陸地の生命活動において、植物が受け持つ機能は幾つかある。
一般的には、動物に住処と食べ物を供給、酸素を生み出し表土の保水だが、ここで話す一石三鳥はその追加だ。
しかし一般的ではなく、誰にも知られることなく機能を破壊され続け、人類だけでなく他の生き物、地球にまで大きな負の遺産をもたらした。
植物が生長するのは自らの為だけでなく「土壌浄化」の役割も担っている。
それは植物族が海から陸への進出以来、変わることのない仕組み。
この仕組みなくして植物族の繁栄も動物族の繁栄も成し得ない。
植物族は海とは環境が異なる陸に海と同じ仕組みを築き上げた。
海洋生物が海で誕生、海で消滅するように、陸の生物は表土で誕生と消滅を繰り返す。
消滅失くして誕生はあり得ず、最も重要な仕事だ。
つまり植物族は、自らの生長・繁殖と土壌浄化と廃棄分散を同時にこなし、生きることで大地の大掃除とゴミ捨て、リサイクルの下準備を同時にやっている。
健全に生きることと大掃除の境界は植物しかわからず、今も探求中だ。
細胞として正常か異常かの境界は、動植物が普通に循環していれば正常の範囲であり、特に死骸や残骸などの有機物や、異物が異常に表土にあれば大掃除・廃棄に取り掛かる。
異物とは通常の循環ではあり得ない物質、つまり土中に投入された有機肥料や堆肥、薬物・化学物質などの「人間の産物」であり、植物としては想定外だがこれらはすべて廃棄物に入る。
植物は根から吸い上げる成分を選ぶことは出来ず、水に溶解すれば放射能だろうが有毒化学物質だろうが無条件に吸い上げる。
浄化・廃棄を使命とするからであり、喜んで育つわけではない。
無条件に吸い上げる性質がわかっているから人間は有機肥料よりも吸収が手っ取り早い窒素・リン酸、カリなどの化学肥料を発明した。
通常の循環で育つ植物と異物を吸い上げ肥大する植物。
「植物の仕組み」としてはどちらも正常であり、「動物の食材」と考えるなら、前者が正常であり後者は異常、つまり毒ではないが食材としては不適格。
食べて問題はないが、長期間それしか食べなければ動物は心身の維持がやがて困難になる。
異常肥大は野菜果物だけでなく肉や肉製品も同じ。
人間、及び人間が関わったペットや家畜などの動物はこの状況に陥っている。
またそれらの生産の為に表土はすべて破壊され、浄化されない汚水による河川や海洋汚染が加速している。
人間の野菜畑と違って草が密生する理由は、根がスクラムを組んで浄化槽の役割を果たすようになっているからであり、「栄養を奪い合う」「除草」などの人間の道理は植物・根の役割を理解していないからに他ならない。
道端であろうが野山であろうが草の根は必ず絡み合い完全な仕組みの浄化槽を表土に築き上げる、自らも、他の生き物も共に生きて行けるように。
農業の苦労、辛さは、繰り返す耕起と除草と害虫との戦いだ。
人間はそこに知恵を使い、重機や除草剤や農薬の開発を続けた。
本来はさほど必要ないものであり、腰が曲がる、肌が荒れる、体を壊すなどの弊害もなかったはず。
交配により自然界から素晴らしいものを生み出したのだから、その知恵を彼らに向けてやればよいが、さらに自らの欲に向けるから方向を誤る。
虫や鳥達との協生、多種の草が絡み合う協生、表土構造における多くの生き物達の協生。
人間は農業がもたらした定住生活以来、縄張り争いが絶えず、今も続いている。
破壊を続ける人間に欠けているものは「協生」の理解と心ではないだろうか。
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