【7545】西松屋チェーン(東証プライム) NT
現在値 2,184円/100株 P/E 13.9 P/B 1.50 2月配当優待 8月配当優待
ベビー・子供衣料と生活雑貨のロードサイド大型店を全国展開。配当金は2月末・8月末の年2回計29円で、配当利回りは約1.33%となります。
西松屋チェーンは株主優待を実施しており、100株を保有する2月末・8月末現在の株主に対して、年2回・1,000円分の株主優待カードを発行しておりますので、配当優待利回りは約2.24%となります。別途、3年以上保有を継続する株主への長期優遇制度があります。
業績を確認していきます。
■2022年2月20日期 売上高 1,630億円、経常利益 128億円 EPS 138.9円
■2023年2月20日期 売上高 1,695億円、経常利益 115億円 EPS 126.5円
■2024年2月20日期 売上高 1,771億円、経常利益 125億円 EPS 136.6円
■2025年2月20日期 売上高 1,880億円、経常利益 140億円 EPS 156.3円 ce
□2024年4月20日1Q 売上高 497億円、経常利益 51.2億円 EPS 57.9円(6/14)
□2024年8月20日2Q 売上高 936億円、経常利益 74.0億円 EPS 82.8円 ce
2024年2月期の売上高はYoY+4.5%の1,771億円、経常利益はYoY+8.6%の125億円となり、増収増益ながら予算を下振れました。生活防衛意識の高まりから、PB商品の“ELFINDOLL”、“SmartAngel”が堅調だったほか、スクールサイズ(小学校高学年)も好調に推移し、SSSは101.1%となりました。他方で利益面については、期中の急速な円安進行による原価高騰を受け(粗利ベースでは悪化)、増益幅は想定以下となりました。出退店に関しては、通年で純増40店の計画に対し、出店60店・退店18店の純増42店となり、総店舗数は1,109店となりました。
進行期である2025年2月期の予算については、売上高がYoY+6.1%の1,880億円、経常利益はYoY+11.2%の140億円を見込みます。店舗網が薄い首都圏への出店を図るほか、増床移転による大型化とS&Bを推進します。なお、6月21日開示済の4ヵ月累計月次SSSは101.9%と前年超も、子育て世代はCPIの上昇影響をシャープに受けることから、客数の減少傾向が継続しているほか、円安進行による原価増と転嫁遅れから不透明な状況が続きます。なお1Qの売上高は497億円&経常益51.2億円で推移しており、出店は純増50店を見込みます。
当社は中期的な目標として、4年後の2028年2月期に売上高を1,771億円→2,500億円、経常利益を125億円→250億円(従計:200億円)に引き上げる計画としているものの、昨年事実上の減額ローリングを実施した経緯があります。またロール後計数の策定時よりも大幅な円安になっているほか、いまなお物価高局面にあり、当社顧客である地方・郊外のファミリー層の消費が冷え込んでいることから、事業環境の急悪化で価格転嫁が困難になっており、達成可視性が低い状況です。
中期的な基本戦略については、①新規出店と店舗大型化、②PB商品自社開発強化、③EC拡大、④海外拡大、⑤店舗運営効率化の5方針が掲げられています。①の出店については、立地改善と増床移転を志向した“拡張型S&B方式”で出店しているものの、出店数を毎期30店程から50店に引き上げ、店舗開発要員も拡充します。また、出店エリアも地方・郊外のロードサイドではなく、大都市の人口集中部にシフトします。
➁のPB商品は、店舗大型化で広範なMDが可能になったので、小学校高学年向け商品の拡充、靴やバッグ等の開発も進めており、PB構成比を目下の20%から中長期的に50%まで引き上げる計画です。また、➁の受け皿として③EC拡大も進めており、ポイントサービスや店頭受取連携等のメニュー拡充により、進行期までにEC化率を2%→10%(200億円)に引き上げる目標としていますが、想定以下の推移と解されます。
財務面については、無借金かつ600億円程の現金を抱えるチタン級の好財務を維持しているほか、上記以外にも75億円程の投資有価証券を保有しています。それでも配当については、年29円配(配当性向18.5%)と大変低位な水準に留まっているほか、このご時世に買収防衛策を継続しており、良くも悪くも大村一族の“匙加減ひとつ”の会社といえます。
*参考記事① 2023-07-13 1,629円 NT
【7545】西松屋チェーン/中計は事実上の下方ローリング、EC伸長だが原価高騰で利益成長鈍い。
*参考記事② 2022-12-23 1,504円 NT
【7545】西松屋チェーン/既存店売上高は前年クリア基調も、円安と原価増がじわり圧迫。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。