県はこれまで、図面などを印刷して保存してきたが、電子納品に合わせてデータベース化を進める。これにより、膨大な工事記録を後で調べる際の検索効率が向上する。
 一方、建設業者も図面などの印刷、製本にかかる費用を削減できる。パソコン端末で図面を確認できるため、図面を見に行く手間を省くことができる。
 7月以降、県内12の土木事務所がそれぞれ1件以上の工事で電子納品を試行。効果を検証し、来年度以降、段階的に導入を進める。
 県や市町村は2007年度から電子入札を導入してきた。県工事の入札資格を持つ県内業者の約92%が活用しているが、電子納品は国や他県に比べて取り組みが遅れていた。
 建設業は入札改革による競争の激化などから経営環境は厳しさを増しており、自助努力による省力化やコスト縮減が課題となっている。県建設業協会は「電子入札の導入で業界のIT化、省力化はかなり進んだ。しかし、電子納品にどう対応するか、どれだけのメリットがあるかは国発注工事を請け負える業者を除いて、今後の試行状況を検証してみないと分からない」と不安を訴える。
 県は試行に伴う不安を和らげるため「ITアドバイザー制度」を創設する。建設関係のシステム開発に携わっている民間の技術者をIT専門の講師として登録してもらい、各地でIT活用セミナーを開く。