【3139】ラクト・ジャパン(東証1部) OP
現在値 2,888円/100株 P/E15.4 P/B1.63 11月配当 5月株主優待
旧東食系。乳原料・チーズ、食肉加工品の食品専門商社。北米、欧州、豪に拠点。
配当は11月末一括の32円配当のため、配当利回りは1.11%となります。
ラクト・ジャパンは株主優待制度を導入しており、5月末の単元株主に対して1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約1.45%となります。なお、3年以上継続保有の株主に対しては、クオカードではなく乳製品カタログギフトを進呈しています。(ギフト内容:欧州産チーズ詰め合わせや十勝チーズ、十勝白い牧場アイス詰め合わせ等)
業績は以下の通りとなります。
■2018年11月期 売上高 1,154億円、経常利益 26.1億円 EPS 182.3円
■2019年11月期 売上高 1,167億円、経常利益 27.4億円 EPS 200.1円
■2020年11月期 売上高 1,108億円、経常利益 27.8億円 EPS 209.4円
■2021年11月期 売上高 1,150億円、経常利益 26.0億円 EPS 187.3円 ce
□2021年5月2Q 売上高 550億円、経常利益 11.0億円 EPS 81.0円 ce
2020年11月期の売上高は前期比5.1%減の1,108億円、経常利益は同1.2%増の27.8億円となり、期中の減額修正予算並みの着地となりました。乳原料・チーズ事業については、新型肺炎禍にともなう“巣ごもり需要”増加や夏休み縮小による学校給食の復元需要があったものの、外食・レジャーといった業務用が減少したほか、農畜産業推進機構(ALIC)が脱脂粉乳の輸入量を増加させたことで在庫過多影響を受けました。また食肉事業についても、“巣ごもり需要”の増加や取扱品目の拡大により数量増を確保したものの、為替影響で減収となっています。一方、アジア事業についてはチーズの製造・販売が堅調に推移しました。
進行期である2021年11月期の売上高は、3.8%増の1,150億円、経常利益は同6.5%減の26.0億円を見込んでいます。主力の乳原料・チーズ事業については、ここ数年重しとなっていたALICによる脱脂粉乳の高在庫方針が一服し、政府輸入枠の縮小で需給が引き締まることが期待されるほか、当社としてもこの国産在庫の販売に積極的に乗り出し、ついでに販路拡大を目指すこととしています。食肉事業については、サプライヤーとの協業による豚肉のブランド化で拡販を図るほか、アジア事業についても好調なチーズ事業で中国市場の深耕を図ります。以上から全般的には数量増を見込んでいるものの、下押しとなるのはアジア事業の日本向け原料輸出であり、これはまだ日本の脱脂粉乳の高在庫が尾を引いていることに由ります。
当社はローリング方式による中計を開示しており、3年後の2023年11月期に売上高1,410億円(CAGR8.5%)・経常利益35億円(CAGR8.0%)をセットし直していますが、数値目標自体は1年前と同値であり、新型肺炎禍と理由にちょうど1年後ろ倒しされた格好となります。事業環境としては、国内乳製品消費量はここ20年間12百万t程で横ばいとなっているものの、国内生産量は酪農家高齢化と廃業により輸入依存度が尻上がりに上昇しているため(輸入依存度42%、輸入量自体も年4.4%ペースで成長)、乳製品商社としてシェアの約4割弱を握る当社はこうした環境変化の恩恵をフルに享受出来るポジションとなっています。
海外事業については、商社事業以上にメーカー事業に傾注しており、既にタイ・シンガポールで稼働済の当社工場で自社ブランドによるチーズ製造を行っています。今後はこの2工場を軸にインドネシアやフィリピンといったアジアの周辺諸国への拡販を狙うほか、それを足掛かりに国産品の「北海道ブランド」の生乳をシンガポールで売り出すなどクロスセルを進めていますが、真のターゲットは日本からの食品輸入が現状禁止されている中国市場とみられます。そのため、目下の取組としては好調なシンガポール工場の設備増強を進め、アジア市場の足固めをしています。中計に掲げる数値目標自体は無理のない水準に見えるものの、日本を含めた各国政策に“振らされる”要素も大きく、達成確度の可視性は高くない状況です。
配当については、これまでは配当性向11%水準で株主還元を極限まで絞ってきましたが、足許の自己資本比率は更に良化して40.4%となり、ターゲットとしていた30~40%のレンジ上限に達したことから、配当性向を従前の14%から17%へと更にもう一段引き上げ、配当予想も2円増配の年32円を予想しています。一応、翌期には配当性向20%に変更する予定のため、その場合は年36~40円までは視野に入りそうです。
*参考記事① 2020-10-17 3,735円 OP
【3139】ラクト・ジャパン/給食・外食向け低調だが、内食・アジアが好調で安定成長を堅持。
*参考記事② 2020-04-13 3,095円 OP
【3139】ラクト・ジャパン/アジア圏での“食の欧米化”進み、向こう3年は成長維持か。
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