国の直轄事業に伴う地方負担金をめぐる問題で、2008年度に佐賀県が負担した国交省関係分約127億円のうち、約9%にあたる11億5000万円余りが、人件費など工事とは直接関係のない経費として使われていたことが、同省の開示資料で分かった。退職金や児童手当、公務員共済組合負担金なども含まれており、使途の不透明さだけでなく、内容についても問題になりそうだ。

 開示資料によると、県が負担した工事費以外の「業務取扱費」は約11億5800万円。内訳は、人件費が10億1千万円、事務費9700万円、事務所建設など営繕宿舎費5100万円となっている。

 このうち人件費の内訳は、退職手当約4800万円があったほか、国家公務員の年金や医療保険事業を行う「共済組合」の負担金として約1億5千万円、児童手当にも約500万円が使われていた。

 事務費では、75%にあたる約7300万円が、実際には何に使ったか分からない「工事雑費」になっていた。

 事業費の正確性にも疑問が出ている。佐賀県の調査によると、筑後川河川事務所佐賀庁舎新築に絡む事業では、事業費と落札価格に大きな差額があるケースがあるが、開示資料では当初の事業費がそのまま記載されている。

 県政策監グループは「工事雑費の内訳や入札額と事業費の差など、分からない点が多すぎる」と指摘。「人件費の負担割合を含め、どんな基準を持っているか、まずは国の基本的な考え方を聞きたい」と、改めて詳細な説明を求める方針。その上で「全国知事会などを通し、制度の改善を国と協議していく」と話す。

 また、農水省も負担金の額を開示したが、佐賀県全体で約14億円という大枠を示しただけで、内訳については詳細な説明がなかった。