【3139】ラクト・ジャパン/北海道生乳生産好調で脱脂粉乳需給緩いが、海外事業は絶好調。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

image

【3139】ラクト・ジャパン(東証プライム) OP

現在値  2,134円/100株  P/E 9.6 P/B 1.04  11月配当 5月株主優待

旧東食系。乳原料・チーズ、食肉加工品の食品専門商社。北米、欧州、豪に拠点。
配当は11月末一括の37円配当のため、配当利回りは1.73%となります。

ラクト・ジャパンは株主優待制度を導入しており、5月末の単元株主に対して1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.20%となります。なお、3年以上継続保有の株主に対しては、クオカードではなく乳製品カタログギフトを進呈しており、仮に3,000円相当と試算した場合の同利回りは約3.13%となります(ギフト内容:欧州産チーズ、アイス、バター詰め合わせ等から一品)。


業績は以下の通りとなります。

■2020年11月期 売上高 1,108億円、経常利益 27.8億円 EPS 209.4円 

■2021年11月期 売上高 1,108億円、経常利益 26.8億円 EPS 198.7円 

■2022年11月期 売上高 1,400億円、経常利益 31.0億円 EPS 227.9円ce修正

□2022年5月2Q 売上高 697億円、経常利益 16.6億円 EPS 122.3円 

□2022年8月3Q 売上高 1,074億円、経常利益 27.2億円 EPS 199.6円(10/13)

 

2022年5月中間期の売上高はYoY+32.6%の697億円、経常利益はYoY+17.9%の16.6億円となり、期初予想を上回りました。乳原料・チーズ事業については、行動制限緩和により外食・レジャー向け需要が復調し、チーズ類が好調だったほか、食肉事業も量販店向けのチルドポーク、外食向けのベーコン・サラミ等が底堅く推移しました。またアジア事業についても、インバウンドの受入再開で食品・飲料メーカー向け販売が堅調に推移したほか、国際的な乳製品相場高騰による単価効果・円安による為替効果もあり、大幅増収となりました。

 

2022年11月期の通期見通しも増額しており、売上高はYoY+26.3%増の1,400億円(期予:1,260億円)、経常利益はYoY+15.6%の31.0億円(期予:29.0億円)に修正しています。乳原料・チーズ事業については、農畜産業振興機構(ALIC)の脱脂粉乳輸入の高在庫政策の影響を色濃く受けているものの、正常化による業務用需要や土産物向けの回復を見込みます。食肉事業も牛肉販売の本格化や、外食・内食向けの堅調推移が見込まれるほか、アジア事業も乳製品相場の単価効果と為替恩恵を大きく受ける公算です。去る10月13日開示の3Qでも高進捗が確認されることから、再増額含みと解されます。

 

当社はローリング方式で中計を開示しており、3年後の2024年11月期に売上高を1,108億円→1,500億円へ、経常利益26.8億円→39.0億円へ引き上げる目標です。乳製品の国内消費量は最近20年間で125万トンで横ばいの一方、国内生産量は酪農の高齢化と廃業、輸入依存度上昇で本来的な事業環境は悪くないものの、5~6年前の“バター危機”を教訓としたALICの脱脂粉乳高在庫政策の影響を受け続けています。2022年度は国や酪農団体は80億円を拠出して、9万tのうち最低2.5万トンの在庫を削減する方針としたものの、北海道の生乳生産が好調なため、逆に過去最高の在庫が積み上がっているような状況です。

 

逆に海外事業については、国際価格急騰による内外価格差から国内脱脂粉乳の輸出が堅調に推移しているほか、タイ・シンガポールの自社工場による自社ブランドでのチーズ製造・販売も好調に推移しています。シンガポール工場は昨年製造ラインの増強を実施したものの、タイ工場同様にフル操業状態が続いており、ロックダウン影響を受けた中国・上海向けが一時的に軟調な以外は順調に販売数量を伸ばしています。

 

株主還元については、2019年11月期までは配当性向を11%水準にまで絞っていましたが、自己資本比率が30%台半ばに到達したことから、14%→17%に段階的に引き上げ、創立25周年となる2024年11月期に20%を目指す方針です。進行期は5円増配の年37円配(配当性向16.2%)を予想していますが、中計どおりの利益水準と配当性向の引き上げを前提とすれば、最終的に年57円程の配当が試算されます。

 

*参考記事① 2022-04-12 2,053円 OP

【3139】ラクト・ジャパン/国内脱脂粉乳の高在庫状態はやや改善見込み、海外事業が下支え。

 

*参考記事② 2021-10-05  2,751円 OP

【3139】ラクト・ジャパン/国内の脱脂粉乳在庫高止まりも、通期予算を増額。なお保守的か。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

にほんブログ村 株ブログ 株主優待へ にほんブログ村 株ブログ IPO・新規公開株へ にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ