吉備の中山の麓にある吉備津神社。

 

吉備津神社本殿。このアングルから撮られることが多い。右端につながっているのが拝殿。本殿と拝殿を合わせてひとつで国宝。

 

吉備津神社の本殿と拝殿を別アングルから。

 

廻廊。岡山県指定文化財。伏見稲荷の千本鳥居等を思い出した。

 

栄西生誕地。異説もあるらしいが、850年ほど前のこの周辺の空気を栄西が吸い、この周辺の大地を踏んだことは間違いない。

 

中山茶臼山古墳(中山御陵)。以前に訪れたことのある兵庫県加古川市の日岡陵古墳(稲日太郎姫陵)と同様、宮内庁管轄の土地で、中へは入れない。

 

 

 吉備の中山(吉備中山)(きびのなかやま)は、岡山県岡山市北区にある標高175メートルの丘陵(低山)です。その形状から、別名を鯉山(りざん)と言います。岡山県百名山に選定されています。備前国と備中国の境に該当します。一帯は吉備史跡県立自然公園に含まれ、JR備前一宮駅から中山を経由してJR吉備津駅へ到る道は、中国自然歩道の吉備路ルートのひとつに選定されています。

 

 かつて、『岡山県と宗教家(宗教発生の土壌としての岡山県)』と言う記事を書いて、法然、栄西、黒住教の黒住宗忠、金光教の金光大神(川手文治郎)、少林寺拳法の宗道臣、霊能者の高橋貞子を挙げたことがあります。

 

 

 そのときに、「岡山県と言っても、古くは美作、備前、備中の三国を含んでおり、それぞれに風土は違うものと言える」と述べましたが、これは言い換えれば、「大和の国」から見て「吉備の国」は強大な力を持ち過ぎていて、「備前」「備中」「備後」「美作」に分国させられたとも考えられる訳です。

 また、昔の講談社現代新書に『新宗教と巨大建築(五十嵐太郎・著/講談社/現代新書)』がありました。

 

 

 その中で、確か「黒住教が現在の神道山に本部を置く前の宗忠神社には、吉備津神社の建築の影響がある」と書かれていました。

 おそらくは、現在の吉備の中山周辺で山全体や磐座(いわくら)等を信仰していたものが、建築物としての吉備津神社や吉備津彦神社となり、その周辺には、中山御陵(中山茶臼山古墳)のような権力者が崇められ、そのような霊的土壌で栄西が生まれ育ち(栄西は吉備津神社の神職の子)、吉備津神社等の影響を受けて、黒住教(黒住宗忠は備前の神職の子)が発生したと考えています。

 10月に小豆島観音を見に行ったあとは、

 

https://ameblo.jp/musyaavesta/entry-12635685505.html

 

 岡山駅前で宿泊したので、翌日は宗教的なスポットを巡り歩いてみたいと考えました。吉備線(桃太郎線)の吉備津駅で下車し、吉備津神社の参道を歩きます。参道から本殿へのアプローチおよび山と建築物と駐車場の位置関係が、かつて訪れた高野山の麓にある丹生都比売神社(天野大社)を思い出させました。本殿へ行く前に、岡山県指定文化財の廻廊を歩きました。4枚目の画像ではわかりにくいかもしれませんが、水平でないところに趣があり、伏見稲荷の千本鳥居周辺の参道を連想させる風情がありました。本殿と拝殿を合わせて国宝に指定されているだけに、独特の建築様式の風格と歴史の重みを感じます。まさに、聖地巡礼の気分となります。

 

 続いて、山からは少し離れて平地にある臨済宗開祖である栄西禅師(明菴栄西)の生誕地を目指しました。生誕地には異説もあるようですが、吉備津神社の神職の子として生まれたのならば、850年ほど前のこの周辺の空気を栄西が吸い、この周辺の大地を踏んだことは間違いありません。そう考えると、おごそかな気分に包まれます。5枚目の画像の通り、栄西生誕地に入ったときは素晴らしく晴れており、おごそか、かつ晴れやかな心地となりました。

 

 再び、吉備津神社の廻廊の南端、神社の旧社務所の辺りから吉備の中山を登ります。中山御陵(中山茶臼山古墳)に辿り着きました。6枚目の画像の通り、宮内庁管轄の土地で、中へは入れません。兵庫県で例えれば、かつて訪れた加古川市の日岡山にある日岡陵古墳(稲日太郎姫陵)と同様です。大吉備津彦命の墓とされます。その一方で茶臼山古墳には、温羅(うら)が祀られていた説もあります。桃太郎伝説のルーツのひとつは、吉備津彦命VS温羅であり、温羅が祀られていた、あるいは吉備津彦命と温羅の両方が祀られていたとすると、非常に興味深い話です。最近、三角点チェック&撮影に失敗してばかりですが、今回も三等三角点・点名「尾上」があったようです。残念なことに、スルーしてしまいました。時間の都合上、八徳寺にも寄りませんでした。

 

 次回は、神道山の黒住教本部を歩きます。

 

※文中の『新宗教と巨大建築(五十嵐太郎・著/講談社/現代新書)』は、増補・書下ろしを加えて『新編・新宗教と巨大建築(筑摩書房/ちくま学芸文庫)』として発売されましたが、中古がプレミア価格化しているようです。

 

 

「吉備の中山」

 

 

 

 

 

 

 

「吉備津神社」

 

 

 

 

 

 

 

「中山茶臼山古墳・中山御陵」

 

 

 

 

 

 

「栄西禅師生誕地」

 

 

 

 

 

 

※関連リンク先

 「山歩き まとめ(改)」 
https://ameblo.jp/musyaavesta/entry-12624377490.html