マリンビレッジの地主であり家主である株式会社「ゴーリキ」の強力会長は、同じ大学の2年先輩で野人はいつも「オサムちゃん」と呼んでいる。
海洋学部、船舶工学科を出て設計士となり家業の造船所を継いでいたが、お野人は船の設計が嫌いでヤマハリゾートへ。
オサムちゃんは造船不況で事業転換、使わない広大な敷地を持て余していた。
野人がヤマハを退社すると聞いて、何もしていないのに退社前からコンサルタント料を振り込んで来たせっかちな男だ。
1万坪の活用法を頼まれてはいたが、そんなものはタダでよかったのだ。
体験施設としての計画書を渡すと、今度は・・
[うちでは出来ないからお前やってくれ]と言う。
お野人には他にやるべきことがあったが仕方ない、ついでにやることにした。
ビジネスライクではなく、共に生きようとする協生パートナーシップでこれまで続いている。
野人やビレッジスタッフを大切にし、レストランやギフト利用だけでなく、よく外食で全員に御馳走してくれる。
3年前はうなぎ屋で、5千円のフルコース。
今回もまたうなぎにしたかったようだが、スタッフの反応が今一つ。
天然うなぎばかり食っているスタッフは、あの豪華な脂こってりのうなぎは食い切れない。
食べるなら天然うなぎのほうがよい。
オサムちゃんが言った。
「そんなこと言ったってお前・・何処でそんなもん食わせるんだ」
オサムちゃんはいつも顔を出し、何度も食事しているのに、ビレッジメニューに天然うなぎがあるのを知らなかった。
白版のうなぎの絵は知っていたが・・
「字」は見ていなかった。
字を見なかった理由は、誰が捕って来たか定かではないが、以前にビレッジで巨大な天然うなぎを食わされ、あまりの皮の硬さが衝撃的で嫌いだったのだ。
聞けば・・ドジョウのように太くて短かったらしい。
「そりゃうなぎではないような、騙されたんじゃ」
「そんなことする奴はお前しかいないだろうが~」
たしかに、バンコクでも騙した。
淡水のどう猛なライギョを、日本では幻の高級魚と・・
帰国してタイの「ライギョは旨かった」と自慢したら友人にバカにされたらしい。
天然が本当に旨いかどうか、オサムちゃんはいくやまむし頭に確認。
まむし頭は・・
「そりゃあもう 旨いなんてもんじゃないっす」
5千円の特上うなぎコースをご馳走してくれる予定だったオサムちゃんは、結局、「天然うなぎ」を全員に御馳走してくれることになった。
マリンビレッジで
天然うなぎは2千数百円から食べられるが・・
1人4千円で 何人でもいいらしい。
最初の予算より千円も安いし・・一番近いし
この地の天然うなぎは全て旨いが、抜群に旨いのは一匹400gから1kgで肉厚の大物。
むー塩が混じる汽水域、エサの種類も数も豊富な河口のうなぎが最も旨い。理に適ってるだろうが。
泥池でエサで育つ通常の養殖ウナギは200g前後。
スタッフの賄いは最も小さめのうなぎや、やや見栄えのしないもの。
たまには肉厚のジュ~シ~なうなぎ、食ってみたい
お野人はいくに・・言った。
「おい お前が隠している一番デカくて旨いの 出せよ・・」
思えば・・随分 天然鰻の面倒を見て来た。
きっとこれは、天然うなぎの恩返し・・だな。
意味不明だろうが細かいことはまあよい。
絵本男 新聞に載る
https://ameblo.jp/muu8/entry-12282917552.html
天然うなぎのバーベキュー
https://ameblo.jp/muu8/entry-11968091309.html
早よ うなぎ獲らんか・・ 原人