【3139】ラクト・ジャパン/事業環境暗転で中計ビハインドだが、配当性向引き上げで大幅増配。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3139】ラクト・ジャパン(東証プライム) BY

現在値  2,555円/100株  P/E 10.6 P/B 0.99  11月配当 5月株主優待

旧東食系。乳原料・チーズ、食肉加工品の食品専門商社。北米、欧州、豪に拠点。
配当は11月末一括の62円配当のため、配当利回りは2.43%となります。

ラクト・ジャパンは株主優待制度を導入しており、5月末の単元株主に対して1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.81%となります。なお、3年以上継続保有の株主に対しては、クオカードではなく乳製品カタログギフトを進呈しており、仮に3,000円相当と試算した場合の同利回りは約3.60%となります(ギフト内容:欧州産チーズ、アイス、バター詰め合わせ等から一品)。


業績は以下の通りとなります。

■2021年11月期 売上高 1,108億円、経常利益 26.8億円 EPS 198.7円 

■2022年11月期 売上高 1,474億円、経常利益 31.3億円 EPS 231.6円

■2023年11月期 売上高 1,583億円、経常利益 28.4億円 EPS 206.4円 

■2024年11月期 売上高 1,600億円、経常利益 34.0億円 EPS 240.9円 ce修正

□2024年2月1Q 売上高 397億円、経常利益 11.1億円 EPS 82.2円(4/12)

□2024年5月2Q 売上高 800億円、経常利益 18.0億円 EPS 130.4円 ce修正

 

2023年11月期の売上高はYoY+7.4%の1,583億円、経常利益はYoY▲9.1%の28.4億円となり、予算割れとなりました。柱の乳原料・チーズ事業は、食品メーカーの断続的な値上げにより消費者心理が想定以上に冷え込んだほか、円安による輸入乳原料高騰で在庫の脱脂粉乳の消化が優先されたことから、乳原料・チーズともに数量減となりました。他方で食肉事業については、外食・中食(惣菜)需要増で、フローズンポークを中心に堅調に推移しました。

 

進行期である2024年11月期通期見通しは1Q時点で微修正しており、売上高YoY+1.1%増の1,600億円、経常利益はYoY+19.4%の34.0億円を見込んでいます。乳原料・チーズ事業は、インフレによる消費者心理の悪化が下押し要素となるものの、脱脂粉乳の高在庫消化がいよいよ本格化するとみられ、需給改善期待がかかります。食肉事業についても、外食需要の回復だけでなく、人手不足の外食加工向けの続伸が見込まれ、低調だったアジア事業のチーズ製造・販売も正常化で底入れします。既開示の1Qは売上高397億円&経常益11.1億円で進捗しており、為替影響もあり上振れ圏と解されます。

 

進行期は2025年11月期を最終年度とする中計の中間年度であり、向こう3年で売上高を1,474億円→2,000億円へ、経常利益31.3億円→40.0億円へ引き上げる計画です。2015年頃の脱脂粉乳高在庫政策(9~10万t)が重しとなり、年末時点こそ5万tまで下落したものの、今度は為替影響による商流変化影響など事業環境の悪化がみられ、進行期予算もマイルストン予想を下回っている状況です。尚、10年長計では2032年11月期に経常益60億円(10年CAGR6.7%)を目標としているものの、会社側では事業環境の回復前提が0.5年~1.5年遅れている認識を示しており、不透明な状況です。

 

今次中計での取組事項は、①機能性食品強化、②輸出事業展開、③サプライソース多様化、の3点が挙げられています。①は世界的に流行する“スポーツニュートリション”に代表される高付加価値製品の強化であり、提携・協業等により輸出・三国間貿易を展開する方針です。②は健康志向の強い香港・台湾等の富裕層の間で日本産製品の人気が高いことから、農水省が推進する乳製品輸出政策に後押しされる形で拡販を進めます。

 

③は近年の世界的な気候変動で安定供給の難易度が増していることから、調達先の多様化を図る方針であり、拠点開設済の米州・豪州・オランダ・イタリアを中心に、契約形態の多様化を図るとともに、乳原料だけでなく取り扱う食肉の多様化(豚肉以外の牛肉・鶏肉)を進めます。また、SGでは約35億円を投じてチーズの新工場を建設中であり、上期着工予定となっています。

 

株主還元については、自己資本比率が節目の30%を大きく超過したほか、所謂“PBR1.0倍”議論への対応から配当性向を早々に中期目標の25%まで切り上げており、進行期は14円増配となる年62円配(配当性向25.7%)を予想しています。
 

*参考記事① 2023-11-16 2,005円 BY

【3139】ラクト・ジャパン/懸案の脱脂粉乳の高在庫漸減も、乳価上昇による商流変更影響を受ける。

 

*参考記事② 2023-04-11 2,015円 BY

【3139】ラクト・ジャパン/中計を固定方式に変更、脱脂粉乳の高在庫削減が追い風となろう。

 

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