「抜塞」に登場する横屈立ちで行なう掬い受けの解釈例としても考えられる変手法11番「三裏拳」 | 中山隆嗣の「活殺自在」

中山隆嗣の「活殺自在」

武道と癒しを中心に、生き方、日々のことを綴ります。

 昨日の続きです。

 

 ある火曜日の稽古ですが、本来は研究稽古として行なっています。

 

 しかし、昨日のブログでもお話しましたが、宗家杯を念頭に、この日の第1部は「(かた)」についての細かなアドバイスが中心になりました。

 

 ただ、その際のアドバイスに関連し、「形」の分解・解説にも言及し、結果的に研究稽古の要素が入る内容になりました。

 

 その分、時間が長くなり、今日お話しする「変手法(へんしゅほう)」の稽古は少々短くなりました。

 

 しかし、タイトルにも記してありますが、今日お話しする技の場合、第1部で稽古した「抜塞(ばっさい)」に登場する動作の解釈の一例としても考えることができるため、「形」の続き、といった感じになりました。

 

 実際、武技としての「変手法」で意識する身体操作はそのまま「形」そのものにも影響するため、第1部と第2部の連携的な感じで進めることができました

 

 最近の土曜日のように、少年部の道場生がいる場合は難しい内容になったかも知れませんが、本来の研究稽古のメンバーですから、その点の問題は無かったと思います。

 

 しかし、それは意識のことであり、実際の動きとなるとやはり難しかったようで、そういうところは今後の稽古と合わせ、レベルアップを図りたいと思っています。

 

 「変手法」という体系の稽古自体、稽古生全体で言えばまだ経験値が少ないので、基本的な意識を確認するところが多く、その中には今回のように動作自身は経験があるけれど、そこに魂を入れるために、というつもりで行なってもらうことに意義がある、という場合もあります。

 

 今回はそういうつもりで稽古した様子を、当日撮った写真と共に説明していきたいと思います。

 

 まず、「形」に登場する動作について説明します。

 

 タイトルにもそれに関する記述がありますので、このブログをご覧の方の場合はお分かりかもしれませんが、具体的には上のイラストで示されています。

 

 横屈立ち(おうくつだち)」で「掬い受け(すくいうけ)」を行なっている箇所ですが、他流の「抜塞」にも似たような動作があります。

 

 その視点で再度イラストをご覧いただきたいのですが、拳のとこにも赤丸を付してあります。

 

 流派によってはこの箇所を「外受け(そとうけ)」のように行なったり、通常の「裏拳打ち(うらけんうち)」のように、手の甲を下に向け、少し落とし気味に行なうケースもあります。

 

 しかし、千唐流の場合、ご覧のように「縦拳(たてけん)」の状態で用いていますが、こういったちょっとしたことでどういう違いになるのかを考えなければなりません。

 

 それは「形」の分解・解説のテーマにもなりますが、この動作を名称通り「受け」として用いる場合、拳の向きによって脇の締めが異なることを経験します。

 

 武技としての解釈例としては、相手からの「蹴り」に対応する「受け」というのがありますが、「突き」に比べると重く、しっかり下方から掬うようにして受ける場合、上肢のみでなく、身体全体で行なうように意識しなければなりません

 

 そういう時、小指の締めを実践しやすいカタチにすることで脇の締めにもプラスに作用しますが、その場合、「縦拳」の状態する方が容易です。こういうことについては稽古時、道場生自身にやってもらい確認していますが、そういうことを通じ、フォームの妥当性を認識してもらっています。

 

 でも、今日のテーマである「変手法」の場合、この「縦拳」のところで別解釈を行ない、この技の名称に入っている「裏拳打ち」としての用法として用います

 

 その稽古の場合、受ける側は自然体で立ち、仕掛ける側は「正整立ち(せいさんだち)」で立ち、中段を意識した構えで対峙するという定番の状態で行ないます。

 

 

 ということで当日撮った写真の1枚目ですが、前述の状態から「裏三寸(うらさんずん)」を意識し、定番の「右中段追い突き(みぎちゅうだんおいづき)」で仕掛けます

 

 その時、受ける側は上体を捻って躱しますが、そこでは立ち方が「横屈立ち」に変化しています。

 

 受ける側としては、自身の背中をギリギリで相手の「突き」が抜けているという感じになることが必要で、そういった身体操作をイメージで行なうことになります。

 

 しかし、ただ躱すだけではありません

 

 「形」では前述の通り、「横屈立ち」になって時点で「掬い受け」を行なっていますが、それを上の写真のように「裏拳打ち」として行なう、というのが今日お話しする「変手法」11番の技「三裏拳(さんりんけん)」なのです。

 

 その第1撃目が上の写真で、そのターゲットは相手の上肢の裏肘付近になります。

 

 武技としての質を意識すると、自身の肘関節を中心に前腕をどう動かすかということになりますが、そこでは脱力と極めのコントラストをしっかり意識し、「打ち」らしい身体操作を心掛けることが必要になります。

 

 しかし、見ていると動きが固く、スピードも遅くなっています

 

 そこでそういう感じをできるだけ少なくするため、最初の内はあえて「開手(かいしゅ)」で行なってもらいました。具体的には背手(はいしゅ)」になりましたが、「裏拳(うらけん)」の場合、もし当たったらダメージが懸念されますし、手首の脱力がより容易になるようにという配慮からです。

 

 

 ということで話は少し戻りますが、上の写真は相手からの「突き」をギリギリの体捌きで躱した様子を表しています。

 

 このイメージングがきちんとできるようにというところからアップしました。

 

 

 今度は「突き」を躱したところで「裏拳打ち」を放っているところですが、2枚目にアップしたところをアングルを変えて見たところとなります。

 

 1枚前の写真と合わせ、初撃の様子をイメージしていただければと思います。

 

 

 先ほどこの技の名称を記しましたが、そこからお分かりのように、この技は3回「裏拳」を放ちます

 

 上の写真は2撃目となりますが、そのターゲットは肩です。

 

 2回続けて上肢に関係する個所を狙いますが、この連続で「突き」に用いる箇所を不能にするくらいの意識を込めます。

 

 細かなことになりますが、接触時、拳頭がしっかり肩甲骨に当たるようにし、効果を高めます

 

 

 先ほど同様、2本目の「裏拳打ち」を別アングルから撮った写真です。

 

 この画像でお分かりのように、前述した「裏拳打ち」の様子が実践されています。

 

 

 前述のように、この技の名称から3撃目の攻撃が存在します。

 

 上の写真はその様子を表していますが、今度のターゲットは脇腹付近になります。

 

 急所も存在していますが、現実の身体の状況から言えば、浮遊骨付近になりますので、その部分に対する攻撃をイメージしてもらっても構いません

 

 武技としての「三裏拳」の場合、ここまでの連続技をすべて含んで成立しますが、そのためにはそれを一呼吸の内に行なう、ということになります。

 

 ただ、言葉では簡単ですが、実践するとなると、どこかで気が抜け、単に3回連続して上肢を動かした、という状況になりがちです。

 

 その場合、効果に期待できないことになり、武技が形骸化してしまいます。

 

 今回はまだ基本としての位置付けですから、まだ高度なところまでは要求しませんでしたが、今後少しずつ要求をアップしていきたいと思います。

 

 

 最後の写真として、先ほど同様、別アングルから撮った「裏拳打ち」の様子です。

 

 1枚前の写真と合わせ、武技としてのイメージでご覧下さい。

 

 この日の稽古はここで終了となりました。

 

 

 

 

 

 

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