【8015】豊田通商(東証プライム) NT
現在値 9,082円/100株 P/E 10.6 P/B 1.52 3月配当 9月配当 株主優待なし
トヨタ系の総合商社。06年にトーメン合併。自動車事業で営業利益の7割を稼ぐ。
今期予想配当金は年2回・合計214円のため、配当利回りは約2.36%となります。
豊田通商は株主優待制度を導入していません。
業績を確認していきます。IFRSとなります。
■2021年3月期 営業収益 63,093億円、最終利益 1,346億円 EPS 382円
■2022年3月期 営業収益 80,280億円、最終利益 2,222億円 EPS 631円
■2023年3月期 営業収益 98,485億円、最終利益 2,841億円 EPS 807円
■2024年3月期 営業収益 (非公表)億円、最終利益 3,000億円 EPS 852円ce(7/28)
□2023年6月1Q 営業収益 24,507億円、最終利益 982億円 EPS 263円(7/28)
□2023年9月2Q 営業収益 49,000億円、最終利益 1,450億円 EPS 430円 四e
2023年3月期の営業収益はYoY+22.7%の9兆8,485億円、最終利益はYoY+27.9%の2,841億円となり、中間の増額修正を上振れて着地しました。自動車事業の南太平洋域での販売台数増加、エレキ事業の値上げ浸透のほか、アフリカ事業の自動車販売数量増など軒並み堅調に推移しました。一過性利益は南米資源持分除外益の剥落影響が大きく、“段差”がYoY▲300億円程存することを踏まえると、実力ベースでは3割増益となります。
進行期である2024年3月期の見通しは1Q時点ではや増額しており、最終利益がYoY+5.6%の3,000億円(期予:2,800億円)に修正するとともに、予算諸元の為替前提を125円→135円/$、135円→145円/€に見直しています。エレキ事業の車載品の増加や、自動車・アフリカ事業の取扱台数増が増益要素となる一方、金属事業の鋼材・資源価格高騰一巡や、ユーラスエナジー他電力価格の沈静化が減益要素で綱引きとなるものの、足許ではトヨタ車の堅調推移が確認されることから、依然強含みの状態と解されます。
当社はローリング方式で3年中計を公表しており、2026年3月期までに最終利益3,200億円(実績:2,841億円)、ネットD/E1.0倍以内(実績0.68倍)、営業CF/投資CFの3ヵ年累計8,800~11,000億円を目指す計画としています。今次中計での重点戦略分野としては、①基盤事業SCの死守、②7重点分野強化、③グローバル人材輩出、の3点を挙げているほか、向こう3年間で8,800億円もの過去に無いスケールの投資枠を設定しています。
①の例として、強みを持つアフリカ事業は売上高1兆円(投資額:1,100億円)を掲げ、事業統合済のフランス系アフリカ商社・CFAOを軸に展開を進めており、足許ではリース用車両への投資を実施しています。また、南ア・ケニア・ガーナ他で取り組んでいる半製品輸出のKD/SKD事業を、アジア域のカンボジアにも拡大していく方針ですが、この辺はトヨタ自動車のグローバル展開と生産方針にも他律的に振らされる格好となります。
➁はトヨタのEV需要に対応すべく、10年以上前からリチウム確保に動いており、豪資源大手のオロコブレと合弁(持分25%)でアルゼンチンのオラロス塩湖で日本初のリチウム開発を行っており、現状17,500t/yの生産体制を向こう3年で42,500t/yまで引き上げる計画です。注目の再エネ・エネマネ領域については、去年に国内再エネ発電最大手のユーラスエナジーに1,850億円を投じて東電持分(40%)の全てを買い上げ、完全子会社化していますが、今次中計でも3,500億円の投資枠を設定しています。
他方、株主還元については、今次中計期間でも「配当性向25%以上、安定増配」を還元ポリシーとしており、期初時点では2円増配の年204円配を予想していましたが、1Qの上方修正成りで更に10円を積み増し、年214円配まで増額しています。それでも他商社比で還元性向が低水準に留まっているほか、保有株式の売却を推進しているため、追加還元期待がかかります。
*参考記事① 2023-02-01 5,460円 OP
【8015】豊田通商/東電からのユーラス買収は中長期で大きな一手、リチウムも伸長。
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