【8439】東京センチュリー/ロシアエクスポージャーを全額減損、純利益均衡圏だが配当維持の公算。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8439】東京センチュリー(東証プライム) OP

現在値  4,600円/100株 P/E 563.0  P/B 0.68 3月配当優待 9月配当

伊藤忠系、旧第一勧銀系が合併したリース大手。銀行色薄く、経営に自由度。
配当は3月末・9月末の年2回合計143円のため、配当利回りは3.11%となります。

東京センチュリーは株主優待を導入しており、3月現在の単元株主に対して、2,000円分のクオカード進呈しているほか、3,000円分のニッポンレンタカー利用券を進呈していますので、配当優待利回りは約4.19%となります。

 

業績を確認していきます。 

■2020年3月期 売上高 11,665億円、経常利益 911億円 EPS 525円  

■2021年3月期 売上高 12,001億円、経常利益 781億円 EPS 402円 

■2022年3月期 売上高 12,779億円、経常利益 905億円 EPS 411円 

■2023年3月期 売上高 (未定)億円、経常利益 1,000億円 EPS 8.18円ce修正

□2022年9月2Q 売上高 6,264億円、経常利益 558億円 EPS▲51.3円

□2022年12月3Q 売上高 9,584億円、経常利益 825億円 EPS▲83.1円(2/7)


2022年9月期の売上高はYoY+1.2%の6,264億円、経常利益はYoY+2.1%の558億円となり、予算比は無いものの対前で微増となりました。営業資産残高は主に為替要因で48,794億円→53,317億円に膨らみ、国内リースはNTT合弁が堅調に推移したほか、オートリースのニッポンレンタカー(NRS)の回復とコスト削減や、中古車高騰の恩恵を受けたNCSの車両売却益が寄与しました。専門事業のAviation Capital Group(ACG)等の航空機リースも回復がみられたものの、税前でACGのロシア向けエクスポージャー8機を全額減損(▲470億円)を計上しています。

 

2023年3月期の通期見通しは1月10日に修正しており、売上高は非公表、経常利益はYoY+10.5%の1,100億円と期初予想を据え置く一方、最終利益は10億円(期予:200億円)まで減額しています。国内リースは金利上昇による資金原価上昇の影響がみられるものの、NTT、日通の合弁が順調なほか、オートリースの中古車売却益が一段と膨らんで全社収益を下支えします。なお、ACGのロシア絡み融資等の回収見込みが立たないことから、3Qで減損▲290億円を追加計上したため、純利益は均衡圏手前まで落ち込む見通しです(全額付保も回収確度未定)。


進行期は第4次中計の最終年度であり、3ヵ年で経常利益を911億円→1,300億円に、純利益を563億円→800億円に引き上げる計画でしたが、航空機リース事業が大きい当社は、新型肺炎禍とロシア・ウクライナ影響を受ける形で、経常利益目標を1,000億円に、純利益を200億円に大幅減額しています。上述のとおり純利益は均衡圏に留まるものの、中古車市況高騰による多額の売却益計上が寄与し、減額後の経常利益目標は確保する公算です。

 

当社は2019年に持分法だったACGに追加で3,200億円を投じて完全子会社化しています。同社はナローボディ(狭胴機)を中心に300機を保有していたことから、既存の50機程と合わせて、航空機リースの世界大手の一角となりました。ACG単独業績は、年商1,100億円/税前利益で150億円程の寄与が見込まれたものの、買収時PPAによる航空機簿価洗替影響のほか、ロシア・ウクライナ情勢悪化を受けた航空業界の環境悪化で、減損除きでも限定的な業績寄与となっています。

 

他方、2020年には資本業務提携を締結したNTTとの合弁事業(持分50%、旧NTTファイナンス)については、高いクレジットを活かした資金原価低減効果の発現のほか、同社グループの営業車受託&全面EV化、不動産・再エネ事業、インドにおけるデータセンター事業等でも協業が進んでおり、順調な拡大が目されます。また、昨年7月には農林中金とともにMUFG系の東銀リースの持分法(25%)適用に収めており、本来的な企業集団であるみずほグループの垣根を大きく超えた連携・協業が進んでいます。

 

株主還元については、今次中計期間より配当性向を25%→30%に引き上げる方針としていたものの、足許の減損影響が大きく、2004年3月期より18期に渡って継続してきた連続増配を見送り、現時点では一旦据え置く(年143円配)こととしています。

 

*参考記事① 2022-08-02 4,770円 OP

【8439】東京センチュリー/ロシア向け航空機以外は順調、MUFG系の東銀リースを持分法化。

 

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