こだわりクラシックonFacebook にご参加下さい!

みんなで楽しく音楽を楽みましょう!

https://www.facebook.com/groups/kodawariclassic

 

 
 早くも7月13日に没後10年を迎えた名指揮者ロリン・マゼール(Lorin Maazel, 1930年3月6日 - 2014年7月13日)、DGが出した39枚組BOX(ただし2000年代に録音したニューヨークフィルのライブ盤8枚が入っていないので完全なコンプリートとは言えない)を聴き直してこの鬼才はまだ十分な評価を得ていないと思った。しかもDECCA/Philips録音やEMI録音の多くが廃盤中、CBS/RCAの録音も一部が入手難という残念な状況だ。
 テラークに録音した11枚のCDも入手が難しくなってきているが、幸いにして全てサブスク(YouTubeミュージック、Amazonミュージック)では聴けるのでここでまとめてご紹介したい。
 

 デジタル初期、CD初期の時代を知る世代にとってTelarcという米国のレーベルはお馴染みです。1977年の設立当初から音質重視のダイレクトカッティングを採用し、翌1978年には米国のレコード会社として初めてデジタル録音を採用(当初は16ビット/50Khz、4チャンネルの独自仕様)を始めました。その後も20ビット録音、24ビット録音、DSD録音と言った新しい技術を積極的に取り入れていましたが、CD/SACD市場の縮小に伴い2009年に事業を縮小、現在は他社の傘下に入っていますがCDの入手は年々難しくなっています。ほとんどのアルバムはサブスクでも配信されているのは不幸中の幸いですが、配信されているのはCD品質の音源のみで、20ビット録音や24ビット録音、DSD録音などをマスターテープにさかのぼってハイレゾで配信するといったことは行われていません。

 

 テラークを有名にしたのは重低音の再生が難しい名録音として有名な1980年のカンゼルの序曲「1812年」ですが、マゼールはそれより前の1978年からテラークに録音しており1991年まで断続的に11枚のアルバム(うち1枚はクリーブランド管のメンバーとの室内楽)を制作しました。これはカンゼルほど多くはありませんが、プレヴィンやマッケラス、ドホナーニなどと並んでテラークのクラシックアルバムの主要アーティストの一人だったと言って良いと思います。

 

 曲目はすでに過去に録音した曲のデジタル再録音も多いですが、ショスタコーヴィッチの5番のようになぜか録音がなかった曲目、リムスキー・コルサコフの交響曲のように珍しい曲目、有名なベルリンフィルとの「言葉のない指環」やピッツバーグ響とのワルキューレ第一幕などマゼールの希望で録音されたと考えられるものも含まれています。いずれもサブスクでも配信されています。Amazonミュージックのアプリでは「 maazel telarc 」で検索するとこれらのアルバムがすぐに出てきます。

 なおマゼールのディスコグラフィーはアイビスさんの下記ページを参照させて頂きました。

 

 

1.

[1978.10.20]ムソルグスキー(リムスキー=コルサコフ編)/『禿山の一夜』/クリーヴランド管弦楽団/クリーヴランド、メイソニック・オーディトリアム/Telarc

[1978.10.20]ムソルグスキー(ラヴェル編)/『展覧会の絵』/クリーヴランド管弦楽団/クリーヴランド、メイソニック・オーディトリアム/Telarc

・YouTubeミュージック

 

・Amazonミュージック

https://music.amazon.co.jp/albums/B0B273X1TG?ref=dm_sh_7803-a2e2-0f9d-2696-962ad

 

2.

[1979.5]ショーソン/コンセール(ヴァイオリン、ピアノと弦楽四重奏のための)/(ソロ・ヴァイオリニストとして)イスラエラ・マーガリット(P)、クリーヴランド管弦楽団より四重奏団:D.マジェスキ(Vn1)、ゴールドシュミット(Vn2)、ヴァーノン(Va)、ゲーバー(Vc)/-/Telarc

 

・YouTubeミュージック

・Amazonミュージック

https://music.amazon.co.jp/albums/B0B5FTXK23?ref=dm_sh_9006-7311-c697-f9ce-c50bd

 

3.

[1979.5.14]チャイコフスキー/交響曲第4番/クリーヴランド管弦楽団/クリーヴランド、メイソニック・オーディトリアム/Telarc

 

・YouTubeミュージック

・Amazonミュージック

https://music.amazon.co.jp/albums/B0B69LDH9N?ref=dm_sh_87cb-1053-2a88-9934-1e108

 

4.

[1980.5.14]ストラヴィンスキー/『春の祭典』/クリーヴランド管弦楽団/クリーヴランド、セヴランス・ホール/Telarc

・YouTubeミュージック

・Amazonミュージック

https://music.amazon.co.jp/albums/B09QHSB59N?ref=dm_sh_33f3-5650-837f-90e8-13035

 

5.

[1981.4.5]ショスタコーヴィチ/交響曲第5番/クリーヴランド管弦楽団/クリーヴランド、メイソニック・オーディトリアム/Telarc

・YouTubeミュージック

・Amazonミュージック

https://music.amazon.co.jp/albums/B0B69K2XMD?ref=dm_sh_a790-7862-ed6e-9c5f-91b69

 

6.

[1981.4.6]チャイコフスキー/『ロメオとジュリエット』、『くるみ割り人形』組曲/クリーヴランド管弦楽団/クリーヴランド、メイソニック・オーディトリアム/Telarc

・YouTubeミュージック

・Amazonミュージック

https://music.amazon.co.jp/albums/B09QWC3JKV?ref=dm_sh_cf22-89d3-b2ed-76f3-c5234

 

7.

[1982.5.10]ベルリオーズ/幻想交響曲/クリーヴランド管弦楽団/クリーヴランド、セヴランス・ホール/Telarc

・YouTubeミュージック

・Amazonミュージック

https://music.amazon.co.jp/albums/B0B2ZP4JMB?ref=dm_sh_dcb1-2ae2-cb6b-b911-eca02

 

8.

[1986.3.17]チャイコフスキー/交響曲第2番「小ロシア」/ピッツバーグ交響楽団/ピッツバーグ、キャルヴァリー米国聖公会教会/Telarc

[1986.3.17]リムスキー=コルサコフ/交響曲第2番「アンタール」/ピッツバーグ交響楽団/ピッツバーグ、キャルヴァリー米国聖公会教会/Telarc

・YouTubeミュージック

 

・Amazonミュージック

https://music.amazon.co.jp/albums/B09HZG6B5W?ref=dm_sh_0805-5562-144a-394c-60247

 

9.

[1987.12.1/3-4]ヴァーグナー/『ニーベルングの指環』オーケストラ・ハイライト/ベルリン・フィル/ベルリン、フィルハーモニー/Telarc

・YouTubeミュージック

・Amazonミュージック

https://music.amazon.co.jp/albums/B09WRP8PS5?ref=dm_sh_05e4-e30a-4a87-0882-7b01e

 

10.

[1990.10]ヴァーグナー/『ヴァルキューレ』第1幕/ピッツバーグ交響楽団(ケーニヒ、ダン、メーフェン)/ピッツバーグ、ハインツ・ホール/Telarc

・YouTubeミュージック

・Amazonミュージック

https://music.amazon.co.jp/albums/B09ZNVFXPV?ref=dm_sh_fb42-7e8e-fbf2-e7a0-d27b1

 

11.

[1991.5.7]ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番・第3番/ピッツバーグ交響楽団(グティエレス)/ピッツバーグ、ハインツ・ホール/Telarc

・YouTubeミュージック

・Amazonミュージック

https://music.amazon.co.jp/albums/B09H8QGLJX?ref=dm_sh_6952-cebe-cd4c-e45e-18560

 
 

 

こだわりクラシックonFacebook にご参加下さい!

みんなで楽しく音楽を楽みましょう!

https://www.facebook.com/groups/kodawariclassic

 

 
イレーナ・メジューエワ ピアノリサイタル

「ショパンの肖像 第3回」

 初めて生で聴くメジューエワ。まず驚いたのが超満席だったこと。「満員御礼」と出ていても大抵は多少の席は空いているものですが(チケットを買ったのに急に来られなくなったのか?販売後のチケットが何かの事情でキャンセルされたのか?)、空いている席が本当に全く見当たらない演奏会はかなり久しぶりです。

 メジューエワのショパンはポリーニに代表されるような「ハッキリ・クッキリ」系ではなく、かといって決して「粘り」はせず特別変わった弾き方をしている訳ではないのですが、「湿り気」のようなものを感じました。英雄ポロネーズや明るいワルツでも10%ぐらいだけアンニュイな気分のショパンです。メトネルを聴くようなショパンとでも言いましょうか。

 ペダリングはやや多めです。ですのでほどほどの残響のこのホールが合っています。サントリーホールは今はピアノソロで舞台のひな壇を上げる設定(←無駄な設定。ピアノの残響が濁るだけで意味がない)になってしまっているのでメジューエワはサントリーホールで聴かない方がいいと思います。

 「ショパンの肖像 第3回」とのことで曲目はショパンの円熟期の傑作ばかりでしたが、中でもソナタの2番で第一楽章のリピートを慣用版の「5小節目の提示部からリピート」ではなく「序奏からリピート」を実行していることを特筆しておきます。ショパンコンクール推奨の「ナショナルエディション(エキエル版)」は「序奏からリピート」を採用していますが、実際は反田恭平氏のようにショパンコンクールの時だけ序奏からリピートし、普段は従来通り提示部からリピートしているピアニストが多いです。

 この点についてメジューエワは著書「ピアノの名曲」の217ページで「私は冒頭のグラーヴェに戻るようにしています。そのほうが全体がより複雑になって、精神的な意味で作品にふさわしいと思うからです。」と述べています。楽譜の譜例をふんだんに盛り込んだこの本はメジューエワがとても考えるピアニストだということが分かります。ぜひお勧めします。

 

 女性ピアニストに最近流行の(?)マイクトークなどは一切なし。プログラムはモノクロ刷りを中綴じしただけの簡素なもの。いずれもメジューエワの意向によるものと思われます。私はとても好感しました。でも下田幸二氏によるしっかりとした曲目解説は載っています。12月にショパンの4回目のコンサートがあるのでまた聴きたいと思います。

 

 

 

「ショパンの肖像 第3回」

2024年6月22日(土)14:00開演(13:30開場)

東京文化会館 小ホール

マズルカ(ハ長調 Op.33-3/ホ短調 Op.41-2)

3つのワルツ Op.34-1、34-2、34-3

ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 Op.35 「葬送」

 

休憩

 

ポロネーズ第4番 ハ短調 Op.40-2

ワルツ 変イ長調 Op.42

バラード第3番 変イ長調 Op.47

マズルカ(変イ長調 Op.50-2/嬰ハ短調 Op.50-3)

即興曲第3番 変ト長調 Op.51

ポロネーズ第6番 変イ長調 Op.53 「英雄」

 

アンコール

 

3つの新しいエチュード~第一番 へ短調

マズルカ ト長調 Op.50-1

ワルツ第6番 小犬のワルツ

ワルツ変ニ長調 Op64-1

 

 

メジューエワのショパンのピアノソナタ第2番は「日本デビュー20周年」記念アルバムにも収められています。「序奏からリピート」を聴くことができますが、この演奏より先日の演奏の方が数段すばらしかったです。

・Amazonミュージック

https://music.amazon.co.jp/albums/B08TMQDC8P?ref=dm_sh_2cf2-abac-0fc4-e8e4-753cf

 

 

ベートーヴェン:
ピアノ・ソナタ 第27番 ホ短調 Op.90、同 第30番 ホ長調 Op.109
同 第31番 変イ長調 Op.110、同 第32番 ハ短調 Op.111、バガテル ト長調 Op.126-5
リスト:
告別(ロシア民謡) S.251、ピアノ・ソナタ ロ短調、夢の中で(ノクターン) S.207、エステ荘の噴水
ショパン:
マズルカ(5曲)(Op.6-2, Op.17-4, Op.24-4, Op.41-2, Op.41-4)
ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調 Op.35、子守歌 変ニ長調 Op.57
ラフマニノフ:
ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調 Op.36、練習曲「音の絵」 ハ長調 Op.33-2、楽興の時 ホ短調 Op.16-4
メトネル:
「忘れられた調べ」 より(夕べの歌 Op.38-6、田舎の舞曲 Op.38-5、波の舞曲 Op.40-5、
優美な舞曲 Op.38-2、祝祭の舞曲 Op.38-3)
ショパン:
ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 Op.58
マズルカ イ短調 Op.67-4、練習曲 嬰ハ短調 Op.25-7、マズルカ ハ短調 Op.30-1
メトネル:
おとぎ話 変ホ長調 Op.26-1

【演奏】
イリーナ・メジューエワ(ピアノ… 1925年製ニューヨーク・スタインウェイCD135)

【録音】
東京文化会館・小ホールにおけるライヴ録音: 2017年8月26日(ベートーヴェン)、2017年11月18日(ショパン)、2018年2月24日(リスト、ラフマニノフ、メトネル)

 

こだわりクラシックonFacebook にご参加下さい!

みんなで楽しく音楽を楽みましょう!

https://www.facebook.com/groups/kodawariclassic

 


 
 ドビュッシーのペレアスとメリザンドと言えば余りにも有名なカラヤン盤は置いておいて、他にあげておかなければならないのは、1962年のドビュッシー生誕100年記念のアンゲルブレシュトの歴史的なライブディースカウのフラン物は異質ながらワーグナーとの連続性を感じさせるクーベリック盤、近年の録音ではピーター・セラーズ演出によるセミ・ステージ形式で演奏された際にライブでハイレゾ録音(SACDハイブリッドとBlu-rayオーディオのセット)されたコジェナーとラトル盤弦楽器以外はすべて1900年前後のフランス製の楽器を用い、弦楽器もガット弦を使ったというロト盤を紹介しておきたい。


・歌劇『ペレアスとメリザンド』L.88 [160:47]
https://music.youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lwJN9iSZyfk9ZRJGl1hCMyMTbPNkzQjAU&si=xD_A5k4hvae_pG_9

ジャック・ジャンセン(ペレアス)
ミシュリーヌ・グランシェ(メリザンド)
ミシェル・ルー(ゴロー)
ソランジュ・ミシェル(ジュヌヴィエーヴ)
フランソワーズ・オジュア(イニョンド)
アンドレ・ヴェシェール(アルケル)
マルセル・ヴィニュロン(医者)
フランス国立放送合唱団(合唱指揮:ジャンヌ・ボードリー=ゴダール)
フランス国立放送管弦楽団
デジレ=エミール・アンゲルブレシュト(指揮)
録音時期:1962年3月13日
録音場所:パリ、シャンゼリゼ劇場
録音方式:ステレオ(ライヴ)

 




 


ラファエル・クーベリック指揮
https://music.youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nq0vgtC5wqjJHO6rd6sAiaIv3oTOXUdIc&si=JE8WJQwVCRWuOoDU

Gedda, Nicolai (Tenor),
Fischer-Dieskau, Dietrich (Baritone),
Meven, Peter (Bass),
Gampert, Walter (Boy Soprano),
Grumbach, Raimund (Bass),
Donath, Helen (Soprano),
Schiml, Marga (Alto),
Weber, Josef (Bass)
バイエルン放送交響楽団および合唱団
録音:1971年11月、ミュンヘン
オルフェオ(輸入盤R367942)






【曲目】
ドビュッシー:歌劇「ペレアスとメリザンド」(全曲)
https://music.youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nZoEclOuGbdNIUllAJC0UGcOgOc0A1igI&si=rYgOX_weywnTdiAE

【演奏】
サー・サイモン・ラトル(指揮)
ロンドン交響楽団、
ロンドン交響楽団合唱団
メリザンド:マグダレーナ・コジェナー(ソプラノ)
ペレアス:クリスティアン・ゲルハーヘル(バリトン)
ゴロー:ジェラルド・フィンリー(バス=バリトン)
ジュヌヴィエーブ:ベルナルダ・フィンク(メゾ・ソプラノ)ほか
【録音】
2016年1月9-10日、バービカン・ホール(ライヴ)、

https://music.youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lt8MniHDvBjYpPAIZJDJhNeSqZqyyC9S8&si=-mTyq3Ibp7okpcnw

【演奏】
メリザンド:ヴァンニーナ・サントーニ(ソプラノ)
ペレアス:ジュリアン・ベール(テノール)
ゴロー:アレクサンドル・デュアメル(バリトン)
ジュヌヴィエーヴ:マリ=アンジュ・トドロヴィチ(メゾソプラノ)
アルケル:ジャン・テジャン(バス)
医師:ダミアン・パス(バス・バリトン)
イニョルド:アドリアン・ジュベール(ボーイ・ソプラノ)
牧童:マチュー・グルレ(バス)
リール歌劇場合唱団
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指揮)
レ・シエクル
【録音】
2021年3月
リール歌劇場、ラ・セーヌ・ミュジカル

こだわりクラシックonFacebook にご参加下さい!

みんなで楽しく音楽を楽みましょう!

https://www.facebook.com/groups/kodawariclassic

 


 今年生誕125年を迎えたフランシス・ジャン・マルセル・プーランク(Francis Jean Marcel Poulenc,1899年1月7日 - 1963年1月30日)は、ピアノの上手だった母親の元で音楽に親しんだが実業家として成功した親の反対でパリ音楽院へ進めず独学で音楽を学んだ。しかし両親が他界し、エリック・サティや、同い年の友人の作曲家ジョルジュ・オーリックの支援を得て徐々に才覚を表す。後にオーリックと、ルイ・デュレ(Louis Durey, 1888年 - 1979年)、アルテュール・オネゲル(Arthur Honegger, 1892年 - 1955年)、ダリウス・ミヨー(Darius Milhaud, 1892年 - 1974年)、ジェルメーヌ・タイユフェール (Germaine Tailleferre, 1892年 - 1983年)と並んで「フランス6人組」と称されるようになる

 オネゲル、ミヨー、タイユフィールの3人はパリ音楽院の同期であり、デュレ、オネゲル、オーリックはエリック・サティらと「新しい若者のためのグループ(ヌヴォー・ジュンヌ)」を結成していた。
 グローリアはクーセヴィツキー財団の委嘱により1959年に作曲された。既に故人であったセルゲイ・クーセヴィツキーと妻のナタリアに献呈されている。初演は1961年にミュンシュ指揮ボストン響により行われた。EMIによる初録音は作曲者監修のもと同じ1961年にプレートル指揮フランス国立管弦楽団によって行われた。
 「グローリア」は小澤ボストンにとっては師のミュンシュゆかりの1曲ということになる。ミュンシュの「グローリア」の正規録音はなかったようだが(初演時のライブ音源がある)、小澤の演奏はプーランクらしい宗教性と軽妙性の両方を持っていて素晴らしい。バトルのソロも曲に合っている。私はこの曲の合唱を歌ったことがあるが(ソプラノは天羽明惠さん、指揮者は失念)、頻繁に入る変拍子がカッコいいと思ったことを良く覚えている。

プーランク:グローリア(ソプラノ、混声合唱と管弦楽のための)
スターバト・マーテル(ソプラノ、混声合唱と管弦楽のための)
●YouTubeミュージック

https://music.youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nkj_VPcAfDWDLC3OkDIU1dydO-SWaHjg4&si=7OrvZJrXj_CsMWU_
キャスリーン・バトル(ソプラノ)、タングルウッド祝祭合唱団(合唱指揮: ジョン・オリヴァー)
ボストン交響楽団、指揮: 小澤征爾
録音: 1987年10月 ボストン

 ミュンシュの初演時のライブをYouTubeで聴くことができる。

 

 

 

Charles Munch conducts the Boston Symphony Orchestra & Chorus Pro Musica Adele Addison, soprano

 

グローリアの楽譜はIMSPLで見ることができる。変拍子を多用していて面白い。

https://petruccimusiclibrary.ca/files/imglnks/caimg/3/37/IMSLP309005-PMLP499558-Poulenc_-_Gloria_(orch._score).pdf

 


 2台のピアノのための協奏曲はプーランク中期の1932年の作品で、前回紹介したオルガンとティンパニ協奏曲(1936)の少し前の作品になる。シンフォニックなオルガン協奏曲に比べるとラプソディックで洒落た作品になっている。
 当時大評判だったラベック姉妹の活きの良いピアノと小澤の合わせ上手が際立つ素敵な1枚だが、フィリップスがデッカに吸収されたせいかこのアルバムは現在は廃盤のようで、2台のピアノ協奏曲のみがラベック姉妹の6枚組BOXの最後に入っている。

プーランク:2台のピアノのための協奏曲
●YouTubeミュージック(2台ピアノ協奏曲のみ)
https://music.youtube.com/watch?v=0cXVKK8H4t4&list=OLAK5uy_mPh5qV2viW_fJ4Xi3FvqY5bXVb00qdJnw


:ピアノ連弾のためのソナタ
:2台のピアノによるカプリッチョ (「仮面舞踏会」 による)
:「シテール島への船出」 (2台のピアノによるヴァルス-ミュゼット)
:2台のピアノによるエレジー
ミヨー:スカラムーシュ (2台のピアノのための組曲)

カティア&マリエル・ラベック(p) 小澤征爾 指揮 ボストンso
録音:1989年

 

こだわりクラシックonFacebook にご参加下さい!

みんなで楽しく音楽を楽みましょう!

https://www.facebook.com/groups/kodawariclassic

 


 今年亡くなり世界中から惜しまれている小澤征爾。私は小澤征爾のしなやかで弾むような、そして決して重くならない音楽が最もその美質を発揮したのはフランス音楽(次いでロシア音楽)だとかねがね思っていた。パリ管弦楽団やフランス国立管弦楽団との相性もよく、パリ・オペラ座でも多くの作品を指揮し、フランスでも人気が高かった小澤征爾がフランスでポストを得ることがついになかったのは大変残念だ。そもそも指揮者としてブレイクしたのがフランスのブザンソンのコンクールだというのも有名な話だ。

 ボストン響などの来日公演も日本のオケの公演も含めてベルリオーズを別とすればフランクもサンサーンスもフランスものは私の記憶にはない。実演ではブラームス、ベートーヴェン、マーラーを中心としたドイツものを振ることが圧倒的に多かったが、これは本人が希望したことなのか? 集客するためのマネジメント側の希望でやむを得ずそうなったのか? ぜひ聞いてみたかった。

 CD録音されたボストン響とのフランクの交響曲もフランス国立管とのサンサーンスのオルガン付きもいずれもこの曲を代表する素晴らしい演奏だが、「名曲名盤500」などの類でこのCDが評判になったのも見たことがない。フランクの交響曲は有名なミュンシュ・ボストン響盤に並ぶ名盤だし、併録されたプーランクのオルガンとティンパニ協奏曲も、プーランクの面白さを私に教えてくれた素晴らしい演奏だ。オルガンはプレストン、ティンパニはもちろんボストン響のファース。 フランス国立管との「オルガン付き」も、この曲にありがちな「ショーピース的」あるいは「こけおどし的」誇張感がない自然体の表現が素晴らしい。
 いずれもYouTubeミュージックなどのサブスクでも聴けるが、CDもまだ入手できるようなのでぜひ手にしてほしい。


セザール・フランク
①交響曲 ニ短調
フランシス・プーランク
②オルガン、弦楽とティンパニのための協奏曲 ト短調

●YouTubeミュージック
https://music.youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lFHlhprWgg4IcN7cGdXmTpESEQPkTdt94&si=zVPx8DdfvE-DGzDy
●Amazonミュージック

https://music.amazon.co.jp/albums/B0180AB0E6?ref=dm_sh_b741-01e5-3135-2926-b4e0d

サイモン・プレストン(オルガン)(②)、エヴァレット・ファース(ティンパニ)(②)
ボストン交響楽団
指揮:小澤征爾
録音:1991年11月、12月 ボストン



サン=サーンス:交響曲第3番『オルガン付』、交響詩『ファエトン』、交響詩『オンファールの糸車』
●YouTubeミュージック
https://music.youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lGCaHFivh4ovhnlI7dDaRXwn8s0GJXV08&si=KSRglsMNA2WaYUIW
●Amazonミュージック

https://music.amazon.co.jp/albums/B07S1Q6VP9?ref=dm_sh_8350-a837-2f60-2768-e841d

フィリップ・ルフェーヴル(オルガン)
フランス国立管弦楽団
小澤征爾(指揮)
録音時期:1985,86年
録音場所:パリ
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)
制作レーベル:EMI