【1662】石油資源開発(東証プライム) OP
現在値 1,144円(5,720円)/100株 P/E 6.81 P/B 0.59 3月配当 9月配当優待なし
原油・ガス開発専業。国内の天然ガス田創業が基盤。カナダ・重油事業は売却。
今期予想配当金は年2回・合計50円(分割後)のため、配当利回りは約4.37%となります。
石油資源開発は株主優待制度を実施していません。
業績を確認していきます。尚、本年9月末に実施する1対5の分割を事前反映しています。
■2022年3月期 売上高 2,491億円、営業利益 198億円 EPS ▲109円
■2023年3月期 売上高 3,364億円、営業利益 620億円 EPS 269円
■2024年3月期 売上高 3,258億円、営業利益 552億円 EPS 198円
■2025年3月期 売上高 3,584億円、営業利益 538億円 EPS 172円 ce修正(8/8)
□2024年6月1Q 売上高 894億円、営業利益 129億円 EPS 43.8円(8/8)
□2024年9月2Q 売上高 1,800億円、営業利益 250億円 EPS 81.8円 四e
2024年3月期の売上高はYoY▲3.2%の3,258億円、営業利益はYoY▲11.0%の552億円となり、3Qの増額見通しを更に上回って着地しました。E&P事業はアメリカのオイルサンド事業とイラク・ガラフPJの数量増が寄与したほか、WTI油価前提(/bbl)もやや上振れ(予算75$vs実績77.7$)たほか、為替前提(¥/$)も予算125.0円vs実績143.3円と大きく有利方向に振れました。I/U事業もING調達差益で減益ながらも、原料スライドタイムラグ影響である程度埋めた格好です。
進行期である2025年3月期の予算については、売上高がYoY+10.0%の3,584億円、営業利益はYoY▲2.6%の538億円を予想しています。E&P事業におけるWTI油価前提(/bbl)を85.0$、為替前提(¥/$)を140.0円を前提としており、海外は米タイトオイル、イラク・ガラフPJ、英領北海シーガルPJが軒並み数量増となる一方、国内販売は数量減・単価減を見込みます。他方、I/U事業はLNG調達差益減少で続落の想定となっており、8月8日開示済の1Qは売上高894億円&営業益129億円で推移しています。
進行期は9ヵ年の中長期計画の3年度目となっており、中間年度の2027年3月期に事業利益(≒本社経費控除後経常利益)300億円、最終年度の2031年3月期に同500億円の達成を目標とするほか、ROEの段階的引き上げ(5%→8%)、E&P比率の段階的な引き下げ(60%→50%)を目指し、資源依存度低下を志向しています。なお中計前提のWTI油価は50.0$のため、実勢比でかなり余裕のある前提となっています。
今次中長計期間における想定キャッシュイン5,000億円は成長投資に4,500億円・株主還元に500億円を振り向けます。2022年にE&P事業で加シェールガス事業売却と、加オイルサンド事業撤退で“膿出し”を済ませ、この2年度目で早くも1,300億円程の投資額に達する見込みです。米タイトオイル開発では昨年末に坑井権益を更に追加取得しており、投資額は延べ10億ドルの上ります(営業益貢献は100億円/y)。
5月30日には米フリーポートLNG-PJへの参画を公表しており、当該PJの事業会社へ25.7%出資するJERA現地法人の株式の15%をおよそ580億円程で買収しています。当該PJは顧客であるJERAや大ガスらが調達して天然ガスを液化(要はLNG化)する向上であり、3ライン合計で年1,545万tの生産能力を有しています。目下のLNG市況自体は軟調ではあるものの、市況影響を受けにくいインフラ性事業となっており、現行能力で年十数億円、4ライン拡張後の生産能力で年数十億円の利益貢献が見込まれます。
株主還元方針については、配当性向30%をベースに還元しており、9月末実施の株式5分割を考慮した実質巡行ベースでYoY▲12円50銭となる年50円配(配当性向30%)を見込んでいます。当社は大株主の保有割合維持等の観点から、配当による還元を原則としているものの、所謂“PBR1.0倍割れ対策”で200億円(5.53%)の自社株買いを実施し、8月9日付で最大数量となる300万株を全量買い切っています。これによりEPSは5%強切り上がるほか、1Qの増額修正を考慮すれば、期末での増配公算が高くなっています。
*参考記事① 2024-02-16 1,166円(*分割遡及修正株価) OP
【1662】石油資源開発/油価想定線も円安で上振れ、想定外の自社株買い200億円は好評価。
*参考記事② 2023-08-25 936円(*分割遡及修正株価) OP
【1662】石油資源開発/英シーガル油田生産遅れで減額も、見通しは実勢比コンサバと解される。
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