「一息絶命」クンダリーニと共にあらん我がヨガ道
「一息絶命(いっそくぜつめい)」
………
私のクンダリーニヨガに対する座右の銘です．
観念や思想ではなく，修行に対して真正面から向き合える言葉を模索し続けていました．
禅や弓道に詳しい方はお気づきかもしれませんが，
この言葉は弓聖と称された阿波研造師範の
「一射絶命(いっしゃぜつめい)」というお言葉からインスピレーションを受けました．
この言葉は，真ん中に当てるとか，当たらないとか，そういった余計な雑念に振り回されることなく，
自分を消し，弓と一体になり
その一矢，一射に全身全霊をかけよ，というお言葉です．
「自分の利己的な思いを消す」という欲求さえも捨てなければいけない．
ヨガの究極の境地である解脱をしたいという欲求さえも捨てるという極意にも通じます．
これは，弓道に限ったことではなく，
本来，書道であればその一筆に，空手ならその一撃に，全てをかける精神性で取り組まれていたはずです．
実戦を重んじた宮本武蔵であれば，稽古ではないですから，負けはすなわち「死」に値します．
一回限りということです．
二度目はないのです．
ですので，最高の精神状態「ゾーン」が求められるのです．
「道」と呼ばれるものの本質が，「一期一会」の精神のように
毎回が本番，やり直しがきかない武士道精神に基づいているのです．
対して，この部分は特にモダンスタイルのヨガに欠けているところといえます．
…話を戻しますが，阿波師範は弟子達に，
道場に来るまでにしっかり気持ちを整えてくるように伝えていたそうです．
現代風に言えば，稽古が始まってからでなく，
道場に来る前から準備をし，稽古にピークを持ってきなさいということだと思います．
ですので，稽古のはじめもいきなり弓を射るのではなく，まずは徹底的に丹田呼吸を行い，
心身を充実させたから実際の弓道の稽古に入っていったそうです．
…それにしましても，今のクンダリーニヨガには余計な観念や思想が多すぎますね．
もちろん，それらを信じることは良いのですが，肝心な修行の方が軽視されている傾向を感じます．
本来，そういった思想は，「行」を極めたヨガ行者が発した言葉であり，
それは，行を通じてしか，本質は理解できないということです．
バジャン先生のお言葉に関しても同様です．
バジャン先生が10代の頃，師匠からクンダリーニヨガの修行を受けていたときは
それこそ，本当に過酷な修行の日々でした．
武術も一緒に習っていましたしね．
そうした経験から「Keep up !」という言葉を座右の銘にされたのだと思います．
これは，やはり過酷な「行」から得た言葉なのだと思います．
クンダリーニヨガ修行が成就しない理由として，
呼吸やマントラなどの個々のテクニックを集中的に行えていないことが大きな原因と考えられます．
火の呼吸は，1分間に120-180回の呼吸法です．
呼吸のペースが速いために，どうしても一息，一息がいい加減になってしまいます．
一回のおへその引きで丹田を活性化するんだ！尾てい骨に熱を生じさせるんだ！
というぐらいの気合いがないと，ただ時間だけがダラダラと過ぎていってしまいます．
これは，中国の気功や武術，道教では盛んに用いられる技術ですが，
気に意識をのせることが大事なのですね．
意念や，行気などと表現されます．
メディテーションやサットクリヤにおけるマントラも，
その一息に全てをかける精神性が大切なのです．
この「一息絶命」の精神が根底にあれば，クンダリーニヨガ修行は大いに進化していくことでしょう．
“May the Kundalini be with you” - Guru Prasad Singh -
P.S.
『五輪書』と並び，私の大好きな著書，『弓と禅』も是非お読み下さい(*v.v)｡
巻末に「一射絶命」や，「弓禅一味」などの解説が載っています．
『弓と禅』の世界について，さらに詳しく知りたい方は，以下の記事も合わせてお読み下さい(*v.v)｡
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