【3139】ラクト・ジャパン/中計を固定方式に変更、脱脂粉乳の高在庫削減が追い風となろう。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3139】ラクト・ジャパン(東証プライム) BY

現在値  2,015円/100株  P/E 8.5  P/B 0.89  11月配当 5月株主優待

旧東食系。乳原料・チーズ、食肉加工品の食品専門商社。北米、欧州、豪に拠点。
配当は11月末一括の48円配当のため、配当利回りは2.38%となります。

ラクト・ジャパンは株主優待制度を導入しており、5月末の単元株主に対して1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.87%となります。なお、3年以上継続保有の株主に対しては、クオカードではなく乳製品カタログギフトを進呈しており、仮に3,000円相当と試算した場合の同利回りは約3.87%となります(ギフト内容:欧州産チーズ、アイス、バター詰め合わせ等から一品)。


業績は以下の通りとなります。

■2020年11月期 売上高 1,108億円、経常利益 27.8億円 EPS 209.4円 

■2021年11月期 売上高 1,108億円、経常利益 26.8億円 EPS 198.7円 

■2022年11月期 売上高 1,474億円、経常利益 31.3億円 EPS 231.6円

■2023年11月期 売上高 1,600億円、経常利益 32.0億円 EPS 235.5円 ce

□2023年5月2Q 売上高 770億円、経常利益 15.4億円 EPS 113.7円 ce

 

2022年11月期の売上高はYoY+33.0%の1,474億円、経常利益はYoY+16.9%の31.3億円となり、中間時の増額見通しを上回って着地しました。乳原料・チーズ事業については、最終商品価格の高騰で需要家の購買姿勢が慎重となり、乳原料の販売数量はいま一つだったものの、円安による単価上昇効果が発現しました。また、食肉事業は量販店向けのチルドポーク、外食向けの生ハム・サラミ等が堅調に推移したほか、アジア事業も現地向け販売が好調だったほか、日本産脱脂粉乳の販売も寄与しました。

 

進行中の2023年11月期の予想については、売上高はYoY+8.5%増の1,600億円、経常利益はYoY+2.1%の32.0億円を見込んでいます。乳原料・チーズ事業は、農畜産業振興機構(ALIC)による脱脂粉乳の高在庫削減による需給改善のほか、経済活動再開やインバウンド受入再開により業務用需要の回復が期待されます。他方、食肉事業も国際物流(コンテナ滞留)の正常化や米国豚肉サプライヤーの雇用回復、アジア事業も主力のASEAN域でのチーズ販売拡大が見込まれるため、全セグメントで増収となる見通しです。

 

当社はこれまでローリング方式の中計を開示してきましたが、今次中計より固定方式に切り替えており、3年後の2025年11月期までに売上高を1,474億円→2,000億円へ、経常利益31.3億円→40.0億円へ引き上げる計画です。2015年頃の危機的な“バター不足”を教訓としたALICの脱脂粉乳高在庫政策(9~10万t)が長らく重しとなってきたものの、ようやく在庫水準の適正化にむけて計画された対策事業が進んでおり、事業環境が改善する見通しです。

 

今次中計での重点取組事項としては、①機能性食品強化、②輸出事業展開、③サプライソース多様化、の3点が挙げられています。①は世界的に流行する“スポーツニュートリション”に代表される高付加価値製品の強化であり、提携・協業等により輸出・三国間貿易を展開する方針です。②は健康志向の強い香港・台湾等の富裕層の間で日本産製品の人気が高いことから、農水省が推進する乳製品輸出政策に後押しされる形で拡販を進めます。

 

③は近年の世界的な気候変動で安定供給の難易度が増していることから、調達先の多様化を図る方針であり、拠点開設済の米州・豪州・オランダ・イタリアを中心に、契約形態の多様化を図るとともに、乳原料だけでなく取り扱う食肉の多様化(豚肉以外の牛肉・鶏肉)も推進します。また、SGでには約35億円を投じてチーズの新工場を建設します。

 

他方で株主還元については、自己資本比率が30%台に到達したことから、配当性向の引き上げピッチを加速化し、中期目標の20%水準に達しています。進行期は8円増配となる年48円配を予想していますが、向こう3年で更に配当性向を最大25%まで引き上げる計画のため、もし利益が中計通りに伸長した場合、3年後は年75円配当まで試算されます。

 

*参考記事① 2022-11-02 2,134円 OP

【3139】ラクト・ジャパン/北海道生乳生産好調で脱脂粉乳需給緩いが、海外事業は絶好調。

 

*参考記事② 2022-04-12 2,053円 OP

【3139】ラクト・ジャパン/国内脱脂粉乳の高在庫状態はやや改善見込み、海外事業が下支え。

 

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