救世主教会の鐘がなる | あるバレエママの告白

あるバレエママの告白

バレエしている息子のこと。それを母として観察する私が考えたこと。デンマークの暮らし、教育などなど、ふと頭に浮かんだことをそのまま書いてます。

一昨日のことですが、夕方家を出て、コペンのオペラハウスの裏口の方にある、Takkelloftetと呼ばれるミニ劇場で開催された映画鑑賞会に行ってきました。


上映されたのは、去年亡くなられたデンマークバレエ界大御所の人となりが紹介された『舞踏博士』と言うタイトルのドキュメンタリー映画でした。


最近、確実に日脚が伸びているデンマークですが、夕方は18時(6時)ともなれば真っ暗で、そんな時間に家を出るのは好きではなく、直前まで迷ったのですが、尊敬するエリックさんのドキュメンタリーをどうしても観たくて行くことにしました。


帰宅は22時を過ぎてしまうのは確実だったので、主人と息子の夕飯は温めさえすればいいように食卓に準備して、自分は適当にサンドイッチをつまんで出発しました。


息子の帰宅を待って、19:30分に食事をする習慣がついているので、18:00時だとまだ夕食には早すぎてお腹が空いていません。


今はメトロが線路の延長工事のために一部止まっているので、別のルートで行かなければなりませんでした。


コペンハーゲンはデンマークの首都だけど、街の中心でも冬の夕方ともなると、シーンと静まり返ってしまう場所があります。危険を感じることはなかったけれど、慣れない運河沿いのルートを早歩きでオペラに向かいました。


子どもの頃、冬の夜に、父と兄と3人でジョギングをすることがあったのですが、その時と同じ香りがそこに漂っていました。


(本当にここコペンなの?)懐かしいその香りに包まれて、明かりが少なくほぼ真っ暗で、通る車もない、すれ違う人もほとんどいないその通りを、急足で真っ直ぐ、子どもの頃やはり真っ暗だった東京の裏通りを父と兄に取り残されまいと一生懸命走ったことを思い出しながら、ちょっと不安な気持ちで進んでいたら、教会の鐘がなって、それがとても美しくて聴き入ってしまいました。


そこは古い街並みの通りだったので、タイムスリップしたような気分になりました。


運河沿いの通りを抜けて、いつも歩いているコペンのインナーハーバー沿いの通りまで出ると、隈研吾さんの建物が見えて来ました。


周りはまだ建築途中だけど、もう入居している方々がいるようでポツリポツリと明かりが付いていて、中の家具がみえました。



会場に到着するとエリックさんファンの「バレエ友の会」の皆さんが既に沢山集まっていました。


ドキュメンタリー映画は2002年に作成されたものに少し手を加えたものでした。


比較的裕福な幸せな家庭に生まれた生粋のコペンハーゲンっ子だったエリックさん。子ども時代、パントマイム劇場、王立劇場でのバレエとの出会い。批評家になった経緯。プロの批評家としての信念。パートナーとの出会い。パリでの生活を追いながら、バレエに関わり続けた彼の人生が扱われたドキュメンタリーで、実は以前どこかで一度観たことのある作品だったことがわかりました。


でも、たとえ映画とはいえ、バレエや自分の人生についてあの独特の口調で語るエリックさんにまたお会いできて嬉しかったです。


帰りは同じ道を、行きの倍の速さの早歩きでメトロの駅に向かいました。


その時です。21時を過ぎていたのに、教会の鐘が、パッとタイトルは思い出せなかったけれど聞き馴染みの讃美歌のメロディーをはじめから終わりまで丸々奏で始めました。


事情を知らない私にはそれがとても不思議な体験で、鐘の音が「安心しておかえりなさい」と私に特別に語りかけてくれているように感じら、ホッとして歩く速度を緩めました。


電車の本数が少なくて、帰宅出来たのは予想通り22時頃でした。お腹がペコペコで、残っていた夕食を爆食しちゃいました。


後から調べてわかったのは、私が聞いた鐘の音は、観光名所の一つ、救世主教会の有名な鐘の音で、午前8時から深夜0時まで毎正時にメロディーを奏でるだけでなく、伝統的な日常のお祈りの時間、9時、12時、15時、18時、21時に、季節の讃美歌などが自動的に奏でられるようになっているという事です。


偶々通りかかった私には、マジカルでポエティックな鐘の音体験だったけれど、あれが毎時間、来る日も来る日もとなると、正直、近所に住むのはどうかなぁ〜?です。それとも意識しなくなるのかなぁ?でも、それなら偶に聞いて(なんだこれ〜)って驚かされる方がいいか……


なにが書きたいかわからんブログになりましたが、この辺で終わります。


最後にところでエリックさんって誰?と言う人のために、彼について以前書いた記事を貼り付けておきます。

https://ameblo.jp/mwins/entry-12820201489.html