「なぜ」からはじめる〜キング牧師の場合 | 大阪の弁護士•長野智子(智聖法律事務所)

「なぜ」からはじめる〜キング牧師の場合

なぜ、たった1人の演説を聴くために、25万人もの人が集まったのか





キング牧師-Wikipedia

最後の事例です。1963年夏、25万人もの人が集まってワシントン通りを埋め尽くしキング牧師の演説に耳を傾けました。

その時代、キング牧師だけが偉大な演説家というわけではありませんでした。市民権運動以前のアメリカで、彼だけが苦しんでいたわけではありませんでした。実際、彼のアイデアのなかにはひどいものもありました。

しかし、彼には才能がありました。彼はアメリカを変えるために何が必要かなど説かず、自分が信じることを語ったのです。

人が人を動かし、より大きなものに

彼は“I believe… I believe… I believe…”と語りました。そして彼が信じることを信じた人々は彼の動機を自らの動機とし他の人にも伝えました。

さらに多くの人々に伝えるため組織を作った人もいました。そうして、演説の日に25万人もの人が集まったのです。

集まった人々の動機

その日その時に集まったのは、キング牧師のためではなく全員が自分自身のためでした。

彼ら自身がアメリカに対して信じることのために、8時間バスに揺られてやってきて、8月のワシントンの炎天の下に集まったのです。

その中で、キング牧師は「I Have a Dream」という演説をしたのです。

人々が集まったのは彼のためではなく、自分自身のためでした。かつてキング牧師が信じたことは、すでに人々の自らの動機になっていました。

たった1人が、多くの人を動かすことができた理由

現代の政治家の唱える総合計画と比べてください。それは、誰かを動かすものではありませんね。

自分が信じることを語る人が周りの人を動かし、そして、その周りにいるさらに多くの人を動かすことができるのです。

人は「何を」ではなく「なぜ」に動かされるのです。