カウンターで倒す | 中山隆嗣の「活殺自在」

中山隆嗣の「活殺自在」

武道と癒しを中心に、生き方、日々のことを綴ります。

 昨日の稽古ですが、4部構成になりました。

 

 第1部は単独で行なう稽古で、今日のタイトルになっていることをテーマに行ないました。第2部は、その技の対人稽古ですが、列を作り、1人に続けて攻撃を仕掛け、それを第1部で稽古した技で返す、という内容です。第3部で防具を着けた自由組手、第4部が「形(かた)」という構成です。

 

 今日は第1部と第2部の模様を合わせてお話ししますが、2つの稽古の模様を綴るわけですから、ご紹介できる技の数は少なくなると思います。あらかじめご了承ください。


互いに構える  第2部の稽古では、決まった相手ではありませんが、左のイラストのように目の前に人がいます。

 

 戦いを想定しているわけですから、きちんと構える意識が必要です。

 

 第1部の場合、相手からの攻撃を前提に反撃するということを単独で行ないますが、目の前に相手がいなくてもその状況をイメージして行なうことが大切です。そのイメージングの質の違いにより単独稽古でも質が違ってきますが、口で言うほど簡単ではありません。そこには明確にレベルの差が現れています。それは第2部で実感することになりますが、まずは単独稽古で技のポイントを理解してもらいました。

 

 その場合、やはり構えの意識が重要で、隙がないようでいて相手を誘うためにわざと少し隙を作る、といった高度な内容を必要とします。このことは技の使い方を理解してもらうため、よく話していますが、まだこの意識が定着していない人の場合、ついそれまでの構えになってしまいます

 

 しかし、今回のように、実際に戦いの場で用いることを念頭に置いた稽古の場合、意識としては必須事項になります。

 

 第1部・第2部を通して、技の設定を実際の戦いでよく見かける「上段突き(じょうだんづき)」としましたが、相手がその気になって攻撃を仕掛けるには、構えを少し下げる、また、前手の威圧感を下げる、といったことが必要になります。

 

 だから、相手からの攻撃を封じるにはその逆を意識すれば良いのですが、パッと見には同じようなことに見えても、そのような意識の違いが質の違いとなって現れると理解しなければなりません。それが実感できるのは、ある程度の経験が必要になりますが、いつもこのブログでお話しするように、まず「」を理解し、その内容を身体に染み込ませるためにそのことを念頭に数をこなす、ということをやってもらいます。第1部・第2部とも、最初の確認はこの構えについてでした。


横屈立ちによる突き  左のイラストは、「抜塞(ばっさい)」に出てくる「横屈立ち(おうくつだち)」による「突き」ですが、最初に稽古した技はこの変形バージョンでした。

 

 具体的にお話ししますと、相手からの「上段突き」を斜め前方に移動して、あえて「受け」を用いずに体捌きでかわします。この場合の「上段突き」については、「刻み突き(きざみづき)」でも「追い突き(おいづき)」でも構いません。

 

 要は上段を狙って突いてきた、ということを前提としており、それを上肢を用いずに避けたわけです。場合によっては上半身を多少前傾させる場合もありますが、それは間合いなどにより調整することになります。

 

 上手くかわすにはギリギリまで相手を引き付けることが必要になりますが、なかなか度胸がいることです。そういった、いわゆる「見えない技」の類は要求してもまだ無理、という人もいますので、この点はあまり強くお話ししませんでした。でも、上級者にも理解してもらえると思ったので軽く触れた上で稽古を進めました。

 

 第1部の単独稽古の際、相手がいないためか、全体的にピリッとしたものがありません。レベルの差がありますので、平均値としてはそうなりますが、そういう様子を見たからこそ、あえて第2部の稽古を入れた、というところもあります。もしそうでなかったら、第1部で稽古する技の数を増やして進めていました。

 

 ただ、全体的に見たら、第2部の稽古を入れて良かったと思っています。やはり目の前に相手がいて、実際に攻撃を仕掛ける、という場面になったら、第1部では今一つだった人の動きが変化したのです。

 

 もちろん、それでも十分とは言えませんが、質的に変化したのは事実ですし、その繰り返しで上達してくるはずです。

 

 こういう稽古では、不確実に動く中での適正な間合いを体得することが必要です。自由組手ほどではありませんが、その前段階として必要な身体感覚になりますので、ここでは矢継ぎ早に攻撃を仕掛けてもらい、目まぐるしく動く中で適正な間合いを掴む稽古になりました。中には「突き」が届かない、あるいは近すぎて十分な威力を得られる間合ではない、といったこともありましたが、そういうことの繰り返しの中で上達する、ということを理解してもらいました。


足刀蹴込み


















 

 続いては「蹴り」で対応するパターンを稽古しました。

 

 イラストをご覧いただければお分かりの様に、具体的には「足刀横蹴り(そくとうよこげり)」です。この「蹴り」を「待ち蹴り(まちげり)」として用いるわけです。

 

 これは相手の「突き」に合わせ、前足で蹴ることになりますが、全員を対象とした稽古ではありませんでした。

 

 というのは、股関節の調子が悪い人がいて、「足刀横蹴り」が無理だったからです。

 

 あえてこの話をしたのは、実際の戦いの場では、自分の体調のことは関係なく行なわれますが、その中では条件が許す範囲内で最大限の力を発揮しなくてはなりません

 

 だから「足刀横蹴り」はできなくても、○○だったら、という意識にならなければなりません。

 

 そこでその人にやってもらったのは、「前蹴り(まえげり)」でした。もちろん、「足刀横蹴り」同様、前足によるものです。

 

 ただ、中途半端な「蹴り」であれば、単なるストッピングになってしまいます。場合によっては、相手の勢いで自分の姿勢が崩れることもありますので、きちんはカウンターを取る意識で蹴ってもらわなければなりません

 

 「足刀横蹴り」の場合、腰をきちんと切ることができれば、使用部位もかかとの側方ですので、それなりの効果は期待できます。しかし、「前蹴り」の場合は質的に問題がある時、姿勢の関係から相手からの「上段突き」がヒットすることもあり、これでは「待ち蹴り」の用を成しません。

 

 ですから、ここでは膝のスナップをしっかり活用し、決して押し込むような感じの「蹴り」にならないよう意識してもらいました。これは相手に対する衝撃の伝え方に関係することになりますが、見た目は同じように見える技でも、具体的な使用時の内容によって異なった技になるのです。

 

 今回、「待ち蹴り」として「足刀横蹴り」を用いた理由の一つは、「蹴り」の特徴から相手が狙ってくる頭部が相手から遠くなるからです。

 

 戦いの際、間合いの取り方は極意の一つになりますが、それが技の特徴から自然に活用できるのであれば効果的です。そういう「理」を理解してもらうにも効果的だったと考えますが、そのことが本当に心の中まで浸透したかどうか、そしてそれが武技として再現できるかどうかについては未知数です。

 

 でも、たゆまぬ稽古の中で、少しずつ浸透してくれば幸いです。




 

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