【3139】ラクト・ジャパン(東証プライム) OP
現在値 2,053円/100株 P/E 9.6 P/B 1.04 11月配当 5月株主優待
旧東食系。乳原料・チーズ、食肉加工品の食品専門商社。北米、欧州、豪に拠点。
配当は11月末一括の37円配当のため、配当利回りは1.80%となります。
ラクト・ジャパンは株主優待制度を導入しており、5月末の単元株主に対して1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.28%となります。なお、3年以上継続保有の株主に対しては、クオカードではなく乳製品カタログギフトを進呈しており、仮に3,000円相当と試算した場合の同利回りは約3.26%となります(ギフト内容:欧州産チーズ詰め合わせや十勝チーズ、十勝白い牧場アイス詰め合わせ等)。
業績は以下の通りとなります。
■2019年11月期 売上高 1,167億円、経常利益 27.4億円 EPS 200.1円
■2020年11月期 売上高 1,108億円、経常利益 27.8億円 EPS 209.4円
■2021年11月期 売上高 1,108億円、経常利益 26.8億円 EPS 198.7円
■2022年11月期 売上高 1,260億円、経常利益 29.0億円 EPS 212.9円 ce
□2022年5月2Q 売上高 615億円、経常利益 13.5億円 EPS 99.3円 ce
2021年11月期の売上高はYoY横ばいの1,108億円、経常利益はYoY▲3.6%の26.8億円となり、期中の増額後の予算を結局下回って着地しました。乳原料・チーズ事業は、一部飼料向けや菓子メーカー向けのみ好調だったものの、外食等の業務用のチーズ需要が続落となったほか、農畜産業推進機構(ALIC)の脱脂粉乳輸入政策による高在庫影響を受けて反落となりました。また同様にアジア事業についても、高在庫状態の日本向けの乳原料販売が低調だったものの、食肉事業については“巣ごもり需要”によりハム・ソーセージ原料が堅調に推移しました。
2022年11月期の通期予想については、売上高がYoY+13.6%増の1,260億円、経常利益はYoY+8.1%の29.0億円と反発を予想しています。乳原料・チーズ事業については、ALICによる脱脂粉乳の高水準の在庫削減にくわえ、新型肺炎禍の一巡により業務用需要や土産物菓子向けが見込まれます。食肉事業についても、新規取扱の牛肉販売の本格化や、外食向けの回復、内食向けも底堅い推移が予想されます。他方、アジア事業は日本向けの回復が不透明であるものの、フル操業が続くシンガポールやタイでの現地製販事業が下支えします。
当社はローリング方式で中計を開示しており、3年後の2024年11月期に売上高を1,108億円→1,500億円へ、経常利益26.8億円→39.0億円へ引き上げる計画です。事業環境については、乳製品の国内消費量が最近20年間で125万トンで横ばいの一方、国内生産量は酪農家高齢化と廃業で輸入依存度(約42%)は上昇で悪くない状態であるものの、国の脱脂粉乳高在庫政策のあおりを受け続けている状況です。但し2022年度については、国や酪農団体が80億円を拠出して、推定9万tの在庫のうち最低2.5万トンを削減する方針としていることから、一定の環境改善が期待されます。
海外事業については、タイ・シンガポールの当社工場で自社ブランドによるチーズ製造を実施しており、この2工場を軸にアジア諸国への拡販を進める方針です。シンガポール工場は昨年製造ラインの増強を実施たものの、タイ工場同様にフル操業状態が続いており、原材料価格の高騰についても高付加価値品を中心に価格転嫁が出来ているため、順調に推移しています。今後は競争が厳しいものの、対日禁輸の中国への本格進出が真の狙いであり、中国やASEAN諸国の中間層・富裕層の裾野が広がっていることから、高付加価値乳製品を投入を企図します。
株主還元については、2019年11月期までは配当性向を11%水準にまで絞っていましたが、自己資本比率が30%台半ばとなったことから、配当性向を14%→17%へと段階的に引き上げ、創立25周年となる2024年11月期に20%を目指す方針です。進行期は5円増配の年37円配を予想していますが、中計どおりの利益水準と配当性向の引き上げを前提とすれば、最終的に年57円程の配当が試算されます。
*参考記事① 2021-10-05 2,751円 OP
【3139】ラクト・ジャパン/国内の脱脂粉乳在庫高止まりも、通期予算を増額。なお保守的か。
*参考記事② 2021-03-20 2,888円 OP
【3139】ラクト・ジャパン/中計1年後ろ倒しも、脱脂粉乳の高在庫がやっと改善へ。
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