昨日の続きです。
お話しした通り、今日は体験入門者のこの日最後のメニュー、「その場突き(そのばづき)」の様子を綴ります。
この日、やっと空手らしい稽古になったわけですが、これまでお話ししたように、道場で行なうことは全て武術につながっており、パッと見には関係なさそうでも、その奥ではしっかりつながっているのです。
それを実感するには時間を要するかもしれませんが、そこはじっくり育んでいきたいと思っています。
さて、昨日のブログでは「突き」の際に使用する「正拳(せいけん)」のことをお話ししました。
正しい拳が握れるだけでも戦闘力は何割かアップしますが、それはきんと活用したら、という条件が付きます。
そして武道・武術の稽古ではそのために基礎を磨き、ある程度進んでもまたそこに戻ってくる、ということを繰り返しながら少しずつ上達していきます。
このブログでは、今日お話しする「その場突き」については何度となく繰り返して説明してきました。
しかし、また同じようなことをお話しします。
ただ、そのシーンが微妙に異なるため、細かく見ればこれまでと異なる内容があります。
このブログは2012年から毎日書いていますが、これまでのことを確認すると、基本的なことをテーマにした時のアクセス数が思った以上に多いことに気付きます。もしかすると、ブログの読者の方も基礎の大切さを同様に感じていらっしゃるのかもしれません。
今日はそういう意識に基づき、この日にアドバイスしたことを綴っていきたいと思います。
基本稽古の際、まず意識しなければならないのは土台である立ち方です。何事もそうですが、土台の安定が無ければすべて砂上の楼閣であり、いくら上辺はカタチになっていても質が伴いません。
だからこの日も「その場突き」の稽古に前にまず、上のイラストに示した「内八字立ち(うちはちじだち)」の説明と実践を行ないました。
昨日お話ししたように、当該稽古生の場合、「正拳」のカタチそのものは良い意味で予想が外れましたが、立ち方についてはよくある様子でした。
まず、見た目で分かるのか立ち幅です。「内八字立ち」の場合、イラストの左側のように「一膝一拳(ひとひざいっけん)」を基本とします。
これは自分で確認してもらい、そこから立ち上がって立ち方としてのフォームを整えますが、足裏の操作が曖昧なために上手くできません。
今回は客観的に見たところから、当該稽古生の体格を考慮して私の方で立ち幅を示しましたが、稽古を重ねる段階でそのスタンスを身体で覚えてもらうことが必要です。
しかし、武技の土台としてのポイントは立ち幅だけでなく、つま先の向きも要素の一つで、わずかに内側に向けます。上から見た時、それが漢字の「八」の字に見え、つま先の向きが内側になっているところからの名称になっていますが、そういうところも含め、説明しました。
立ち幅やその形状についての作り方について、「閉足立ち(へいそくだち)」→「結び立ち(むすびだち)」→「平行立ち(へいこうだち)」→「外八字立ち(そとはちじだち)」→「内八字立ち」という順序で作ることもできるという話をし、その上で実際に動いてもらいました。
そこでは「上足底(じょうそくてい)」と「下足底(かそくてい)」を上手く使い分けることが必要ですが、こういう意識を通じ、手同様、足の方の感覚もアップして欲しいと願っています。
こういうカタチを作った上で大切なのが下肢の締めです。これが稽古の際の土台として大切な意識になりますが、その要領について説明しました。
具体的にはまず正しい歩幅を作ってもらった上で内側に向かって絞るように動かし、その状態をキープしたまま今度は外側に絞るように動かします。下肢の筋肉に対してタオルを絞るかのようにするわけですが、言葉で書く、あるいは説明を聞くとできそうで、場合によってはその通りにやっているつもりの人が多いのですが、こういった一見矛盾する様な身体操作というのは手も難度が高く、それによる身体の動き(例えば帯の結び目の移動など)を表面的に真似るケースも出てきます。
今回の稽古でも見られましたのでアドバイスしましたが、初回からきちんと修正されるとは思っていませんので、今回はポイントをまずは頭の中で留めておき、そのことと自身の身体の方と照らし合わせることの必要性を説明しました。
立ち方を理解してもらった上で「その場突き」の稽古になりましたが、基本は「中段突き(ちゅうだんづき)」ですので、そこに集中して行ないました。
その際、上のイラストにあるように四角錘をイメージしてもらいました。
両「正拳」を腸骨の上端に置くようにしてもらい、そこと肩を結ぶ線で正方形を作り、それをベースに四角錘をイメージするわけです。
その頂点を「水月(すいげつ)」として、それに向かって「突き」を放つことになります。
イラストからお分かりのように、そのことで「突き」の様子が三角形の一辺となり、四角錘を意識するならとても強固な構造体になります。
そういう幾何学的な構造をイメージした上で「突き」を行なうわけですが、その際、つい素早く突こうとします。
しかし、そうすることで全身の身体操作が上手く連動できず、弱い武技になります。
こういう場合、まずはゆっくり行ない、動きを身に付け、そこから少しずつスピードを付けるようにします。
その前に「突き」そのものの身体操作についてお話ししましたが、その際に昨日のブログでお話しした「正拳」と前腕の状態のポイントの説明になりました。
「突き」のポイントの一つに、何時「正拳」を回旋させるのかということがありますが、これは接触してからとなります。昔の空手の本では回旋させながら突く、ということを記してあるものもありましたが、実際は接触時に急速に回旋させることで浸透力も含め、威力が増します。
もっとも、接触してからという身体操作については、そこから回旋させながらさらに突き抜けるようにするというところで感覚的に上手くできず、表面で滑るケースもあります。これは当人の身体操作を意識した稽古でカバーできますが、ある程度の経験者でも、そういう風にやっているように勘違いして行なっているケースも散見されますので、今後の稽古を注視したいと思います。
そして、「突き」の直進性ですが、これは前腕の尺骨側を意識した身体操作になり、回旋に関しては橈骨を意識することになります。
昨日お話しした橈骨の延長上に接触点である人差し指と中指の拳頭を持ってくるということはここに関係し、肘関節の構造から言えることです。
こういう話は大切ですので、今後の稽古の中でカタチを変えて何度も説明することになりますが、その時まで少しでも良いので、今回の話を記憶に留めておいていだたけることを願っています。
まだ説明したことがありますが、この時点で2800字を超えましたので、今日はここまでにさせていただきます。
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