【3139】ラクト・ジャパン/国内の脱脂粉乳在庫高止まりも、通期予算を増額。なお保守的か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3139】ラクト・ジャパン(東証1部) OP

現在値  2,751円/100株  P/E 13.5 P/B1.45  11月配当 5月株主優待

旧東食系。乳原料・チーズ、食肉加工品の食品専門商社。北米、欧州、豪に拠点。
配当は11月末一括の32円配当のため、配当利回りは1.16%となります。

ラクト・ジャパンは株主優待制度を導入しており、5月末の単元株主に対して1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約1.52%となります。なお、3年以上継続保有の株主に対しては、クオカードではなく乳製品カタログギフトを進呈しています。(ギフト内容:欧州産チーズ詰め合わせや十勝チーズ、十勝白い牧場アイス詰め合わせ等)


業績は以下の通りとなります。

■2019年11月期 売上高 1,167億円、経常利益 27.4億円 EPS 200.1円 

■2020年11月期 売上高 1,108億円、経常利益 27.8億円 EPS 209.4円 

■2021年11月期 売上高 1,150億円、経常利益 28.1億円 EPS 204.1円 ce修正

□2021年5月2Q  売上高 526億円、経常利益 14.1億円 EPS 102.5円(7/13)

 

2021年5月中間期の売上高は前年同期比9.1%減の526億円、経常利益は同1.5%減の14.1億円と減収減益で進捗したものの対予算で増益となりました。乳原料・チーズ事業は緊急事態宣言の再発出にともない、外食・レジャーといった業務用のチーズ需要が減少したほか、農畜産業推進機構(ALIC)の脱脂粉乳輸入政策による在庫影響を継続的に受けた一方、食肉事業については“巣ごもり需要”によりハム・ソーセージ原料が堅調に推移しました。またアジア事業も同様の構図で、乳原料販売が低調だったものの、チーズの製造・販売は内食向けに堅調推移となりました。

 

2021年11月期の通期見通しについては本中間時に増額しており、売上高は前期比3.8%増の1,150億円(期予:UNCH)、経常利益は同1.1%増の28.1億円(期予:26.0億円)に修正しています。乳原料・チーズ事業については、ALICの脱脂粉乳の高在庫方針の一服と政府輸入枠縮小で需給タイト化が期待される一方、新型肺炎禍の長期化により国産在庫の消化は遅れる見通しです。そのため、会社側では足許の需給動向をより厳しく織り込む一方、“巣ごもり”が好調な食肉事業と、好調な中国をはじめ各国で回復の兆しがみられるアジア事業で取り返す計画です。トップラインを据え置く一方、利益を増額していますが、実勢を鑑みれば保守的な想定とみられます。

 

当社はローリング方式による中計を開示しており、3年後の2023年11月期に売上高1,410億円(CAGR8.5%)・経常利益35億円(CAGR8.0%)を目指していますが、この新型肺炎禍でちょうど1年後ろ倒しされています。事業環境としては、乳製品の国内消費量は最近20年間で12百万t程で横ばいの一方、国内生産量は酪農家高齢化と廃業により輸入依存度が尻上がりに上昇しており(輸入依存度42%;輸入量自体も年4.4%ペースで成長)、乳製品商社としてシェアの約4割弱を握る当社この恩恵を享受出来る立ち位置です。然しながら、目下では在庫がダブついているため、この優位性をあまり生かせておらず、高い国産品の取扱いで凌いでいるような状況です。

 

海外事業については、商社事業以上にメーカー事業に傾注しており、既にタイ・シンガポールで稼働済の当社工場で自社ブランドによるチーズ製造を行っています。今後はこの2工場を軸にアジア諸国への拡販を進めるほか、真の狙いは対日禁輸の中国市場とみられます。そのため、その橋頭保としてシンガポール工場の設備増強を完了させたほか(今6月より生産量2.3千t→3.0千t/y)、目下まさにその中国の需要増で高騰する豪州産チーズの代替として、相対的に値段が安定している欧州、米国にチーズ調達ルートを有する当社の出番増加が期待されます。そのため、国内事業のモタつきはあるものの、海外事業の成長は著しく、1年遅らせた中計目標値のハードルは低くないものの、達成の目が残されているものと考えています。

 

配当については、これまでは配当性向11%水準で株主還元を極限まで絞ってきましたが、足許の自己資本比率は40.1%に達し、ターゲットとしていた30~40%のレンジ上限に達したことから、配当性向を従前の14%から17%へもう一段引き上げ、配当予想も2円増配の年32円を予想しています。一応、翌期には配当性向20%に変更する予定のため、その場合は年36~40円まで増配となる見込みです。

 

*参考記事① 2021-03-20 2,888円 OP

【3139】ラクト・ジャパン/中計1年後ろ倒しも、脱脂粉乳の高在庫がやっと改善へ。

 

*参考記事② 2020-10-17 3,735円 OP

【3139】ラクト・ジャパン/給食・外食向け低調だが、内食・アジアが好調で安定成長を堅持。

 

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