大阪の弁護士•長野智子(智聖法律事務所) -202ページ目

「なぜ」からはじめる〜キング牧師の場合

なぜ、たった1人の演説を聴くために、25万人もの人が集まったのか





キング牧師-Wikipedia

最後の事例です。1963年夏、25万人もの人が集まってワシントン通りを埋め尽くしキング牧師の演説に耳を傾けました。

その時代、キング牧師だけが偉大な演説家というわけではありませんでした。市民権運動以前のアメリカで、彼だけが苦しんでいたわけではありませんでした。実際、彼のアイデアのなかにはひどいものもありました。

しかし、彼には才能がありました。彼はアメリカを変えるために何が必要かなど説かず、自分が信じることを語ったのです。

人が人を動かし、より大きなものに

彼は“I believe… I believe… I believe…”と語りました。そして彼が信じることを信じた人々は彼の動機を自らの動機とし他の人にも伝えました。

さらに多くの人々に伝えるため組織を作った人もいました。そうして、演説の日に25万人もの人が集まったのです。

集まった人々の動機

その日その時に集まったのは、キング牧師のためではなく全員が自分自身のためでした。

彼ら自身がアメリカに対して信じることのために、8時間バスに揺られてやってきて、8月のワシントンの炎天の下に集まったのです。

その中で、キング牧師は「I Have a Dream」という演説をしたのです。

人々が集まったのは彼のためではなく、自分自身のためでした。かつてキング牧師が信じたことは、すでに人々の自らの動機になっていました。

たった1人が、多くの人を動かすことができた理由

現代の政治家の唱える総合計画と比べてください。それは、誰かを動かすものではありませんね。

自分が信じることを語る人が周りの人を動かし、そして、その周りにいるさらに多くの人を動かすことができるのです。

人は「何を」ではなく「なぜ」に動かされるのです。

「なぜ」からはじめる〜ライト兄弟の場合

ライト兄弟がなぜ飛行機を創れたのか





ライト兄弟-wikipedia

次の例に移りましょう。

20世紀初頭、有人動力飛行は今日のドットコムのようなもので誰もが試みていました。

飛行機の発明者ではライト兄弟が有名ですが、サミュエル・ピエールポント・ラングレーという強大なライバルがいたことはご存知でしょうか。

成功のレシピを全て備えたサミュエル

サミュエルは成功に必要な資金・人材・市場環境の3つを全て備えていました。

5万ドルの資金を陸軍省から与えられ、飛行機の研究をしていた彼は、ハーバード大に在籍しスミソニアン博物館で働いていたため、人脈も豊富です。そして、金にものを言わせて最高の人材を集めました。

市場の環境は良好で、ニューヨークタイムズは彼を追い掛け回し、みんながラングレーを応援していました。彼は、成功のあかつきには、富と名声を得ることを目標としていました。

成功とは無縁そうに見えるライト兄弟

一方、ライト兄弟のオーヴィンとウィルバーは、成功とはまるで無縁のように見えました。

お金がなく夢に挑む資金は、自分たちの自転車店からの持ち出しでした。ライト兄弟の2人を含め、チームの誰ひとりとして大学を出てはいませんでした。そして、ニューヨークタイムズに追い掛け回されたりもしません。

彼らは、大義と理想と信念によって動かされていました。飛行機を作り上げることができたら、それは世界を変えることになると信じていました。

運命のわかれ道

ライト兄弟の夢を信じた人々は血と汗と涙を流して共に働きました。サミュエルのチームはただ給与のために働きました。

そしてついに1903年の12月17日のこと、ライト兄弟は初飛行に成功しました。一方のサミュエルは、ライト兄弟が飛行したことを聞き自身の研究を諦めました。

サミュエルはこうも言えたはずでした、「連中はよくやった、我々の手でもっと改良してやろうじゃないか」。しかし、そうはせず、一番になれず金持ちにもなれず、有名にもなれなかったので、彼は諦めました。

ライト兄弟が成功できた理由

自分が信じていることについて語れば、そのことを信じてくれる人たちを惹きつけることができます。お金も学歴も無かったライト兄弟が成功できたのは、自分たちの研究が世界を変えることになると信じていたからです。

人は「何を」ではなく「なぜ」に動かされるのです。

「なぜ」からはじめる

“WHY”から始める

 

サイモン・シネック氏が提唱した「ゴールデン・サークル」は、円の中心から始まり、すべてが“WHY”から始まるとしています。円の中心には“WHY”があり、そこから円の外側に向かって“HOW”→“WHAT”へと続きます。

 

 

 

 

■WHAT:

 

組織のリーダーは、自分の行動(WHAT)について明確に分かっています。

 

■HOW:

 

ある程度の組織のリーダーは、他とは異なる方法、より良い方法(HOW)を理解しています。

 

■WHY:

 

自分が今行っていることの理由(WHY)を明言できる組織やリーダーはそんなにはいません。

 

 

 

氏は、多くの組織やリーダーが、円の外側から内側に向かう順番で、つまり“WHAT”→“HOW”→“WHY”の順番で考え、行動し、コミュニケーションを図っていると言い、一方で、傑出した組織やリーダーは、円の内側から外側へと向かう順番で考え、行動し、コミュニケーションを図っていると言います。

 

 

 

アップル社はどのように伝えているか?

 

氏はここで、世界的なコンピューター企業であるアップル社のマーケティングメッセージを例にとってこのことを説明しています。

 

 

 

●一般的な企業の場合

 

私たちは、素晴らしいコンピューターをつくっています。(WHAT)

 

美しいデザイン、シンプルな操作方法、取り扱いも簡単。(HOW)

 

一台、いかがですか?

 

 

 

●アップル社の場合

 

現状に挑戦し、他者とは異なる考え方をする、それが私たちの信条です。(WHY)

 

製品を美しくデザインし、操作方法をシンプルにし、取り扱いを簡単にすることで、私たちは現状に挑戦しています。(HOW)

 

その結果、素晴らしいコンピューターが誕生しました。(WHAT)

 

一台、いかがですか?

 

一般企業のほうは、うーん、売り込まれてるな、と遠慮したくなりますが、アップル社の方は欲しくなりませんか?

 

日頃の職場や家庭でのコミュニケーションにおいても、「なぜ」私はこれをあなたに伝えたいのか、本質を掘り下げて伝える努力をせず、

これをやりなさい(What)。こうやればうまく行くよ(How)、などとお伝えしてきてしまっていたな、と感じました。

 

本質を掘り下げて、今後は「なぜ、これをあなたに言うのか」を伝えていきたいと思います。

 

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