「お米の兄弟」後編 | 春夏秋冬~自然と共に生きる幸せ♪

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「お米の兄弟」後編

やがて、暑い夏がおわり、さわやかな秋のお空になってきた頃です。
黒い雲(くも)が、お空で、どんどん大きくなって広がり、お空が暗(くら)くなりました。
大きな台風(たいふう)が、きたのです。
兄弟は、台風のいじめにあいます。
ふたりの頭は、どしゃぶりの雨でぬれて重くなります。
体は、風で飛ばされそうになります。
立っているのがやっとです。

あまりに強い風に殴(なぐ)りたおされて、地面(じめん)に、ぐったりした弟を見て、兄は思わず言いました。
「だいじょうぶかい?」
弟は答えました。
「兄さんも、大丈夫なの?ぼく、水で根っこが抜けそうだよ?」と。
すると、兄が言います。
「大丈夫だよ。ぼくにつかまって立ってごらん。」
「ありがとう、兄さん。ぼくが立てたら、次は、ぼくが兄さんをささえるよ!」
こうして、稲の苗の兄弟は、たがいに助け合うようになりました。

おかげで、ふたりとも、台風(たいふう)に、負けないで、持ちこたえることができました。
台風が、遠くへ去(さ)った後、お空にはお日さまがまぶしく光りながらほほえんでいます。
それを、ふたりで仲よく見上げて、にっこり!とした兄弟は、ふたりで思わず顔を見あわせました。
でも、おたがいに、ツンツン!ツンツン!と、競争していたことを思いだしてしまいます。
ふたりは、なぜか、はずかしくなりうつむいてしまいました。

それでも心のそこから、気がつきました。
『仲よく助け合えば、生きていけるんだ!』ということをです。
ですから、もう一度、そっと顔を見合わせます。
おたがいに、ニコニコの笑顔(えがお)で言います。
「これまで、ごめんね~!」
「ぼくのほうこそ、ごめんね~!」とあやまり、仲よくする約束(やくそく)をしました。

秋の気持ちのよい風が、稲穂(いなほ)の兄弟の顔をなでるころになりました。
おたがいに、思いやりができるようになったふたりは、黄金色(こがねいろ)の、それはそれはりっぱな稲穂(いなほ)になっていました。
ふさふさと、お米の実を、頭のところに、いくつもいくつもつけています。
そして、豊(ゆた)かに輝(かがや)いています。

こうして、ふたりは、いつの間にか、ツンツン!ツンツン!として、上へ上へと向けていた頭を、ゆったり!ゆったり!と、けんそんに垂(た)れ下げていたのでした。
 「実るほど頭を垂れる稲穂かな」

(完)
拙著【心に優しいプチ童話集】より抜粋

いつも、ありがとうございます♪命に感謝して、今日一日を大切に暮らすように努力中です!Anyway smile♪」
(With gratitude from ゆうゆ)

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