早朝に、サンライズ出雲で姫路駅から岡山駅へ。バスで新岡山港へ移動し、フェリー(おりんぴあどりーむ)で小豆島の土庄港へ。

 

土庄町観光センターでママチャリをレンタルし、上り坂を押して歩いているうちに、見えてきた巨大仏!

 

佛歯寺の敷地内に入り、歩いてどんどん大観音に近づくが、仏像の遠近感と大きさがわからなくなり、何だかクラクラする。特撮映画っぽい?映画『大仏廻国』?

 

小豆島大観音の正面へたどり着く。大きさでは淡路島の世界平和大観音の方が上だが、造形美ではこちらの方が上。視線が遠い向こうではなくやや下を向いているため、優しくこちらを見つめらている気がしてドキッとする。

 

さらに下からアップで。おお、青空に白い巨大仏!小豆島大観音は、現在も中へ入れる!

 

大観音に入ると無数の胎内仏が・・・う~んフラクタル・・・

 

仏像内は、エレベータを使わずに螺旋階段で上り下りした。残念ながら、中へ入ったあと天気は悪い方向に。右下に白く見えるのは、観音さまの指。

 

左が小豆島大観音、右が淡路島の世界平和大観音。大きさでは淡路島の観音さまが上だが、造形美と新しさでは小豆島の観音さまが上。淡路島の方が男性的で、小豆島の方が女性的な風貌なのがよくわかる。小豆島大観音は、展望用の3つの窓をうまくカモフラージュしている(ちなみに、背中側にも窓が3つある)。

 

 前回の記事は、倒壊のおそれがあるため、来年度に解体・撤去される淡路島の平和大観音を10月に見に行きましたが、敷地内へは入ることもできず、もちろん仏像内を上り展望台から大阪湾を望むこともできなかった話でした。

 

https://ameblo.jp/musyaavesta/entry-12635458778.html

 

 

 淡路島の観音さまは、1977年に建立された本体が80メートルで台座が20メートルの計100メートルの建造物でした。香川県の小豆島には、1995年に公開された約50メートル~60メートルと言われる観音さま(小豆島大観音)がおられます。しかも、こちらは入館料を払えば現在も仏像の中へ入ることができ、上って首の下の展望用窓から瀬戸内海を展望することができるそうではないですか。

 

 前回と同じく、10月の晴れた日に小豆島大観音を巡礼したくなりましたが、どう言った方法でアプローチするべきか考えてみました。姫路港(飾磨港)から小豆島へのフェリーはあるのですが、そうすると大観音のある土庄港とはほぼ反対側である福田港へ到着することとなります。そこでJRで岡山駅まで行き、バスで新岡山港へ移動し、そこからフェリーで小豆島土庄港へ行く方法に決めました。ところが、小豆島のレンタサイクルはロードバイク等の貸し出しはしておらず、普通の自転車(いわゆるママチャリ)で移動するしかありません。

 

 山陽本線の普通列車の始発に乗ろうとも、サンライズ出雲かサンライズ瀬戸に乗ろうとも、新岡山港へ行くバスの時間は同じになるのですが、岡山駅で少し余裕を持ちたいためと、寝台列車は未体験だったために、5時26分発サンライズ瀬戸のノビノビ座席を前日に予約しておきました。サンライズ瀬戸については、別の記事で述べてみたいと思います。

 

 岡山駅で軽い朝食を済まし、新岡山港へ向かうバスに乗り込みました。サンライズ瀬戸乗車時から今村昌弘の『魔眼の匣の殺人』を読み始めましたが、ひさしぶりに読む推理小説、しかもオカルト要素ありと、のめり込んでいきました。晴れた瀬戸内海と涼しい風も良かったです。

 

 9時40分頃土庄港に着いたあと、宿泊用だけのための荷物をコインロッカーへ預け、銀四郎麺業でオリーブそうめんをいただきました。土庄町観光センターでママチャリをレンタルしましたが、「大観音へ行くのならば、平地ではなく上り坂なので、この自転車ではきついのではないか?」とのアドバイスをいただきましたが、笑顔で「押して登ります。」と答えました。姫路と湯郷温泉を往復したときはロードバイクでしたが、峠は全て押して登ったものです。11時に観光センターを出発し、12時には小豆島大観音のある佛歯寺の駐車場には到着しました。汗を流しながら自転車を押して登っているとき、遠方に白い縦長の像が突然見えたときは、気分が高揚しました。近づけば近づくほど、観音さまは大きく見えてきます。5枚目の画像のように、大観音の正面まで来ました。淡路島の世界平和大観音は、まるでイースター島のモアイのように、海の遠い向こうを眺める目線でした。しかし、小豆島大観音は、目線をやや下に向けているのです。まるで、優しくこちらを見つめられているようで、ドキリとしました。

 

 淡路島の世界平和大観音との比較で言うと、淡路島は海の観音さまのイメージ、小豆島は山の観音さまのイメージです。また、8枚目の画像でわかるように、淡路島の観音さまは顔も体も男性的、小豆島の観音さまは女性的です。高さでは、淡路島の観音さまの方が上ですが、造形美では圧倒的に小豆島の観音さまの方が上です。前者が1977年建立、後者は1995年公開ですので、18年間の土木・建築技術の進歩は考慮しなくてはなりません。また、大きければ大きいほど、微妙な曲線美は表現しにくくなるでしょう。

 

 巨大建造物として仏像を建立するのならば、作りやすいのは基部をマッチ箱型か円筒型にして、その外側を人間の姿になるように肉付けしていくことです。中心にエレベータを置き、その周りに螺旋階段を巡らすのなら円筒型でしょう。淡路島の大観音は、楕円型の筒のかたちをしたビルや塔のような張りぼて感が大きいのです。本来の人間は、たとえ男性でも肩甲骨の辺りや、臀部の辺りや、胸部のあたりが出っ張って有機的な曲線を描いている訳ですが、淡路島の大観音はその曲線美を表現しきれておらず、さらに肌の上の衣服の造りが投げ槍なのです。自分は淡路島の大観音の背面や斜め後ろからの画像をそれほどアップしていませんが、お尻や肩甲骨の直線的な造形が、人間よりもツタンカーメン王の棺か、白い包帯でグルグル巻きのミイラ男を連想させてしまいます。それに対して小豆島の大観音は、その18年後に造られただけあって、女性的な曲線のあるフォルムで、衣服も細やかに再現されています。また、前面の3つの展望用の窓は、うまく装飾でカモフラージュされており、むち打ち症のギプスと揶揄された淡路島の大観音の展望台とは大違いです。個人的な印象ですが、前面だけでなく背中側にもある展望窓、外から掃除するのは大変だし、業者に頼めば高額になるのではと、要らぬことを考えてしまいました。

 

 さて、観音さまの足元の入り口で料金500円を払って入場しました。中には約1万体の胎内仏が並んでおり、6枚目の画像の通り、フラクタルな気分に浸れました。エレベータがありますが、ありがたみがないので、上りも下りも階段を歩きました。最上階には前述の展望窓がありましたが、入場後急に天気が曇り始めて、あまりよい画像が撮影できませんでした。また、佛歯寺の名でわかるように、スリランカの佛歯寺から譲り受けたお釈迦さまの歯が納められた佛歯の間がありました。自分ひとりでしたので、目をつむって般若心経を唱えさせてもらいました。

 

 帰りのレンタサイクルは、途中までほぼ下りでしたので、楽に速く移動できました。かつて、レンタサイクルのママチャリで小豆島大観音まで来たツワモノは、何人ぐらいいたのか気になります。

 

 

※『晴れた日は巨大仏を見に』と言うタイトルの文庫本が出ています。興味があれば、読んでみてください。

https://www.amazon.co.jp/%E6%99%B4%E3%82%8C%E3%81%9F%E6%97%A5%E3%81%AF%E5%B7%A8%E5%A4%A7%E4%BB%8F%E3%82%92%E8%A6%8B%E3%81%AB-%E5%B9%BB%E5%86%AC%E8%88%8E%E6%96%87%E5%BA%AB-%E5%AE%AE%E7%94%B0-%E7%8F%A0%E5%B7%B1/dp/4344413806/ref=tmm_pap_swatch_0?_encoding=UTF8&qid=&sr=1-1