

(紫陽花のお話は続きます)
だけどね、誰にも私を『雨の日を望んで待っている花』には決して出来ないわよ。
だって、やっぱり、私もあなたと同じで、できればお日様の日を待っているのですもの。
私は自分が梅雨の合間の青空の下で生き生きと輝いて咲くのが、夢だし生きる目標なの。
実は、
世の中が私に付けてくれた名前の通り、ほら!『紫』と『花』の間に太陽の『陽』があるでしょ?
『紫陽花』って!人間様は何気なく、私の本心をご存知だったのでは?
だから、命名したのに違いないと思って、この名前に感謝してるの。
そうなのよ、私の生涯の目標は『太陽の似合う花』になること。
どんなに『似合わない』とか『イメージじゃない』とか評価されても、変わらないわ。
全然平気なの。

人間様の誰もが、自由に好きなことを考えたり感じたりして、言い放つ権利があるのですもの。
それはそれで否定しないで認めているわ。
でもね、
私は私なのだから、勝手なイメージを私に植え付けようとして、どんな力を加えて来ても、雨と同じように受け流すだけよ。

ご免なさいね。
私、悪気はないの。
ただ、自分の本当の気持ちを理解できるのは、自分だけだから、自分に正直でいたいだけなの。
そのほうが、私らしく幸福に輝いていられるのですもの。
こんな私だけど、これからも・・・六月の空の下に咲く私を見つけた時、実は『太陽の似合う花』になろうとしている事を思い出して欲しいな。
その上で、これからも優しく眺めてくれると嬉しいわ。

そして、せめて・・・雨をうっとうしいと感じる人間様たちにとって、ほんの少しでも私の姿を見た時に、気持ちが明るくなって安らぐのならば、雨に打たれたままでも喜んで咲くわ。だって、私の本心の通りに『紫陽花』と名前を付けて呼んでくださる人間様たちですものね。」
「まあ!そうだったの。分かったわ。」
わたしは反省も込めて了承しました。
すると、
「ありがとう~嬉しいわ。明日も自分の思い通りに咲くつもりよ。ああ~、お日様!輝いてくれるといいなあ~!」
紫陽花の彼女は、夢見るように嬉しそうな雰囲気で小首をもたげて、雨空を見上げ囁きました。
その花姿は先ほどよりも、もっともっと秀麗で上品で凛としています。
こうして、散歩道で紫陽花の独り言を聞いてしまいました。

『そうか、わたしは偏見や予断の虜にされていたんだ。それでも、紫陽花の彼女はそれを甘受しながら、楽しく咲いてたんだ。美しく咲いてくれてることに感謝しなくっちゃ。』
そんな実りある雨の日の散歩道でした。
それにしても、雨の中でもなんと高貴な花なのでしょうね。
紫陽花自身にとって、雨の日が好きか否かは別として・・。
(完)
拙著「夢の散歩道」より抜粋



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(The above is written by ゆうゆ)