人は時に自分が見えない。
 
 
彼も先日、自分を見失っていた。
 
 
 
***
 
 

彼「俺、ひとつの仕事に集中するのって

 

合ってないんだよね〜」
 
 
急に言いだした彼。
 
 
私「え?どういう意味?」
 
 
彼「いろんな種類の仕事を同時にする方が
 
心のバランス取れて合ってるんだよ」
 
 
私「(心のバランス?と思いつつ)え?同時にしたことあったっけ?」
 
   
彼「まだない。」
 
 
 
 
私「だよね。
 
ということはそれ、あくまでも希望ね。
 
ちなみに私の見たところ
 
ひとつの仕事に集中する方が合ってると思うよ。
 
実際今の仕事合ってるじゃん。」
 
 
 
 
 
彼「確かに」
 
 
 
こんな感じで会話は終わったけど
 
私は考えた。
 
 
 
 
・・・彼は医者だ。
 
 
 
学生の時から医者を目指し
 
15年以上、横道それずに
 
まっすぐに医者をやってきている。
 
 
私が見ても
 
”起用さ” ”真面目さ” ”記憶力の良さ”
 
”リスクヘッジ””優しい”etc...
 
彼は、本当に医者に向いている性格なのだ。
 
 
 
 
なのに、なぜこのタイミングで
 
マルチに活動する方があっていると
 
15年の歴史を覆すような発言をしたのか・・・?
 
 
 
よく理解しようと考えてみたら
 
過去の彼との会話にヒントがあった。
 
 
 
「20代前半の時、高城剛さんとか
 
堀江さんとか好きだったんだよね」
 
 
 
 
 
・・・ココだ!
 
 
 
 
マルチに活躍している典型的な2人に
 
憧れを抱いていた結果
 
自分もそうなりたいという思いが
 
”マルチに活動する方が向いている”
 
という過去を全無視した決断に至っていた。
 
 
 
 
 
その気持ちは分かると思った。
 
 
 
なぜなら私も過去
 
"作家だけを目指して生きていく!"
 
といったそばから
 
新しい事業をどんどん展開し
 
いつの間にか会社が増えていた!
 
ということがあった。
 
 
 
 
当初憧れていたのは
 
孫正義さんだった。
 
 
 
私との共通点は
 
「人間」ということ以外
 
ほぼ違うタイプの人なのに
 
なぜか猛烈に憧れていた。
 
 
 
私も企業説明会とかで
 
「意見を言える人採用!」とかやりたかった。
 
 
 
 
 
人は時に自分とは全く違うタイプの人に
 
自分の未来を重ねてしまう。
 
 
 
 
自分に”無い”ものを発見すると
 
自分に”有る”ものが見えなくなるのだろう。
 
 
 
 
 
ちなみにちょっと前
 
”ファッション関係の仕事に興味がある”
 
という彼の為に、インスタを勧めてみた。
 
 
 
今やファッション関係の人は
 
必ずインスタを利用している。
 
 
 
雑誌の広告よりも
 
SNSを使ってプロモーションする方が
 
多くの人の目にとまりやすいからだ。
 
 
 
 
彼はとてもセンスが良いから
 
自分の持ち物を公開したり
 
トレンドのことを書いたりするといいと思い
 
 
写真の撮り方や
 
加工の仕方などをレクチャーした。
 
 
 
有料のアプリまでダウンロードして教えた。
 
 
 
その結果
 
”私が彼のフリしてインスタを更新する”
 
という予想通りな結果となった。
 
 
 
「更新したら?」
 
といっても
 
「書くことがない」
 
「良い写真を撮れない」
 
「文章が書けない」その他もろもろ
 
できない理由が溢れていた。
 
 
 
論文は書けても
 
インスタは書けない彼。
 
 
 
 
私は思った。
 
 
 
 
 
彼が、マルチに活動できる日は
 
もう少し先になるだろうと…。
 
 
 
 
 
***おしまい***