一般的には猪の旬と言えば秋から冬で、代表料理は「牡丹鍋」と呼ばれる猪鍋。
狩猟期も11月から3月と限られている。
しかし自治体が依頼する有害獣の駆除は周年であり、春猪も夏猪も獲れる。
夏猪に脂はまったくないが、春猪はそうではない。
これまでの経験から、猟期が始まる11月の猪より猟期が終わる3月から5月の猪のほうがはるかに脂肪がのっている。
5月中旬までの猪は最盛期の猪と比べて遜色がない。
オスは1月の繁殖期で精力を使い果たし痩せて脂もないが、メスや繁殖期前の子猪は雄も脂が乗って美味しい。
個体によっては7月に入ってからも分厚い脂をまとっている。
決して不味いわけではなく、シチューや猪汁には上等で美味しい。
カツオに例えれば、春のさっぱりした上りガツオと秋の脂が乗った戻りガツオ。
これが猪の場合、夏秋の上り猪と冬春の戻り猪、そう考えればよい。
春のカツオは赤身肉を味わい、秋のカツオは脂肪を味わう。
夏の猪は赤身肉の旨味を味わい、冬の猪は脂の旨味を味わう。
猪の赤身肉は食の違いから夏と冬では肉質が異なる。
木の実や山芋などを多く食べて越冬する秋冬猪はエネルギーを蓄積する脂の旨味が出て、それらの食べ物が乏しい春夏は雑食になり、脂肪を消費しながら昆虫から動物性たんぱく質の肉類を多く食べる。
秋冬の柔らかくて淡白な肉質は、弾力のある力強い肉質に変わる。
どちらの猪が本来の猪か・・と言うなら夏猪だ。
鹿も同じで、旬は猟期の鹿ではなくエサをたっぷり食べた夏。 鹿は猪と違って草食であり、最も美味しい新芽は春から夏なのだから当然だろう。
猪は豚の祖先であり交配すればイノブタになる。
猪も野生化した豚も自然交配したイノブタも雑食性で主に土中の昆虫、ミミズ、木の根、イモなどを主食とする。
猪や野豚の生息域は熱帯ジャングルから温帯であり、せいぜい亜寒帯まで。
温帯亜寒帯に多く分布するドングリ類はエネルギーが強く猪の非常食サプリのようなもの。
それらによる脂肪の備蓄はエサの乏しい冬季を乗り切るための苦肉の策と考えればよい。
その苦肉の策のおかげ横丁で、四季のある日本では脂ののった美味しい猪肉がたまたま食べられるのだ。
熱帯地域や石垣島の猪やキジは脂がのらない。
魚も同様で亜熱帯域では脂がのった魚は少ない。
肉同様に、周年脂がのった養殖魚は本来の魚とは別物と考えればよい。
最高の赤身ステーキを望むなら本来の食性の猪、初夏から夏の猪だろう。
マグロのトロ然り、霜ふり肉崇拝の現在では総合評価の軍配は冬猪に上がるだろうが、それぞれ季節の肉を味わい続けたほうが冬猪の旨さも引き立つ。
魚を知り尽くし食べ尽くした野人は魚の旬の常識も塗り替えて来た。
野生肉も同じで、エサで味を安定させる畜産肉と異なる。
皆が絶賛するビレッジの猪ジャーキーの大半は夏猪。
夏猪が旬外れで食えなければジャーキーも不味いはず。
赤身肉が不足すれば脂の薄い秋猪や春猪でも作るが、それらが美味しいのは脂の旨味が加わるからだ。
脂身は一般的にはジャーキーに使えないがビレッジのソフトジャーキーには使える。ただし、高熱で脂が溶けて滴り落ちるから作るほうは苦労する。
土日のイベント前日の今日は準備に大忙し・・
全員桃色吐息・・色即是空
にもかかわらず小ぶりの猪が3頭獲れたと連絡が
がっくり頭を垂れるスタッフの視線を浴びながら運んで来たが・・
まむし頭と翼は最後の力を振り絞って遅くまで解体処理に励んだ。
一昨日の記事、野生肉の提供開始の反響は大きく、あっという間に記念セットは売り切れ、マリンビレッジは猪肉不足に陥った。
用意した50キロの販売肉が12時間持たず売り切れ
急にこんなには売れないだろうとタカをくくっていた。
結局この3頭が貴重な存在に出世した
さらにこれから6月にかけて脂ののった春猪が獲れることを期待している。
諸葛亮む~明・・来週から祭壇を組み
準備出来たら スタッフ全員整列
雨乞いならず、猪乞いのおまじないの儀を執り行うことにした。
「しし しし・・降れ降れ もっと降れ~~」
「アタシのいい肉 連れて来い~」
まあ、このような もっと長~いおまじないだ。
笑いながらやれば効力はなく、真面目にやらんとな。
猪の脂と豚の脂の違い
https://ameblo.jp/muu8/entry-12129532440.html
解決にならない猪と鹿の駆除3
https://ameblo.jp/muu8/entry-12083130152.html
初めて食べた夏猪の味1
https://ameblo.jp/muu8/entry-11597091397.html