【3139】ラクト・ジャパン/給食・外食向け低調だが、内食・アジアが好調で安定成長を堅持。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3139】ラクト・ジャパン(東証1部) OP

現在値 3,735円/100株 PER18.1 PBR2.14 11月配当 5月株主優待

旧東食系。乳原料・チーズ、食肉加工品の食品専門商社。北米、欧州、豪に拠点。
配当は11月末一括の30円配当のため、配当利回りは0.80%となります。

ラクト・ジャパンは株主優待制度を導入しており、5月末の単元株主に対して1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約1.07%となります。なお、3年以上継続保有の株主に対しては、クオカードではなく乳製品カタログギフトを進呈しています。(ギフト内容:欧州産チーズ詰め合わせや十勝チーズ、十勝白い牧場アイス詰め合わせ等)


業績は以下の通りとなります。
■2016年11月期 売上高 886億円、経常利益 14.3億円 EPS 96.8円 
■2017年11月期 売上高 1,013億円、経常利益 25.2億円 EPS 179.5円

■2018年11月期 売上高 1,154億円、経常利益 26.1億円 EPS 182.3円

■2019年11月期 売上高 1,167億円、経常利益 27.4億円 EPS 200.1円 

■2020年11月期 売上高 1,300→1,110億円、経常利益 30.0→29.0億円 EPS 206.2円 ce修正

□2020年5月2Q  売上高 579億円、経常利益 14.3億円 EPS 105.8円 

□2020年8月3Q  売上高 850億円、経常利益 22.0億円 EPS 163.3円(10/13)

 

2020年5月中間期の売上高は前年同期比0.3%減の579億円、経常利益は同14.5%増の14.3億円での着地となり、売上高はショートしたものの利益は予算水準を確保して着地しました。主力の乳原料・チーズ事業において、農畜産業推進機構(ALIC)による脱脂粉乳減少にともなう輸入量増加によるダブつき影響が尾を引いたことにくわえ、新型肺炎による学校給食用牛乳休止の影響で在庫が更に高水準に積み上がったものの、内食用の食品・菓子向けの伸長したため穴埋め出来た格好となります。一方、アジア事業については、主展開国であるシンガポール・フィリピンでロックダウン等の措置がとられたものの、そもそも外食向けが小さいため影響は限定的であり、逆に内食向けの食品・飲料が増勢となり、全社業績を厚く下支えしました。
 

なお2020年11月期の通期予算については最新の3Q時点で微減額しており、売上高は前期比5.0%減の1,110億円(従予:1,300億円)、経常利益は同5.6%減の29.0億円(従予:30.0億円)に修正しています。乳原料・チーズ事業については、脱脂粉乳の在庫過多の影響を受けるほか、外食・レジャーの回復が遅れているため、内食向けの伸びや夏休み縮小による学校給食の復元需要などでは補い切れない見通しです。また食肉事業についても、外食不振にくわえ海外工場からの調達遅延の影響を受けているような状況のため、新型肺炎禍でむしろ好調に推移しているアジア事業の上乗せはあるものの、おおよそ前期並みの数字に留まる公算です。なお10月13日に開示済の3Qについては、売上高が前年同期比2.8%減の850億円、経常利益は同5.8%増の22.0億円で進捗しています。

 

当社はローリング方式の中計を開示しており、3年後の2022年11月期に売上高1,410億円(CAGR6.5%)・経常利益35億円(CAGR8%)を目指しています。前回中計比で向こう3年間の売上高CAGRが150bps.、経常利益CAGRが100bps.減速しているものの微減の範囲であり、成長モメンタムには大きな変化が無いものと認識しています。事業環境として、国内乳製品消費量はここ20年頭打ちであるものの、生産量は酪農家高齢化と廃業により輸入依存度が尻上がりに上昇しているため(輸入依存度はこの20年で10pt.上昇して43%と推定)、乳製品商社としてシェアの約35%を握る首位の当社はそのをフルに享受出来る立場であることが構造的な強みであり成長ドライバーとなっています。ここ数年は脱脂粉乳の過剰在庫状態に苦しんでいるものの、政府による需給改善対策も開始されているほか、ブーム反動減がきつかったヨーグルトが免疫商品として見直しが進んでいるため、事業環境の良化が見込まれます。

 

海外事業についても、アジア市場における“食の欧米化”により乳製品消費量も飛躍的が増加しているため、国内以上に事業環境が良好と考えられます。当社は商社機能に留まらず、シンガポールやタイに工場を開設してメーカー機能を有しており(既に2工場ともフル操業で黒字化)、かかる新型肺炎禍で生産能力を1.3倍にすべく設備増強を進めていたシンガポール工場の竣工が翌期にズレ込む見通しとなったものの、会社側は中計に影響なしとしており、この海外事業の成長と国内市場の事業環境回復で表記数値目標は達成可能圏にあるとみています。

 

なお配当金については、これまでは配当性向11%水準で株主還元を極限まで絞ってきましたが、足許の自己資本比率は更に良化して37.0%となり、ターゲットとしていた30~40%のレンジに入ったことから、配当性向を14%に引き上げ、配当予想を22円→30円へ8円も増配しています。今後はアジアで工場の新設・増強による資金ニーズもあるため、還元水準としては妥当な範囲かと思われます。

 

*参考記事① 2020-04-13 3,095円 OP

【3139】ラクト・ジャパン/アジア圏での“食の欧米化”進み、向こう3年は成長維持か。

 

*参考記事② 2019-10-19  3,635円 NT

脱脂粉乳の高在庫は一過性、成長シナリオ不変。ラクト・ジャパン(3139)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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