東シナ海流91 海底火山で火傷する | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

NHKから船のチャーターと打診があった。

番組名は「新日本紀行」、依頼内容は海底火山の噴火口の探索で噴火口から湧き出る泡「エアーカーテン」を撮影したいと言う。

 

国内初の画像と言うが、野人もそんなものは見たことがない。

何時噴火するかわからない活火山の噴火口に潜る人はいない。

そんな危険な業務は断るのが当然、ダイバーに何かあれば困るが引き受けた。

正確な位置はわからないが、海底の噴火口に心当たりはある。

 

トカラ列島を走り回って海況はだいたい把握している。

海が硫黄分で黄色く染まっているのは硫黄島だが、噴火口の位置はわからず、潜っても視界が悪くて見つからないだろう。

硫黄は出ていてもエアーカーテンがあるかどうかは不明だ。

 

透明度抜群で、しかも噴火口らしきものは諏訪之瀬島しかない。

何故噴火口と予測出来るのか。1年間住んで海底調査し続けたからで、この島の活火山は噴火を繰り返している。

たまに海面に気泡が見えるし、ガスの臭いもかすかに感じる。

音響測深機も噴火口らしき形状を示している。

 

ただ潮流が速く、流れが緩んだ時しか潜れない。

噴火口と言っても大きく、エアーカーテンがある正確な位置はその海域で探さないとわからない。

一番の脅威は急激に落ち込む巨大ザメの海域と言うことだ。

 

目的の映像が撮れるかどうかは野人の本能の嗅覚次第でプレッシャーをかけられた

誰も撮影したことがないという「海底活火山の噴火口」・・・

そこから噴き出る溶岩・・いや、煙・・つまりエアーカーテンと言う無数の泡を撮るのだ。

 

そんな物騒なものを撮りに秘境の海の底まで命懸けで行くモノ好きもいない。

海底だからお湯になっていなければカモメのように上から近づけるが、陸なら熱くて噴火口には入れない。

噴火したら海の底で「潮汁」か「石川五右衛門」になってしまう。

潮流があるから熱湯ではないだろうし、せいぜい良い湯加減かもな。

 

準備して片道8時間、諏訪の瀬島の目的海域に向けて一湊港を出港した。 目指すのは溶岩が海へ流れ込み草木一本生えていない「須崎」沖だ。

 

到着して音響測深機と睨めっこしながら、窓から顔を出してくんくん臭いを嗅ぎながら噴火口の探索が始まった。

潮流がぶつかり荒れる海域だが、この日は風が弱く海は凪、潮もそれほど速くなく絶好の条件だった。

 

野人の嗅覚が反応、その海域を集中して探索、細かな気泡が視認出来た。

音響測深期は潜水限度まで微妙な水深を示していた。

噴火口は急激に落ち込んで相当深く中心までは潜れない。

つまり実際に潜って泡の場所まで行けるかどうかだ。

 

急流ではないが流れはありエアーも45度角で海面に出ている。

計算すればエアーカーテンの位置が特定出来る。

エアー発生地の予測深度は35~45m。長時間は潜れない。

 

NHKのカメラマン二人が潜水の準備を始めた。

装備が物々しく、これでは身動きが取れずサメには対抗出来ない。

 

確認の為に野人が先発潜水、普通のパンツで飛び込もうとすると・・NHKダイバーが・・

 

「そんな恰好で・・?」と驚く。

 

逃げ足第一 安全第一じゃグラサン

 

飛びこむ前にレギュレターを装着したタンクを海に放り込み、背負わずに・・片手で抱えてそのまま一気に潜った。

行って確認して帰るだけだからこれで十分。

水深30mまで一気に潜り、エアーカーテンを探しに火口に向かって40mまで行ったが見当たらない。

パンツ一枚で40m潜った人はいないだろうな。

 

30mラインの緩い傾斜を進むと細かい泡が出ているところが一カ所あった。海底は泥状で魚もいないからサメも来ないだろう。

熱湯ではなく、周囲よりも温かく丁度良い湯加減だった。

 

浮上して発見のⅤサインを出すと船上で「おお~~~ビックリマーク」と歓声が上がった。

グンゼの綿パンは水の重さとゴムの弱さに耐えきれず途中でずり落ちてどこかへ消えたが、フリチンでも気にしない。

 

続く・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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