呼吸法を意識して形を練る | 中山隆嗣の「活殺自在」

中山隆嗣の「活殺自在」

武道と癒しを中心に、生き方、日々のことを綴ります。

 火曜日の稽古ですが、「形(かた)「を中心に行ないました。

 

 そのテーマでも2部構成にし、第1部は全員で同じ「形」を、第2部では複数のグループに分け、「形」別にという内容です。

 

 今日の話は第1部の内容になりますが、その中でも呼吸法を意識する部分がある「形」をテーマにしたいと思います。

 

 具体的には「二十四歩(にーせーし)」と「正整(せいさん)」です。このブログで何度も登場している「形」ですが、細かく言えばいろいろなポイントがありますので、その時の状況に応じていろいろなお話しができます。それが稽古の時のポイントにもなりますので、一つ一つを大切にしてもらい、自身のレベルアップを図ってもらいたいと願いつつ、稽古をしています。

 

 まず大前提のところからのお話ですが、タイトルにあるように、呼吸法を意識するというのは、武術体を作るのに効果的な方法であり、稽古では必須のことです。呼吸は武術的なパワーの発現にも必要ですし、その意識での稽古は相手からの打撃にも耐えうる肉体作りにも効果的です。もちろん、戦いに必要なスタミナ作りという側面もありますし、そういった武術として必要な身体の基本を練るにも有効な稽古なのです。


二十四歩 扇受け


















 

 上のイラストは「二十四歩」の最初の動作で、「扇受け(おおぎうけ)」の箇所です。那覇手系の「形」にはよく登場しますが、呼吸法と共に行なうこの動作は、呼吸法と共に「形」を練る、というテーマの典型的なものになります。

 

 両上肢のフォームからは、胸郭部の意識が不可欠になりますが、武術として行なう場合には「ハラ」の使い方も必須であり、呼吸としては腹式呼吸を意識しなければなりません。

 

 一般的に、腹式呼吸というと横隔膜の動きを意識させることが多くなりますが、武術として行なう呼吸法の場合、前述したように「ハラ」という概念が必要になりますので、それだけでは足りません。

 

 今回の稽古でもそうですが、この「形」の場合、全身の締めを意識してもらいます。それは下肢に対しても同様ですが、その動かし方と骨盤の動きを連動させることで、前述の「ハラ」の意識へとつなげます。


骨盤底筋









 

 具体的には上のイラストに示した「骨盤底筋」を意識することになりますが、下肢の動きに連動させてこの筋肉を締めます

 

 その作用は正しい骨盤を作る際にも大切であり、その状態が武技に必要な中心軸の確保の土台になりますし、大切な腰の動きの担保となります。

 

 もっとも、いくら口で大切と言っても、その意味が稽古生一人一人に伝わっていなければ魂は入りません。そこに身体の仕組みをどれくらい理解しているかが関わってきますが、それは個人差があります。直真塾の場合、整体術を生業にしている人もおり、そういう人には癒しと武術の関係から理解できます。しかし、そうでない人の場合、知識はあっても実感しにくいところはあるでしょう。

 

 ただ、何かの機会に活法的な意識で骨格調整の実際を体験してもらい、その後の身体の動きが変わった、という経験をした人は何人もいます。そこから腰の大切さを理解した、という人もいますので、そういうことの積み重ねで呼吸法と骨盤、武技の関係性を少しずつでも良いので理解し、その意識で稽古に励んでもらえればと思っています。


呼吸時の横隔膜・骨盤底筋













 

 さて、また呼吸の話に戻りますが、骨盤の動き、「骨盤底筋」の意識は横隔膜の動きとも連動しています。

 

 その様子を示したのが上のイラストですが、呼吸の状態と横隔膜・「骨盤底筋」の動きと同じになっているのがお分かりいただけると思います。

 

 武術の世界でよく言われる「ハラ」で呼吸するというのは、呼吸のこのようなメカニズムを言っているわけですが、こういうことを経験則として知り、武技に必要な身体作りの基礎としたものと思われます。

 

 身体の仕組みを知ることで、それまでは言われたからやっている的なことであっても、それは身体のメカニズムとして理に適っているものだった、ということが分かってきます。そのことがますますきちんと一つ一つの動作を大切にしなければならない、という思いにもつながってきますが、そういう流れが武術家としてのレベルアップになると理解し、稽古に励んでもらうことを期待しています。


正整












 

 続いて「正整」ですが、特に呼吸法を意識する箇所を上のイラストで示しました。

 

 真ん中に「中段逆突き(ちゅうだんぎゃくづき)」の箇所がありますが、ここは通常通りパワフルに、スピーディーに突きまずか、左右の「中段外受け(ちゅうだんそとうけ)」の箇所が呼吸と共に行なう箇所です。右側の場合、全身を絞るように行なうところから、「絞り受け(しぼりうけ)」とも呼ばれます。

 

 「扇受け」の場合、両上肢を同じように動かしますので、胸郭に対しても同様に作用しますが、上のイラストのように左右別々になれば、実際の動きとしては微妙に異なった影響を与えることになります。

 

 ただ、実際の戦いでは、「扇受け」のように左右同時にというケースが圧倒的に少ないために、呼吸法を伴った鍛錬としても均等に行なうだけでなく、左右別々の場合も意識し、そういう稽古をバランスよく行なうことが必要です。そういう意味から考えれば、同じように呼吸法を伴う箇所にしても、2つのバターンがあっても問題ありませんし、むしろその方が良いと理解します。

 

 「正整」の場合、前進しながら受けるということになりますが、もし「受け」が十分機能せず、自身の身体に相手の攻撃が当たったとしても、きちんと耐えうるだけの身体作りをすることも必要です。武術体というのはそういう意味も含みますので、このような鍛錬を含んだ「形」の稽古は重要です。





 

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