【7456】松田産業/空前の金属市況高騰で好業績を謳歌、追加の株主還元策が待たれる。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

IMG_5821.jpg

【7456】松田産業(東証1部)  OP

現在値 2,335円/100株 P/E 6.69  P/B 0.85  3月配当優待 9月配当

電子部品スクラップから貴金属を回収、電子材料・地金の形で販売。
配当は3月末・9月末の年2回・計44円配当であり、配当利回りは1.88%となります。

松田産業は株主優待制度を導入しており、100株以上保有の3月末株主に2,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.74%となります(但し1年以上の継続保有が条件)。また、これとは別で3月末の株主へのサービスとして、希望する全株主に対して、富士山をフィーチャーした特製カレンダーを進呈しています。

業績を確認していきます。

■2018年3月期 売上高 1,901億円、経常利益 51.4億円、EPS 131.3円 

■2019年3月期 売上高 2,083億円、経常利益 50.9億円、EPS 128.8円  

■2020年3月期 売上高 2,109億円、経常利益 63.8億円、EPS 153.7円 

■2021年3月期 売上高 2,315億円、経常利益 83.6億円、EPS 232.6円

■2022年3月期 売上高 2,500億円、経常利益 111.0億円、EPS 295.1円 ce

□2021年9月2Q  売上高 1,360億円、経常利益 78.3億円、EPS 209.6円(11/10)


2021年9月中間期の売上高はYoY+21.8%の1,360億円、経常利益はYoY2.1倍の78.3億円となり、1Qの増額予算を更に上回って進捗しました。主力の貴金属事業は、主要顧客であるエレキ業界において、半導体不足による自動車生産停滞の影響を受けたものの、スマホ市場の回復を背景に電子・デバイス分野の数量が好伸したほか、金・銀・白金等の貴金属価格の高騰による単価効果で利益スプレッドが拡大しました。他方、食品事業については、新収益基準への移行により売上は微増に留まったものの、水産・畜産・農産いずれも数量増となったほか、高騰した鶏卵を中心とした単価効果も追い風となり、大幅増益を確保しています。

なお2022年3月期の通期見通しについては、1Q時点の増額予算を据え置いており、売上高は8.0%増の2,500億円、経常利益は32.6%増の111.0億円と大幅増益を見込んでいます。貴金属事業については、電子・デバイス分野の生産活動回復にともない、仕入側の産廃処理受託とリサイクル量が増加する一方、販売側ではエレキ業界、自動車業界の回復にくわえ、金属市況も高水準を維持していることから、数量及び単価効果による上伸が見込まれます。食品事業についても、コンテナ不足といった下押し要素はあるものの、水産・畜産・農産いずれも数量増により堅調に推移する見通しのため、増額後の全社予算についても上振れる公算が高そうです。

 

終わった期は3年中計の最終年度であり、売上高2,083億円→2,200億円、営業利益49億円→55億円へと其々伸長させる計画でしたが1年前倒しで達成し、最終年度で更に積み増して大幅過達となりました。貴金属事業における設備投資積極化や海外拠点の拡大を図り、2020年は貴金属スクラップの分別・選別・濃縮といった前工程を行う関工場に直近10年で最大規模となる設備投資を実施したほか、台湾に設立した現地法人の前処理工場を本格稼働させています。結果、この関工場の大増強により新型肺炎禍後の生産回復局面と貴金属相場高騰の恩恵をフル享受出来た格好となりました。

 

現状新たな中計は走っておらず、会社側によれば翌期序盤(本年5月の本決算同時とみられる)に新中計を開示予定としており、新領域や投資計画・株主還元等が織り込まれる旨がアナウンスされています。足許では営業と物流の両機能を有する仙台営業所(金属・食品)開設し、北九州では新たに18千坪の工場用地を取得していることから、既存領域の量的拡大策がメインになろうかと思われますが、世界的なEV潮流を捉えたリチウムイオン電池事業を推進しており、電池内レアメタルの取出を強化しています。なお前述の関工場増強もあり、償却負担が通年で23億円超となるなど急伸していますが、力強いトップライン成長で軽くこなしています。

 

株主還元については、期初時点から4円増配の年42円配を予想しています。設備投資意欲旺盛なため資金需要があるものの、空前の市況高恩恵で自己資本の積み上がりが早く、自己資本比率はなお60%台後半を維持しています。そのため、今期の順調すぎる業績を鑑みれば更なる増配が期待されるところであり、「50円+α」を予想していますが、再増配なかりせばスポットでの自社株買いが十分に期待される状況にあると思います。

 

*参考記事① 2021-08-18 2,616円 OP

【7456】松田産業/取扱数量、販売スプレッド急拡大で1Qではや増額。更に増配公算。

 

*参考記事② 2021-02-22 1,893円 OP

【7456】松田産業/貴金属市況全面高の恩恵大、減価償却増を丸飲みして2桁増益圏。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

にほんブログ村 株ブログ 株主優待へ にほんブログ村 株ブログ IPO・新規公開株へ にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ