いよいよ、JR各社が来年3月のダイヤ改正の概要を公表する時期が訪れました。例年、12月の第3金曜日頃に一斉に発表されるため、ちょうど1週間程先の話になりそうですが、既に決まっているとある車両の引退について改めて、語ろうと思います。その車両とは・・・
JR北海道のキハ283系気動車。1990年代後半に登場し、札幌~釧路間を結ぶ特急『おおぞら』や、札幌~函館間を結ぶ特急『北斗』(2019年度までは"スーパー"を頭に付けていた)で活躍していた他、札幌圏内のホームライナーや札幌~帯広間の特急『とかち』に使われたこともありました。当初は最高時速130km/hで営業運転を行うことをウリにしていたのですが、2011年におきたあの脱線火災事故を機に運命は変わりました。最高速度の低下、振り子装置の使用停止、そして、新型気動車で、振り子式ではない車体傾斜装置を有するキハ261系への置き換えなどで活躍の機会が減少。既に、廃車になってしまった車両も数多く出ています。先輩にあたるキハ281系やキハ183系よりも早まった引退に未だ、衝撃を隠せずにいます。
全盛期の頃は多客期を中心に、10両や11両といった長い編成で走る姿を見ることができました。ところが、通常運行時の両数は徐々に減らされ、新型コロナウィルスの感染が拡大した現在は、今まであり得なかった5両という短い両数で運行されるようになりました。
全国的に、振り子式で走る特急型気動車は減っていく傾向にあります。今春のダイヤ改正では、JR四国の2000系気動車が引退しました。とは言っても、完全なる引退ではなく、岡山~高知間を走る特急『南風』や高松~高知間を走る特急『しまんと』での営業運転を終えた程度に留まります。特急『うずしお』でデビューし、130km/hでの走行に対応するN2000系や、純粋な2000系の貫通先頭車の一部は引き続き、松山~宇和島間を走る特急『宇和海』や高知~中村・宿毛間を走る特急『あしずり』で営業運転を行っているものの、『南風』『しまんと』からの引退で、半室グリーン車を持つ流線型先頭車や運転台のない中間車が全廃となり、長い両数で走る姿を見ることができなくなりました。
JR四国では、土讃線の線形の特徴などから振り子式の新型車両を導入しているため、まだまだ振り子式特急の活躍を見ることはできそうです。が、JR北海道ではキハ281系の方も予断を許さない状況にあり、今後数年以内に振り子式特急が全て消える可能性も否めません。2年続けての振り子式気動車特急の引退。道東で見慣れたあの顔ももう間もなく、見ることができなくなる日が訪れることになります。