事会議(会長・金子原二郎長崎県知事)が2日、武雄市であり、不明瞭な支出などが問題となっている国の直轄事業負担金制度の見直しを求める特別決議を採択した。退職手当や恒久的な庁舎の建築費用を除外し、最終的には制度廃止を求めている。

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 国の直轄事業に伴う地元自治体の負担金をめぐっては、使途の不透明さに加え、出先機関の庁舎建設や職員の退職金に使われるなど支出内容にも批判が相次いでいる。

 決議では庁舎建設費などのほか、ダムなど施設の維持管理負担金を来年度から廃止し、事業採択や実施の際に地方の意見を反映させる制度創設などを要請。地方への権限と財源移譲を進めたうえで、最終的に負担金制度を廃止するよう求めている。

 国は全国知事会の要求を受ける形で負担金の内訳を5月末に各都道府県に開示した。会議では開示内容について、人件費などの具体的な算定方法や考え方が明確になっていないとし、詳細な説明を求めていくことも確認した。

 会見した古川康佐賀県知事は「改革にはいくつかの段階がある。まずは今回の情報開示で明らかになった問題点を改善し、その上で制度そのものの見直していくべき」と、改革の必要性を強調した。

 会議ではこのほか、北朝鮮の核実験への抗議や拉致問題の早期解決を求める決議、要望を採択。国への要望事項として、有明海再生に向けた諫早湾干拓潮受け堤防開門調査のための環境アセスメントの早期実施▽九州新幹線の建設費増加に伴う地方負担の軽減に向けた財源措置の拡充▽新型インフルエンザ対策での医療従事者の補償制度創設や発熱外来設置費用の財政措置─など67項目を決めた。
 島原市の横田市長は2日、43人が犠牲になった雲仙・普賢岳噴火災害の大火砕流から丸18年になる3日の「いのりの日」にあたり、「犠牲になった方々の尊い生命に報い、噴火の貴重な経験を風化させることなく後世に伝えたい」などとするコメントを発表した。

 横田市長は3日、東京での全国市長会議に出席するため、地元に不在。同市長公室によると、この日に市長が島原にいないのは初めてという。同市は追悼式典は開かないが、仁田町の「雲仙普賢岳噴火災害犠牲者追悼之碑」に献花所を設ける。

 コメントで横田市長は「私も先祖伝来の家屋や田畑を流失した被災者の一人であり、新市長として初めての『いのりの日』に島原で追悼したい気持ちは特に強かった。全国市長会議が当日と重なり、現地にいられず申し訳なく思う」としている。上京前日の5月31日、安中地区の町内会や消防団関係者に事情を説明し、追悼之碑などに献花したという。

 市長が不在であることに市民の表情は複雑。大火砕流で知人を亡くした男性(71)は「この日に市長がいないのはやはり寂しい。市長会議の日程をどうにか配慮してもらえなかったのだろうか」と話した。
 県内の私立中2年の男子生徒(13)が担任教諭らから「取り調べ」と称して長時間室内に拘束され、暴力を振るわれたとして、生徒の父親が2日、監禁、傷害などの疑いで県警に告訴状を提出した。県警は受理、今後捜査を進める方針。

 告訴状によると、担任と学年主任の男性教諭2人は5月23日から24日にかけ計約19時間、同級生の持ち物を盗んだとして、学生寮の会議室内で男子生徒を拘束。自白を迫り、あごをつかむなどの暴力を振るった上、盗んだことを認めさせる内容の署名を強要した、としている。生徒は首に約2週間のけがを負い、精神的なショックも大きいという。昨年7月には担任教諭に顔をたたかれ、左耳の鼓膜が破れるけがを負った。

 鼓膜にけがをした際には、生徒の父親に対し校長は謝罪。今回の問題で父親は5月29日に学校を訪れ、校長らに教諭2人の処分を求めたが、明確な謝罪の言葉はなかったという。父親は「子どもは『やっていない』と言っている。子どもが学校に戻る環境をつくるため、告訴に踏み切った」と話した。

 学校側は「事実関係を調査中であり、生徒の今後の円満な学習環境整備のためにも、現段階では回答を控えたい」としている。
 県はこれまで、図面などを印刷して保存してきたが、電子納品に合わせてデータベース化を進める。これにより、膨大な工事記録を後で調べる際の検索効率が向上する。
 一方、建設業者も図面などの印刷、製本にかかる費用を削減できる。パソコン端末で図面を確認できるため、図面を見に行く手間を省くことができる。
 7月以降、県内12の土木事務所がそれぞれ1件以上の工事で電子納品を試行。効果を検証し、来年度以降、段階的に導入を進める。
 県や市町村は2007年度から電子入札を導入してきた。県工事の入札資格を持つ県内業者の約92%が活用しているが、電子納品は国や他県に比べて取り組みが遅れていた。
 建設業は入札改革による競争の激化などから経営環境は厳しさを増しており、自助努力による省力化やコスト縮減が課題となっている。県建設業協会は「電子入札の導入で業界のIT化、省力化はかなり進んだ。しかし、電子納品にどう対応するか、どれだけのメリットがあるかは国発注工事を請け負える業者を除いて、今後の試行状況を検証してみないと分からない」と不安を訴える。
 県は試行に伴う不安を和らげるため「ITアドバイザー制度」を創設する。建設関係のシステム開発に携わっている民間の技術者をIT専門の講師として登録してもらい、各地でIT活用セミナーを開く。
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 福岡市は2日、コンクリート製展望台建設の是非をめぐり議論が続いている名島城跡(同市東区)の公園整備について、反対論の専門家も入れた「名島城址(じょう し)公園展望台の在り方検討会(仮称)」を近く発足させ、当初案を見直す考えを明らかにした。展望台建設の方針は変えないが、デザインなどを再検討。年内にも展望台に関する最終案をまとめ、来年度には公園整備に着手する構え。

 名島城跡は、初代福岡藩主・黒田長政(1568‐1623)が福岡で最初に居城とした“福岡発祥の地”。地元住民の「歴史をしのび、後世に伝えていく場に」との声を受け、市は約10年前から協議し、天守閣を模した高さ15メートルの展望台付き公園「名島城址公園」の整備を計画した。しかし歴史や建築の専門家たちが昨年12月、「コンクリート製展望台は歴史的景観を損なう」として建設中止を申し入れたため、市は工事発注を延期していた。

 市によると、検討会には地元住民や学識経験者だけでなく、建設反対の専門家たちが名島城跡保存を提言するため5月に発足させた「名島城跡顕彰会」(山田専太会長)など市民団体にも参加を要請する方針。年内に4、5回の会合を開いて展望台のデザインや高さ、材質などを決め、その案を基に本年度中に再設計作業を完了させる。

 市公園建設課は「6月中にも初会合を開いて地元や各界の意見を聞き、由緒ある名島城跡にふさわしい展望台を造っていきたい」と話している。
 国の補正予算に盛り込まれた整備新幹線事業費の佐賀県分の事業費は、九州新幹線鹿児島ルートが約30億円、同長崎ルートが約3億円となったことが分かった。鹿児島ルートについて県は、地元負担を伴う建設費の増加理由説明を、国などに求めており、負担に応じるかどうか検討している。

 補正予算では鹿児島ルート全体で425億円、長崎ルート全体で10億円が配分される。県内事業費のうち、県の負担額はそれぞれ3分の1の鹿児島ルート10億円、長崎ルート1億円となるが、経済対策の一環として国が自治体負担の9割を補てんする見通し。

 鹿児島ルートの事業費は、資材高騰などで事業費が約790億円増加。国は今夏までに事業認可変更が必要とし、佐賀など関係自治体に負担同意を求めている。
 国の直轄事業に伴う地方負担金をめぐる問題で、2008年度に佐賀県が負担した国交省関係分約127億円のうち、約9%にあたる11億5000万円余りが、人件費など工事とは直接関係のない経費として使われていたことが、同省の開示資料で分かった。退職金や児童手当、公務員共済組合負担金なども含まれており、使途の不透明さだけでなく、内容についても問題になりそうだ。

 開示資料によると、県が負担した工事費以外の「業務取扱費」は約11億5800万円。内訳は、人件費が10億1千万円、事務費9700万円、事務所建設など営繕宿舎費5100万円となっている。

 このうち人件費の内訳は、退職手当約4800万円があったほか、国家公務員の年金や医療保険事業を行う「共済組合」の負担金として約1億5千万円、児童手当にも約500万円が使われていた。

 事務費では、75%にあたる約7300万円が、実際には何に使ったか分からない「工事雑費」になっていた。

 事業費の正確性にも疑問が出ている。佐賀県の調査によると、筑後川河川事務所佐賀庁舎新築に絡む事業では、事業費と落札価格に大きな差額があるケースがあるが、開示資料では当初の事業費がそのまま記載されている。

 県政策監グループは「工事雑費の内訳や入札額と事業費の差など、分からない点が多すぎる」と指摘。「人件費の負担割合を含め、どんな基準を持っているか、まずは国の基本的な考え方を聞きたい」と、改めて詳細な説明を求める方針。その上で「全国知事会などを通し、制度の改善を国と協議していく」と話す。

 また、農水省も負担金の額を開示したが、佐賀県全体で約14億円という大枠を示しただけで、内訳については詳細な説明がなかった。
 国の直轄公共事業費の一部を自治体が負担する制度に基づき、本県が2008年度に国土交通省に負担した額は118億4300万円に上ることが、同省の発表で分かった。

 職員の退職手当や児童手当、庁舎の営繕費なども含まれており、東国原知事は「理解に苦しむ」と疑問を呈した。

 発表によると、本県負担額は工事費などのほか、出先機関や職員宿舎の補修などを行う営繕宿舎費が2200万円が含まれる。