鳥羽沖で貨物船と遊漁船の衝突事故があった。
事故の海域はアジ釣りの漁場、野人もよく客を案内した海域だ。
船長を入れて13人のうち2人が溺死、2人が重症、6人が軽傷。
錨を打って操業中の遊漁船は全長15m・16トン、貨物船は72m・500トン、長さでは5倍だが、重さでは30倍だ。
遊漁船の船体は真っ二つに折れ、全員が水温15度の冷たい海に投げ出された。
行方不明だった一人も潜水士が発見、漁船に引き揚げられたが心肺停止だった。
低体温に耐えるのは恐怖だったろうが、周囲に釣り船がいたことで犠牲の拡散が防げた。
野人も船乗りであり職業潜水士だった時期、東シナ海で捜索活動に従事、遺体を抱いて浮上したことがある。この時も海難事故で3人が命を失った。
今回の事故原因は明らかに「貨物船の見張り不十分」が主因であり、操船していた21歳の女性2等航海士が逮捕され取り調べを受けている。
会場衝突予防法では義務が詳細に定められている。
交錯船、行き合い船、優先、回避義務など多様だが、一方的ではなく回避義務は双方にある。それは道路交通法も同じだ。
貨物船の実際の航路を見たが、尋常ではなくその記事にも書いてあったように相当陸寄りを航行、沿岸漁場を横切ろうとしていた。 設定通りなのか逸れたのか、危ないコースだ。
コースは船長の指示か舵を握っていた航海士の判断かもわからないが、見張りが十分で操船技術があれば避けられる、しかし波を立てる貨物船が漁場の中心を走れば遊漁船は錨が外れたり揺れたりして迷惑する。
貨物船の船長が何処まで把握していたかわからないが、船長の責任重大だな。
操船していた経験が乏しい21歳の航海士を一方的に責めるのは酷だと思うが法律は曲げられない。
貨物船が回避行動をとらない場合、遊漁船が判断して回避しなければならないが、錨を打っていたら回避は困難。大半は貨物船の責任になるだろう。
野人もこの海域で錨を打って遊漁した回数は数えきれない。
海に道はないのだから他船は必ず近づき側を通る。
その中で必ず心がけていたことがある。
それは接近する船は必ず意識すると言うことであり、それが乗客の安全を守ると言うことだ。
近づいてくるのは貨物船だけでなく漁船、モーターボート、ヨットなど多様。
注意することは一つ、こちらを認識しているかどうかだ。
錨を打っていなければ間際になっても簡単に逃げられるが、打っていれば通常は困難。網上げ中の漁船はまったく動けない。
警笛を鳴らしても相手が気付くとは限らず、操舵室に不在か、トイレ中か、体調不良か、それらも考えられる。
とにかくタイムリミットの前に回避するには、野人は錨を打ったまま走る。
海底が砂地であれば全速後進で簡単に外れそのまま後進する。
岩に錨がしっかりかかっていれば前進で外してそのまま直進する。
真っすぐ走ればプロペラにロープが絡んで最悪。
アンカーロープに対して斜め前30度で全速前進をかければ、錨は外れ水の抵抗でロープと錨は一気に海面に飛び出て船の横に付いて来る。
今回の事故では判断も行動も船長の出る幕はなかった。
犠牲者は恐怖の乗客と、悔やみ続ける若き女性航海士。
法的責任はともかく、本当の事故原因は双方の船長の慣れと油断、どちらか一人の判断で事故は裂けられた、野人はそのように考えている。
他力本願で生命は守れない。
最終判断は法規ではなく、自分自身の判断と技術だな。





