【8439】東京センチュリー(東証プライム) OP
現在値 4,770円/100株 P/E 29.1 P/B 0.87 3月配当優待 9月配当
伊藤忠系、旧第一勧銀系が合併したリース大手。銀行色薄く、経営に自由度。
配当は3月末・9月末の年2回合計143円のため、配当利回りは3.00%となります。
東京センチュリーは株主優待を導入しており、3月現在の単元株主に対して、2,000円分のクオカード進呈しているほか、3,000円分のニッポンレンタカー利用券を進呈していますので、配当優待利回りは約4.04%となります。
業績を確認していきます。
■2019年3月期 売上高 10,676億円、経常利益 863億円 EPS 494円
■2020年3月期 売上高 11,665億円、経常利益 911億円 EPS 525円
■2021年3月期 売上高 12,001億円、経常利益 781億円 EPS 402円
■2022年3月期 売上高 12,779億円、経常利益 905億円 EPS 411円
■2023年3月期 売上高(未定)億円、経常利益 1,000億円 EPS 163円 ce
□2022年9月2Q 売上高 6,750億円、経常利益 500億円 EPS 81.8円 四e
2022年3月期の売上高はYoY+6.5%の12,779億円、経常利益はYoY+15.9%の905億円で着地し、4月の減額修正見通し並みの着地となりました。期末時点の営業資産残高は不動産領域等の専門事業の積み上げで48,005億円→48,794億円と着実増となったほか、国内リースはNTT合弁が想定超となり、オートリースのニッポンレンタカー(NRS)も構造改革と法人リースの好伸により最高益を確保しました。他方、専門事業は新型肺炎禍影響が直撃したAviation Capital Group(ACG)に代表される航空機リースが大幅減となった一方で、不動産が堅調に推移するなどした結果、全社では2桁増益を確保しています。
2023年3月期の予算については、売上高は非公表、経常利益はYoY+10.5%の1,100億円とする一方、最終益はYoY▲6割の200億円を見込みます。国内リースはNTT、日通との合弁ほかで着実増、オートリースも構造改革効果の発現と観光等レンタカー需要の戻りで続伸します。また専門事業も(ロシア向けを除き)最悪期を脱する航空機リースの復調と、環境・エネルギーといった先進領域の伸長により反転増が見込まれます。なお、営業外でACGのロシア向けエクスポージャー8機を全額減損(▲460億円)を織り込んでいるものの、全額付保かつ請求済の保険金を見込んでいないため、最終益は戻入で上振れが確実とみられます。
進行期は第4次中計の最終年度であり、この3年間で経常利益を911億円→1,300億円に、純利益を563億円→800億円に引き上げる計画でしたが、航空機リース事業が大きい当社は、新型肺炎禍とロシア・ウクライナ情勢の影響を色濃く受ける形で、足許で経常利益目標を1,000億円に、純利益を200億円まで大幅減額しています。経常利益1,000億円は終わった期の当初予想の水準であり、航空機以外は堅調も、終わった期の評価益と売却益でかさ上げされた水準を、オーガニック成長で奪回する程度に留まる見込みです。
当社はかねてより持分法適用としてきたACGについて、2019年に3,200億円を追加出資して完全子会社化しています。同社は航空機リース世界11位に位置し、ナローボディ(狭胴機)を中心に300機強を保有していたことから、当社の既存の50機程と合わせて、世界大手の一角となりました。ACG単独業績は、年商1,100億円/税前利益150億円程の寄与が見込まれる筈であるものの、買収時PPAによる航空機簿価洗替で、連結するとマイナス寄与しています。懸案だったハイナン航空向けの整理が進んでいたものの、足許ではロシア向けが改めて重しとなる形となっています。また、年末にエアバス最新機を60機発注しており、中長期的な収益期待がかかるものの、現時点では業績寄与の可視性が低い状況です。
他方、2020年にはNTTと資本業務提携を締結しており、NTT本体から10%出資を受ける一方、合弁会社のNTT・TCリース(旧NTTファイナンス)を折半出資とし、同社グループの営業車受託と全面EV化、不動産・再エネ事業の協業推進にくわえ、インドでは共同でデータセンター事業を拡大するなど、急速にウイングを拡大させています。また、2027年度竣工の三菱地所のTOKYO TORCHに事業参画したほか、本年7月には農林中金とともにMUFG系の東銀リースの持分法適用化(25%)を決めており、NTTに続き企業グループの垣根を大きく超えた連携が進んでいます。
なお株主還元については、今次中計より配当性向を25%→30%に引き上げる方針としていたものの、足許の減損影響が大きく、2004年3月期より18期に渡って継続してきた連続増配を見送り、現時点では一旦据え置く(年143円、配当性向87.4%)こととしています。
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