【8282】ケーズホールディングス/新中計では成長軟化も、巨額自社株買いで総還元性向は231%。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

image

【8282】ケーズホールディングス(東証プライム) NT

現在値 1,535円/100株  P/E 22.1  P/B 1.00 8月配当優待 2月配当優待

北関東地盤の家電量販。デンコードーなど買収し全国区へ拡大。現金値引きと郊外出店。
配当実績は3月末・9月末の合計44円のため、配当利回りは2.87%となります。

ケーズホールディングスは株主優待を実施しており、3月末・9月末に100株以上を保有する株主に対し、年2,000円分の優待券を進呈しておりますので、配当優待利回りは4.24%となります。なお1年以上の長期保有で+2,000円が追加されるため、配当優待利回りは最大で約5.47%まで上昇します。

業績を確認していきます。

■2022年3月期 売上高 7,472億円、営業利益 417億円、EPS 141.7円

■2023年3月期 売上高 7,373億円、営業利益 301億円、EPS 110.1円

■2024年3月期 売上高 7,183億円、営業利益 187億円、EPS 41.6円 

■2025年3月期 売上高 7,350億円、営業利益 200億円、EPS 69.2円 ce
□2024年6月1Q 売上高 1,731億円、営業利益 41.7億円、EPS 16.5円(8/7)

□2024年9月2Q 売上高 3,700億円、営業利益 114億円、EPS 50.2円 ce

2024年3月期の売上高はYoY▲2.6%の7,183億円、営業利益はYoY▲37.9%の187億円となり、中間時点の減額見通しを更に下回りました。予算前提の既存店売上高(SSS)は100.7%だったものの、記録的猛暑でACこそ好調だったものの、暖冬影響や耐久財消費からレジャー消費への移行、物価高騰によるマインド悪化で実績95.4%に留まりました。利益面についても、売上減によるリベート減少、ベースアップにより減益幅が拡大しました。なお出退店は出店14/退店8の純増6(総店舗数556)となりました。


進行期である2025年3月期の予算については、売上高がYoY+2.3%の7,350億円、営業利益はYoY+6.8%の200億円を見込んでいます。家電買換サイクルの長期化による“ペントアップ”反動増、猛暑によるAC需要、五輪開催によるAV機器増を見込み、通期SSS前提は102.3%を見込んでおり、8月7日開示済の1Q実績SSSは102.2%と計画線で推移しています。利益面については、ベースアップや決済手数料、配送コスト増を見込む一方、リベートが改善する見込みです。なお通期の出退店計画は出店11・退店2店を計画します。

 

この度当社は2027年3月期を最終年度とする新3年中計を公表しており、売上高を7,183億円→7,700億円、営業利益を187億円→270億円に引き上げる計画としています(終わった従来中計は営業益490億円目標だったので大幅未達)。新型肺炎禍での“巣ごもり”特需と補助金の反動減や、物価高&電気代高で地方・郊外消費者心理の悪化が著しいことから、これまでより緩い計数目標となっています。

 

今次中計における取組事項については、①家電特化による利益創出、②DXによる拡大と効率化、③資本効率改善の3本を挙げています。①の外部成長策はS&Bによるドミナントを推推し、年10店ずつ出店と改装を実施します。このほか資格取得など販売員の高スキル化により高付加価値商材の拡販を進める一方、デジタル販促への移行により広宣費の抑制を図ります。②のDXについては、ECを含めた物流体制の効率化、アプリ“あんしんパスポート”の機能拡充、基幹システムの刷新を予定しています。

 

当社は家電特化型経営となっており、EC強化のヨドバシやビック、電化型リフォームと戸建て等の多角化を推進するヤマダらとは一線を画しています。接客重視のノジマ(横浜)の経営に近いものの、神奈川・東京を地盤とする同社より地盤が弱く、顧客の高齢化がネックとなっています。そのため“がんばらない経営”、“無理をしない経営”といった経営方針に代表される、特徴のない経営が特徴となっています。

 

そのため当社の投資論点は専ら株主還元となります。今次中計においても総還元性向80%&配当性向を40%という高い還元水準を維持しており、配当金額は据置の年44円配当(配当性向64.1%)を横引いているものの、今回より44円を下限設定しています。また、直近6期連続で80億円、187億円、112億円、200億円、93億円、107億円の自社株買い実績があるほか、進行期は200億円(10.3%)の巨額取得枠を設定していることから、総還元性向は231%に達する見通しです。
 

*参考記事① 2024-03-25  1,348円 OP

【8282】ケーズHD/地方消費者のマインド低下が想定超、高水準の株主還元の継続が投資論点。

 

*参考記事② 2023-02-21  1,174円 OP

【8282】ケーズHD/巣ごもりによる買替一巡で郊外店厳しいが、厚い株主還元で下支え。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

にほんブログ村 株ブログ 株主優待へ にほんブログ村 株ブログ IPO・新規公開株へ にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ