褐藻類の表面には海藻独特のぬめりがある。メカブなどのネバネバに含まれる成分は食物繊維の一種「フコダイン」だ。面白いのはこのフコダインの働きだが、発ガン防止だけでなく、海藻本体を守る役割を果たしている。海藻の表面が傷つくとそこから細菌などが入らないように守っている。そして引き潮で空気中に晒されると乾かないように表皮を保護し、紫外線からも守っているのだ。海藻は生命の原点、「思い当たること」はないだろうか。地上の植物も動物も人間もぬめりはともかく同じ機能を持っている。それが適度な「脂分」であり、生命体の表皮に例外なく住み着く微生物だ。植物も動物も表皮は水をはじき、その「仕組み」に守られている。人間が発明した便利な石鹸を体に用い始めた頃はそのような仕組みはわからなかったはず。そして今もなおわかってはいないようだ。入浴剤は世界中で習慣になってしまっているが、それに面と向かって「おかしい」「必要ない」と異を唱える科学者はいないのだろうか。河川や海を汚染する家庭排水の中でも最大の要因になっている。入浴排水は、含まれる薬剤だけでなく、本来なら体で分解すべき有機物まで毎日海に流している。護岸はコンクリートに変わり、干潟も埋め立てられれば微生物は住処を失い極端に減少、川や海にヘドロが溜まるのは当たり前の事だ。人の皮膚も、川や海や畑や大地の在り方も、メカブから学んだほうが良さそうだ。原理は簡単で同じ事なのだ。
フコダイン以外の海藻の成分も人間にとって役に立つものばかりだ。同じネバネバに含まれるアルギン酸は水溶性食物繊維の一種で、コレステロールの吸収を防ぎ体外に排出する働きがあると言われ、ヨードは甲状腺ホルモンの生成に欠かせないミネラルの一種で、血中コレステロール値を下げ、不足すると甲状腺腫を起こしたり太りすぎたり疲れやすくなる。フコキサンチンには抗酸化作用があり、細胞の老化を防ぎ、体の中でビタミンAに変化し、皮膚を丈夫にし、潤いを保つ働きがあると言う。まあどのような働きがあるにせよ、海藻は地球上の全ての生命を養ってきたのだ。細胞は原点に戻り活性化することは間違いないだろう。色んな栄養補助食品を求めるのは良いが、足元には安価で最高のミネラル食品があるのだ。海藻は体の浄化、活性だけでなく、生命の表皮がどうあるべきかを教えてくれている。何しろ先祖の先祖のご先祖様で生命の本質そのものだ。