【8439】東京センチュリー/米金利上昇でACG回復緩慢も、株主還元強化で年200円に大幅増配。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8439】東京センチュリー(東証プライム) BY

現在値  5,336円/100株  P/E 9.33  P/B 0.86 3月配当優待 9月配当

伊藤忠系、旧第一勧銀系が合併したリース大手。銀行色薄く、経営に自由度。
配当は3月末・9月末の年2回合計200円のため、配当利回りは3.75%となります。

東京センチュリーは株主優待を導入しており、3月現在の単元株主に対して、2,000円分のクオカード進呈しているほか、3,000円分のニッポンレンタカー利用券を進呈していますので、配当優待利回りは約4.68%となります。

 

業績を確認していきます。 

■2021年3月期 売上高 12,001億円、経常利益 781億円 EPS 402円 

■2022年3月期 売上高 12,779億円、経常利益 905億円 EPS 411円 

■2023年3月期 売上高 13,249億円、経常利益 1,061億円 EPS 38.9円

■2024年3月期 売上高 (未定)億円、経常利益 1,100億円 EPS 571円 ce

□2023年6月1Q 売上高 3,289億円、経常利益 317億円 EPS 148円(8/9)

□2023年9月2Q 売上高 6,500億円、経常利益 560億円 EPS 310円 四e


2023年3月期の売上高はYoY+3.7%の13,249億円、経常利益はYoY+17.3%の1,061億円となり、増益ながらも期初予想を下回りました。営業資産残高は主に為替要因で48,794億円→53,638億円に膨らみ、国内リースはTC単体こそ減益となったものの、NTT、日通合弁が堅調に推移したほか、オートリースのニッポンレンタカー(NRS)の回復とコスト削減や、中古車高騰の恩恵を受けたNCSの車両売却益が寄与しました。専門事業についてもAviation Capital Group(ACG)の航空機や船舶の回復が顕著だったものの、税前でACGのロシア向けエクスポージャー8機のうち7機を全額減損(▲458億円)しています。

 

進行期である2024年3月期の予算については、売上未公表ながら、経常利益はYoY+3.6%の1,100億円を予想しています。国内リースは金利上昇による資金原価上昇影響を受けるものの、NTTら合弁が堅調に推移しているほか、オートリースのNRSは新型肺炎禍前を超える水準に回復しており、国内は総じて強含みが見込まれます。また、正常化によりACGを中心とする航空機が一段増となるほか、減損影響もなくなるため、最終益段階で過去最高を更新する見通しです。


終わった期は第4次中計の最終年度であり、3ヵ年で経常利益を911億円→1,300億円に引き上げる計画でしたが、航空機リース事業が大きい当社は、新型肺炎禍とロシア・ウクライナ影響を色濃く受ける格好で、経常利益は1,000億円を超える水準に留まりました。今次公表の第5次中計では、2028年3月期までに調整後実力純利益628億円を1,000億円に引き上げる計画であり、これは新型肺炎禍前のおよそ倍の水準となるため、実勢比でかなり意欲的な目標という印象です。

 

当社は2019年に持分法のACGに追加で3,200億円を投じて完全子会社化しています。同社はナローボディ(狭胴機)を中心に300機を保有していたことから、既存の50機程と合わせて、航空機リースの世界大手の一角となっています。上述のとおり、正常化による旅客数回復で航空会社からの機体ニーズ増加が見込まれるものの、航空機リース料が本格回復していない一方で、米国金利上昇による金融費用が増加が顕著なため、業績の戻りは緩慢となります。

 

国内は2020年のNTTとの合弁事業(持分50%、旧NTTファイナンス)開始により、営業車受託&全面EV化、不動産・再エネ事業、インドにおけるデータセンター事業などNTTグループ案件の受注が急拡大しており、当面は確りとした業績寄与が見込まれます。また、オートリース事業についても、所謂“ビッグモーター事件”で中古車販売の減速可能性があるものの、人流回復によりレンタカーのNRSを中心とした拡大が目されます。これら以外にも、農林中金とともにMUFG系の東銀リースを持分法適用(25%)に収めているほか、当社に3割出資する伊藤忠との協業案件が増加しており、中長期的なウイング拡大の可視性は高い状況です。

 

株主還元については、2004年3月期より18期に渡って継続してきた連続増配を見送ったものの、今次中計期間から配当性向を30%→35%に引き上げる方針としており、57円もの増配となる年200円配当を見込んでいます。

 

*参考記事① 2023-02-13 4,600円 OP

【8439】東京センチュリー/ロシアエクスポージャーを全額減損、純利益均衡圏だが配当維持の公算。

 

*参考記事② 2022-08-02 4,770円 OP

【8439】東京センチュリー/ロシア向け航空機以外は順調、MUFG系の東銀リースを持分法化。

 

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