昨日の続きです。
ある土曜日の稽古ですが、先日お話しした通り、少し異なった稽古メニューになりました。
しかし後半、いつもの熱い稽古になり、そのピークは昨日お話しした第3部の組手稽古でした。
今日はこの日の第4部として行なった「形(かた)」の稽古の様子についてお話しします。
具体的にはタイトルにある通り、「二十四歩(にーせーし)」です。
8月の全日本大会では種目によってこの「形」を行なう道場生もいるかもしれないので、そういうことも含め、ポイントについて確認しようというところがありました。
加えて、タイトルにあるように、この「形」が呼吸法を重視した内容になるため、第3部で熱く滾った気持ちを静めるためという意図も含みました。そのことに気付いたかどうかは分かりませんが、呼吸を意識することで気持ちを平静に導くというわけです。
これが研究稽古であれば、そういったことも身体の仕組みと合わせ説明し、戦いの中で平常心を保つための工夫の一つとして理解していることで、役に立つのではないかという期待の上で今後、お話しするかもしれません。
ということで早速本題に入っていきましょう。
稽古時間をあまり取れなかったということで、ブログでお話しすることも少なくなると思います。いつもより短くなると思われますが、予めご了承ください。
上のイラストは「形」の冒頭に登場する「扇受け(おおぎうけ)」の箇所です。
那覇手系の「形」では大変メジャーな技になりますが、呼吸法を伴って行ないます。
土台になる立ち方ですが、上のイラストの状態では「内八字立ち(うちはちじだち)」ですが、ここから1歩進めて「三戦立ち(さんちんだち)」になる際にも呼吸法を伴います。
下肢から絞り上げるようなイメージで行ないますが、そこには骨盤底筋を意識し、横隔膜との連動を図ります。
これがハラを意識する呼吸となりますが、武術体作りのベースにもなります。
まさに呼吸を意識した鍛錬となりますが、きちんとした呼吸法はメンタルを安定させる方法としても理解されています。
この日の稽古の最後にふさわしいメニューになります。
上のイラストは後方に下がりながら「裏拳打ち(うらけんうち)」を行ない、その後、正面に向き直って「中段突き(ちゅうだんづき)」を行なうシーンです。
足元の矢印をご覧になればお分かりのように、「裏拳打ち」の際は「四股立ち(しこだち)」、「突き」の際は「正整立ち(せいさんだち)」になり、いずれも後退しながらということが特徴的です。
こういうところの意識が不足していると、その場で「打ち」や「突き」を行なうような感じになり、「形」の動きの意味が分からなくなっていきます。
一般稽古では「形」の分解・解説を行なう機会は少ないのですが、研究稽古ではなぜそういう動きになるのか、ということを考えてもらうこともテーマになりますので、この段階から動作として指示されたことについては忠実に行なうようにしてもらいます。
また、試合を前提にしても、必要な動作を伴っていなければ減点対象になりますので、細かなことであってもしっかり意識し、実践してもらうことになります。
そして武技ですから、それぞれの動作を極める意識で行なうことが必要で、人によっては拳を置きに行くような動きになりがちな「裏拳打ち」の箇所は、きちんとスナップを活用した身体操作を意識してもらいました。
「二十四歩」は鳥の動きをイメージした「形」になりますが、その雰囲気が感じられるのが「捻り打ち(ひねりうち)」の箇所です。
鳥の羽の動きを念頭に、しっかりした極めがある柔らかさ、といった一見矛盾するようなイメージングと身体操作で行なうことになります。
ここではご覧のように「交叉立ち(こうさだち)」になりながら行ないますが、土台からの動きになりますので、全身の調和が取れていなければ武技のとしての質が低下することになります。
基底面積などの要件から、気を付けないと土台の脆弱性につながる要素がありますので、立ち方のポイントをしっかり確認し、多少のことがあってもぐらつかない状態を実践してもらいます。
その際、両膝の状態に気を配り、この点の締めを意識します。「打ち」を行なう際の全身の捻りと共に膝を意識することでその実現を図りますが、こういうところを「形」で練り、分解・解説の稽古の際に活かすことになります。
上のイラストは「双手手刀交叉受け(もろてしゅとうこうさうけ)」の箇所ですが、ここも柔らかく行ないます。
しかし、それは弱い感じではなく、しっかりした武技のクオリティを維持した上での「柔」でなければなりません。
こういうところが「二十四歩」の難しさですが、行為としてはできても、その奥のあるものを実践する難しさを感じるところになります。
ここでも「交叉立ち」になりますが、前進しながらというところで先ほどの場合とは異なります。
この立ち方の場合、膝のところのコントロールが上手くできず、全体的に腰高になりがちですが、この箇所のように前進しながらこの状態になる時にはその様子が散見されます。
上肢の動きに柔らかさと同時に、下肢の状態にも緩急を意識し、技が極まったというタイミングで土台も極まる、という状態を意識してもらいます。
全身で武技を表現する、といったところになりますが、その動きを使えるものにするため分解・解説の課程があります。そういうことを意識して行なえるようになって欲しいと願っています。
「背手受け(はいしゅうけ)」の様子です。
「形」としての目て見ていなければ、単に手を挙げて挨拶でもしているのかなと思える様子ですが、これも立派な武技です。
この動作が登場するのは最後に近いところですので、気が抜けがちです。そのため、本当に挨拶程度の感じにしか見えないことがありますが、基本的なイメージとしては側方からの「上段突き(じょうだんづき)」を受けた、という意識で行なうことが必要です。
とは言っても、動作として鋭く極めるように行なうのではなく、あくまでも柔らかく、という状態なので、最初のうちはこれが武技なのかといったイメージでやっている人が多いかもしれません。
しかし、これまでお話ししてきたように、武術の「形」は踊りではなく、武技の塊ですので、決して気を抜くことなく、芯の通った動きを心掛けることが大切です。
当日アドバイスしていないことも含めてお話ししてきましたが、これまで稽古した際、意識してもらったことも含めて綴りました。
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