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第1章 まず、ちゃんと聴く。
の途中からです
「聴く」と「伝える」の両方を司るのは「観察力」
観察力は、過去の成功体験、失敗体験をもとにつくられている
今は聴いた方がよいのか、今は伝えた方がよいのか、過去の経験を機械学習として自分独自のアルゴリズムを通して、無意識に判断をしている
過去データが多いほど(経験値が多ければ多いほど)、観察力は良くも悪くも強力に働く
→観察力はアンラーンして(一度捨てて)、リスキリング・アップデートする必要がある
「聴く」「伝える」「両立する」の技術を高めるために
「関心」「知識」「経験」の3つがセットで必要
頭でわかったからといって、実際に使えるわけではない(修練型の技術:運転、ピアノ、運動と同じ)
⇔エクセル関数が使えるようになること
・技術を高めるには努力が必要であるがゆえ、関心が無いと途中でくじけてしまう
・実践を続ければ技術は高まるが、効率的に学ぶには知識があった方が遠回りせずに済む
・高い関心と知識があっても、実践しなければ技術は身につかず、評論家になる。「頭でわかる」と、「実際にできる」は違う、雲泥の差がある。とにかく実践して、FBをもらうこと
→さらなる高み、「考えなくてもできる」ステージに進むには自分自身が多様なコミュニケーションを受ける体験も必要(専門家でなければ、多くの管理職には「考えなくてもできる」レベルは不要)
技術は使わなければ衰えてしまうので、高いステージを維持するには定期的な継続が必要
第2章 ちゃんと聴くを分解する
「ちゃんと聴く」と「うまく聴く」
~ちゃんと聴くあり方~
・我慢をしているようだったら、それは聴くではない
・自分とは異なる意見や考え方をもつ相手の話を、我慢することなく、共感的に聴くことはできるのだろうか?
💡ヒント:「肯定的意図」という信念
信念とは、世界に対する思い込み
・信念とは、本来は「自分が何を正しいと信じるか」を意味する言葉
→「これはこういうものである、という思い込み」
・信念は、過去の体験からつくられる
・信念は、無意識に作用する
・100人いれば、100通りの信念がある
・同じインプットがあっても、それぞれの信念を通して生まれてくる気持ちや考えは変わる
人の話を聴こうという場面でも信念は無意識で働く。無意識だからこそ、影響力が大きい
聴くには、肯定的意図という信念が有効。普遍の真理でもなければ正しい考えでもないが、あくまで、聴く際に有効な信念というのが著者の信念
肯定的意図とは
・NLP(Neuro Linguistic Programming、脳と心の取扱説明書ともいわれる)で大切にされている原則
・ロバート・ディルツ氏(NLPの主要な開発者の一人)によれば
「全てのふるまいは肯定的意図を持っている」
「自分とは異なった意見や考え方、社会のルールや規範とは異なった言動であったとしても、その背景には必ず肯定的意図がある」という物事の捉え方
例:「攻撃的」な行動の背後にある肯定的意図は、多くの場合「保護」
「恐怖」の背後にある肯定的意図や目的は、通常は「安全」
「怒り」の背後にある肯定的な目的は、「境界を維持する」ことである場合がある
「憎悪」には、人に行動を起こさせる「動機付け」という肯定的な目的があるかもしれない
身体的な症状であっても、肯定的な目的を果たすことがある。あらゆる症状は、何かが適切に機能していないことを伝えるものとして捉える。身体的な症状は、何かがバランスを崩していることを人に知らせることが多い
→聞き手からは非建設的、非生産的、反社会的だと思えたとしても、その言動の背後には必ずその人なりの肯定的意図があると捉える。つまり、話し手がどう考えても理解できない行動や発言をしていたとしても、その背後には肯定的意図があると考えてみましょうということ
「人が肯定的意図を持てるのは、自分が認識、あるいは共感している部分だけであることを念頭に置いておくことも重要。したがって、意図的に他者に害をなすことを行っている人は、他者を含まない自分自身に対する肯定的意図を持つことが多い」
その行動自体を正当化することではない
「ある行動や症状の背景に肯定的意図があるかもしれない」という事実は、その行動を正当化したり、許容したり、よしとするものではない。肯定的意図と並ぶNLPのもう一つの基本原則は、「ふるまい」を「自己」から分離すること、つまりふるまいを生み出す肯定的意図を、ふるまいそのものから分離することが有効であるというもの
→問題があるふるまいの表面的な表現に対応するよりも、「深い構造」に対応する方が、より尊重され、生態学的で生産的だということ
→ふるまいを変えたり、実行可能な代替案を確立したりするためには、新しい選択が、なんらかの形で以前のふるまいを満たす必要がある
例:攻撃的なふるまいをやめても、ほかに自分を守る方法がない人は、問題を別の問題にすり替えているに過ぎない
→全ての行動の背景には肯定的意図があるとは信じるが、その「意図」と「ふるまい」は切り離して考えましょう、ということ
「もし、罪を犯そうとする人の『行為』を止められたとしても、その背後にある『意図』が満たされなければ、また別の『行為』によって、その『意図』を満たそうとする」
→だからこそ、「意図」に目を向けて、その意図を建設的な「行為」で満たせる方法を考えよう、ということ
信念は相手に伝わる
ビジネスにおいても、相手の発言は賛成できるものではないし、言っている内容に納得できない。しかし、この文句や愚痴が出てくる背景には、部下なりの肯定的意図があるはずだと、発言と意図を切り分けて受け取りに行く。
肯定的意図という信念を持つということは、つまり異なる「意見」をぶつけ合う前に、お互いの「意図」を交換し合おうという意志を持つこと
これは対話で大切になる「あり方」そのもの
現実の場面では、時間がなくて意図を聴いている余裕がないときがある。そのようなときでも、聴くを「やり方」として表現できなかったとしても、「あり方」を体現できれば、それは十分に「ちゃんと聴く」が出来ているといってよい
むしろ、「やり方」としては聴いていたとしても、「あり方」として「どうせこいつはわかってない」「一応聞いておくか」と思いながら耳を傾けているのだとしたら、それは「ちゃんと聴く」ではない
「ちゃんと聴く」というのは、全ての言動の背景には肯定的意図があると信じて目の前の人に関わること。その「あり方」が「ちゃんと聴く」なのだ
自分の中にいる複数の自分の肯定的意図を扱えるようになると、聴く技術が格段に高まる
・自分の話を聴けるようになると、他人の話を聴けるようになる
・自分の中にいる表面的に対立・葛藤・矛盾する複数の自分:「多面性」
自分の中にある多面性を認め、それぞれを大切にする。それぞれの肯定的意図を自分自身がちゃんと聴く。それができるようになると、だれかの話を聴くときも「相手の中にも複数の人格がある」ものとして関われるようになる
「AもBも大事って言っているけど、結局どっちが大事なの?」としかとらえられなかったことが、
「Aも大事ですよね。でもBも大事なのですよね。それぞれについて、もう少し聴かせてもらってよいですか?」
という関わり方ができるようになる
・自分の中の多面性を認められない人には、本当の意味で多様性を認めることができない。自分の中にある多面性を認め、活かしあうことから始まる
信念が適していないとどうなるか
聴くスキルが非常に高い人がいて、
非言語スキル(相槌、うなずき、表情、姿勢、ジェスチャーなど)も
言語スキル(適切な問いを投げかけ、時折論点を整理するなど)も非常に高く、話の解像度もどんどん上がっていっても、この聴き手が
「こいつは馬鹿だからわかってない」
「どんなに頑張ったって成長しない」
という信念を持っていたら、その信念は徐々に漏れ伝わってくる
「すごく聴いてくれているのだけど、何か嫌な感じがする」
「言葉の上ではすごく聴いてもらえているのだけど、どこか気持ち悪さがある」
と、「うまく」聴いてくれるけど、「ちゃんと」聴いてもらっている感じが得られない
・なんでも話して良い雰囲気はあるし、整理はされる。よい課題発見や課題解決につながる話ができるのに、なぜかまた話に行きたいとは思えない
特に、自分のキャリアや内面的な悩みについて相談したいと思えない
→そういった相手は、うまく聴いてもらう相手としての役割を果たしてくれるが、根底に肯定的意図という信念がなければ、話し手はあいまいな話をだんだんと口に出しづらくなる、「この人には何でも話して大丈夫」という気持ちが薄くなっていく
肯定的意図という信念があるかないかは一見わかりづらいが、この信念は間違いなく聴く技術の土台になる
わかりやすい
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