運足をベースに突き・受けを磨く | 中山隆嗣の「活殺自在」

中山隆嗣の「活殺自在」

武道と癒しを中心に、生き方、日々のことを綴ります。

 今日はBBK(ボディバランス空手)の稽古の話です。


 吉祥寺での最後の稽古となるこの日は再び基本を意識し、次のステージに備える、という前提で行ないました。


 とは言っても、その場稽古ではなく移動を伴った内容で、具体的には昨日もお話ししましたが「基本動作(きほんどうさ)」と「基本型(きほんかた)」です。


 今日は「基本動作」のことを中心に綴りますが、千唐流では型や「形(かた)」の前に稽古することになっています。


 基本稽古からはその場稽古→移動稽古と続いていき、その後にくるのがこの「基本動作」になります。


 初学者にとって、「蹴り」は片足で立つため、あるいは柔軟性の問題などから難度が高くなるので、その前段階として運足と「突き」・「受け」だけで構成された「基本動作」を稽古し、その後に「蹴り」まで含んだ「基本型」を稽古するようになっています。


 その内容は4つに分かれ、段階が上がるごとに質的にもアップし、最後には「転身」を含んだ動作もあります。その段階はそのまま実戦に不可欠な身体操作を要求するものであり、基本とは言いながらももっと先のステージにまでつながっている内容を含んでいます。


 今回、最後の稽古としてそういう点を再確認し、次のステージへとつないでほしいという思いで行ないました。最終日、参加者の方に確認すると、ほぼ全員直真塾へ移籍されると思われますので、その前提での稽古という意味もあった、ということです。


四股突き  ここから具体的な稽古の話になりますが、「基本動作Ⅰ(きほんどうさいち)」で特に注目していたのは、左のイラストに示した「四股突き(しこづき)」の箇所です。


 これは流派・道場を問わず、初学者の方に対してアドバイスされることが多いところだと思いますが、立ち方の問題から生じる問題点です。


 立ち方そのもののフォームや、そのことに起因する下肢の脆弱さが浮き彫りになる具体的なケースの一つです。肢の柔軟性とも関係があり、このようなところに問題がある初学者の場合、いくらアドバイスされてもなかなか上手くできない、という典型例の一つになります。


 BBKの稽古生の場合も、長く稽古している方からまだ日が浅い方までいますので、その練度によって様子が異なります。稽古歴そのままに結果が出ていますが、移籍後はBBKより数をこなす機会が多くなりますので、そこからきちんと練ってもらいたいと思っています。


 土台としての立ち方に問題があると、「突き」の部分の集中力にも支障を来たすことが多くなります。


 きちんとした「突き」には、体幹部と上肢の関係を意識し、正しいフォームであることが前提になりますが、例えば拳が上下していたり、方向が内側、あるいは外側になっていたりと、それでは正しく武技としての威力を伝えられません、といった状態になるケースがあります。


 また、上半身が前傾している、ということもよくあるケースで、これは柔軟性とも関係が深いので、アドバイスしてすぐに正しいフォームにする、というのは難しい点もあります。


 この「四股突き」については「基本動作Ⅰ」だけでなく「基本動作Ⅱ(きほんどうさに)」にも登場しますが、その最初の段階では「正整立ち(せいさんだち)」から「四股立ち」に変化させて行います。


 その際、丹田を落とすことになりますが、その瞬間が自身の体重を武技の質に転化する大切なところであり、「基本動作Ⅰ」と「基本動作Ⅱ」のポイントの一つになります。


基本動作Ⅳ



























 続いて「基本動作Ⅲ(きほんどうささん)」の話ですが、大きな特徴は「受け」から「突き」という、2挙動の技を限りなく1拍子に近づけて行なう、という点です。


 両者を素早く行なおうとする場合、どうしても極めとなる「突き」のほうに意識が集中し、最初の「受け」がその役目を果たしていないような状態になることが多くなります。


 しかし、この連続は相手からの攻撃の存在を前提としているわけですから、その段階で自身の身を護ることができなければ、その後はない、と理解しなければなりません。


 単に動作として稽古する場合には意識しにくいことですが、武術としての動きということを念頭に置けば、「突き」と同じくらいの意識で行なうことが必要なのです。


 ですから、「基本動作Ⅲ」を教える最初は拍子のことよりもそれぞれの技を正確に行ない、本来の目的を果たすようにという意識で行なってもらいます。


 それがある程度できたと思われるところで拍子を意識してもらうことになりますが、そうなるとこれまで意識してもらっていたことろが崩れ、前述したようになるケースが多くなります。


 こういうことは、単独で稽古する場合によく見られることです。だからこそ組稽古を行ない、それぞれの技で意識しなければならないことを別の角度から認識してもらい、単独で行なう稽古の場合でもその質をキープしてもらうようにします。あいにく、この日は組稽古まで行なう時間がなかったため、単独稽古の中でのアドバイスに留めましたが、こういう点も移籍後には充実させていきたいと思っています。


基本動作Ⅳ 4








 小さなイラストになりますが、今日の話の最後になる「基本動作Ⅳ(きほんどうさよん)」の一部です。


 前述したように、「基本動作Ⅳ」では転身が入っており、その様子が上のイラストでよくお分かりいただけると思います。


 演武線は「T」字ですが、ご覧のように左右の向きに転身していますので、前後の敵に対しても対応できる基本的な身体操作を身に付けることができます。


 ここでは運足と方向転換、「受け」と「突き」の連続、ということを1拍子で行なうことになりますので、難度は一気にアップします。


 初学者にとっては、「基本動作Ⅲ」で行なう2挙動を1拍子で、ということだけでも難しいのに、転身を加えるとなると次元が異なってきます。


 もちろん、動作だけをなぞるのであればすぐにできるでしょうが、武術としての意識で行なう場合は、全体的な動作も含め、攻防の技が戦いという究極の状況でしっかりと役立つレベルを意識しなければなりません。そこにつながるのかこの「基本動作Ⅳ」ですから、体系としては「基本動作」の最後のほうに位置付けられていますが、実際の稽古では教授順序を工夫して行なっています。


 効果的なレベルアップのためには、それぞれの特性を考え、稽古をアレンジしていくことも必要と考えています。






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