【7456】松田産業/電子デバイス向け低調も、株主還元姿勢には変化もみられる。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

image

【7456】松田産業(東証プライム)  OP

現在値 2,379円/100株 P/E 9.55  P/B 0.72  3月配当優待 9月配当

電子部品スクラップから貴金属を回収、電子材料・地金の形で販売。
配当は3月末・9月末の年2回・計60円配当であり、配当利回りは2.52%となります。

松田産業は株主優待制度を導入しており、100株以上保有の3月末株主に2,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.44%となります(1年以上の継続保有が条件)。

業績を確認していきます。  

■2021年3月期 売上高 2,315億円、経常利益 83.6億円、EPS 232.6円

■2022年3月期 売上高 2,722億円、経常利益 137.3億円、EPS 366.4円 

■2023年3月期 売上高 3,510億円、経常利益 138.0億円、EPS 371.7円 

■2024年3月期 売上高 3,300億円、経常利益 93.0億円、EPS 249.1円 ce

□2023年6月1Q 売上高 885億円、経常利益 24.1億円、EPS 77.5円(8/10)

□2023年9月2Q  売上高 1,580億円、経常利益 41.0億円、EPS 107.3円 ce


2023年3月期の売上高はYoY+28.9%の3,510億円、経常利益はYoY+0.8%の138.0億円となり、1Q時点の増額見通しを更に上回って着地しました。主力の貴金属事業は、在庫高止まりにより下期にかけて失速したものの、主要顧客である自動車や半導体・電子デバイス業界向けが概ね堅調に推移したほか、金市況高騰による単価効果も寄与しました。食品事業については、新型肺炎禍一巡で外食向けが回復したものの、原材料高や物流費高騰影響が大きく、大幅増収ながら2割を超える減益となりました。

進行期である2024年3月期の通期予想については、売上高はYoY▲10.2%の3,300億円、経常利益はYoY▲32.8%の93.0億円を予想しています。貴金属事業については、宝飾・触媒関連の好調が見込まれる一方、市況調整局面を迎えた電子デバイス業界向けが一服となり、減収減益想定となります。他方、食品事業についてはインバウンド回復で外食ニーズ増加で数量増も、販売単価下落で減収を見込みます。尚、8月10日に開示済の1Qは売上高885億円&経常益29.1億円で進捗しており、計画線の進捗と解されます。

 

当社は2026年3月期を最終年度とする4年中計で売上高を2,722億円→3,000億円に、営業利益を126億円→130億円へと其々引き上げる計画としています。足許の好業績が空前の貴金属市況高騰による“追い風参考”状態のため、利益計数は概ね横ばいの想定です。今次中計での取組方針は、①積極投資による基盤強化と収益源創出、②体制強化、③ESGの3本立てとなっています。

 

貴金属事業については、2020年に貴金属スクラップの前工程を行う関工場に過去十年程では最大級の投資を実施したほか、台湾にも前処理工場を竣工させるなど、断続的に投資を継続しています。今次中計では300億円の投資枠を設定しており、2021年末に北九州に18千坪の施設用素地を取得したほか、昨年は入間に延床5千坪の工場及び敷地を70億円で取得しています。特に九州は半導体工場の誘致が進んでいることから、2024年の第1期稼働から恩恵を受けることが期待されます。

 

なお300億円の投資枠には、老朽化設備リプレイスのCAPEXも含まれているため、年▲23億円程の償却費負担は大きくなる可能性があります。そのため、貴金属市況が反落する前に、電池内レアメタルの取出しといったリチウムイオン電池分野における高付加価値領域の深堀りが期待され、その辺の“種蒔き”の進捗が投資論点となりそうです。

 

株主還元については、10円増配の年60円配当(配当性向24.1%)を予想しています。高水準の自己資本比率(65.4%)を鑑みればなお還元余地があるほか、会社側もいわゆるPBR1.0倍論点にも言及し、大幅減益ながら増配予想としていることから、株主還元姿勢にはやや変化がみられます。なお、これとは別に散発的な自社株買いも実施しており、総還元性向はおおむね3割程度となります。

 

*参考記事① 2022-08-23​​​​​​ 2,337円 OP

【7456】松田産業/貴金属市況高騰裏に積極投資を継続、好業績も株主還元は物足りぬ印象。

 

*参考記事② 2022-02-02 2,335円 OP

【7456】松田産業/空前の金属市況高騰で好業績を謳歌、追加の株主還元策が待たれる。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

にほんブログ村 株ブログ 株主優待へ にほんブログ村 株ブログ IPO・新規公開株へ にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ