【8439】東京センチュリー/航空機リースのACGが回復基調入り鮮明、NTTグループ協業も進む。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8439】東京センチュリー(東証プライム) OP

現在値  1,530円/100株  P/E 10.7  P/B 0.82 3月配当優待 9月配当

伊藤忠系、旧第一勧銀系が合併したリース大手。銀行色薄く、経営に自由度。
配当は3月末・9月末の年2回合計50円のため、配当利回りは3.27%となります。

東京センチュリーは株主優待を導入しており、3月現在の4単元株主に対して、2,000円分のクオカード進呈しているほか、3,000円分のニッポンレンタカー利用券を進呈していますので、4単元保有時の配当優待利回りは約4.00%となります。

 

業績を確認していきます。 

■2021年3月期 売上高 12,001億円、経常利益 781億円 EPS 99円 

■2022年3月期 売上高 12,779億円、経常利益 905億円 EPS 103円 

■2023年3月期 売上高 13,249億円、経常利益 1,061億円 EPS 10円

■2024年3月期 売上高 (未定)億円、経常利益 1,100億円 EPS 142円 ce

□2023年9月2Q 売上高 6,854億円、経常利益 592億円 EPS 72.5円

□2023年12月3Q 売上高 10,033億円、経常利益 911億円 EPS 116円(2/9)


2023年9月中間期の売上高はYoY+9.4%の6,854億円、経常利益はYoY+6.1%の592億円となり、予算比は無いもの増収増益となりました。営業資産残高は53,638億円→55,524億円に膨らみ、国内リースはオリコ関連2社の持分法落とし、NTT・TCの大型案件剥落で減益となったものの、オートリースのニッポンレンタカー(NRS)が急回復しました。また専門事業のAviation Capital Group(ACG)の航空機リースは調達金利上昇影響を受けたものの、ロシア関連の一過性減損剥落で大幅増となりました。

 

なお2024年3月期の通期見通しについては、経常利益はYoY+3.6%の1,100億円を据え置いています。国内リースは金利上昇による資金原価上昇影響があるものの、新型肺炎禍の一巡と車両売却でオートリースのNRSが大変好調に推移しているほか、ACGを中心とする航空機が現金主義のキャリアからのリース料回収増のほか、中古機購入や再リースの需要増、減損剥落により大幅増益を見込みます。なお2月9日公表済の3Qは経常益911億円で進捗しており、上振れ圏にあります。


進行期は2028年3月期を最終年度とする第5次中計の初年度であり、向こう5ヵ年で調整後実力純利益628億円を1,000億円まで引き上げる意欲的な計画としています。注力領域を①脱炭素、➁社会インフラ、③サーキュラーエコノミーの3領域に定めるとともに、事業分野協業による横連携や、顧客課題解決型の“オーケストレーター”モデルによる高付加価値創出を志向します。

 

①脱炭素は、2040年にカーボンニュートラルの目標を掲げ、環境インフラはバイオマス発電主力の周南パワーにくわえ、本年1月に約100億円を投じて英国運用大手のSchroders傘下会社とともに英国の太陽光発電所34箇所(303MW)を共同取得しています。本件取得により、再エネ発電容量は2025年3月期に1GW級に到達する見通しです。

 

➁の社会インフラについては、2019年に持分法の航空機リース世界大手の一角であるACGに追加で3,200億円を投じて完全子会社化しています。上述のとおり新型肺炎禍からの回復途上にあるため、当面はその“戻り分”で相応の利益成長が見込まれるほか、今後の資産回転推進で利益を150億円水準から300億円まで引き上げる目論見です。また、2020年のNTTとの資本業務提携により、不動産分野でデータセンターの共同開発(インド)が進捗しているほか、足許ではNTTデータともシカゴで共同運営するなど、NTTグループとの協業が急速に進展しています。

 

なお株主還元については、2004年3月期より18期に渡って継続してきた連続増配を見送ったものの、今次中計期間から配当性向を30%→35%に引き上げる方針としており、14円増配となる年50円配当を見込んでいます。


*参考記事① 2023-08-10 1,334円*  OP *分割遡及修正済

【8439】東京センチュリー/米金利上昇でACG回復緩慢も、株主還元強化で年200円に大幅増配。

 

*参考記事② 2023-02-13 1,150円* OP *分割遡及修正済

【8439】東京センチュリー/ロシアエクスポージャーを全額減損、純利益均衡圏だが配当維持の公算。

 

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