【8015】豊田通商(東証プライム) NT
現在値 9,449円/100株 P/E 10.3 P/B 1.47 3月配当 9月配当 株主優待なし
トヨタ系の総合商社。06年にトーメン合併。自動車事業で営業利益の7割を稼ぐ。
今期予想配当金は年2回・合計250円のため、配当利回りは約2.65%となります。
豊田通商は株主優待制度を導入していません。
業績を確認していきます。IFRSとなります。
■2021年3月期 営業収益 63,093億円、最終利益 1,346億円 EPS 382円
■2022年3月期 営業収益 80,280億円、最終利益 2,222億円 EPS 631円
■2023年3月期 営業収益 98,485億円、最終利益 2,841億円 EPS 807円
■2024年3月期 営業収益 (非公表)億円、最終利益 3,200億円 EPS 909円ce(10/31)
□2023年9月2Q 営業収益 51,352億円、最終利益 1,777億円 EPS 505円
□2023年12月3Q 営業収益 77,101億円、最終利益 2,708億円 EPS 769円(2/2)
2023年9月期の営業収益はYoY+4.6%の5兆1,352億円、最終利益はYoY+17.5%の1,777億円となり、予算比は無いものの2桁増益となりました。金属事業こそアルミやリチウム等の金属市況軟化で減益となったものの、自動車事業の販売台数が欧州域で増加したほか、アフリカ事業(の自動車販売)数量増が業績を牽引しました。また好調な自動車事業に連れる形でグローバル部品事業、エレキ事業も増益となり、総じて好調な折り返しとなりました。
なお2024年3月期の通期見通しは中間時点で再増額しており、最終利益がYoY+12.6%の3,200億円(期予:2,800億円)に修正するとともに、予算諸元の為替前提を135円→140円/$、145円→150円/€に見直しています。金属事業が鋼材・資源価格の反落、エネルギー事業も欧州を中心した電力価格の調整影響を受ける一方、自動車関連(自動車事業、アフリカ事業、グローバル部品事業他)はトヨタ車の販売好調を受けて総じて堅調な展開が見込まれます。2月2日に開示済の3Qの最終利益は2,708億円と好進捗しており、上振れ含みと解されます。
当社はローリング方式で3年中計を公表しており、2026年3月期までに最終利益3,200億円(実績:2,841億円)、ネットD/E1.0倍以内(実績0.68倍)、営業CF/投資CFの3ヵ年累計8,800~11,000億円を目指す計画としていましたが、今回の見通し増額修正で2年前倒しの達成が射程に入ります。今次中計での重点戦略分野としては、①基盤事業SCの死守、②7重点分野強化、③グローバル人材輩出、の3点を挙げているほか、向こう3年間で8,800億円もの過去に無いスケールで投資枠を設定しています。
①の例として、強みを持つアフリカ事業は売上高1兆円(投資額:1,100億円)を掲げ、事業統合済のフランス系アフリカ商社・CFAOを軸に展開を進めており、足許ではリース用車両への投資を実施しています。また、南ア・ケニア・ガーナ他で取り組んでいる半製品輸出のKD/SKD事業を、アジア域のカンボジアにも拡大する目論見ですが、親のトヨタ自動車次第となります。
➁はトヨタのEV需要に対応するリチウム確保を推進しており、豪資源大手のオロコブレと合弁(持分25%)でアルゼンチンのオラロス塩湖で日本初のリチウム開発を行い、現状17,500t/yの生産体制を向こう3年で42,500t/yまで引き上げる計画です。注力中の再エネ・エネマネ分野は、2022年に国内再エネ発電最大手のユーラスエナジーに1,850億円を投じて東電持分(40%)を買収した完全子会社化したほか、昨年4月にソフトバンク系のSBエナジーに1,020億円を投じて子会社化(85%、残り15%はSBG保有)しています。
株主還元については、今次中計でも「配当性向25%以上、安定増配」の還元ポリシーを継続した経緯があるものの、中間決算公表時に「配当性向30%以上+機動的な自社株買い」に改め、2026年3月期までに達成することとしています。かような方針から、中間時点で配当予想を再増額しており、年48円増配となる年250円配当(配当性向27.5%)を見込んでいます。
*参考記事① 2023-09-27 9,082円 NT
【8015】豊田通商/1Qで通期見通し増額も依然強含み、見劣りする株主還元の強化が論点。
*参考記事② 2023-02-01 5,460円 OP
【8015】豊田通商/東電からのユーラス買収は中長期で大きな一手、リチウムも伸長。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。