【8015】豊田通商(東証プライム) OP
現在値 5,460円/100株 P/E 7.1 P/B 1.03 3月配当 9月配当 株主優待なし
トヨタ系の総合商社。06年にトーメン合併。自動車事業で営業利益の7割を稼ぐ。
今期予想配当金は年2回・合計192円のため、配当利回りは約3.52%となります。
豊田通商は株主優待制度を導入していません。
業績を確認していきます。IFRSとなります。
■2020年3月期 営業収益 66,940億円、最終利益 1,355億円 EPS 385円
■2021年3月期 営業収益 63,093億円、最終利益 1,346億円 EPS 382円
■2022年3月期 営業収益 80,280億円、最終利益 2,222億円 EPS 631円
■2023年3月期 営業収益 (非公表)億円、最終利益 2,700億円 EPS 767円ce修正
□2022年9月2Q 営業収益 49,077億円、最終利益 1,512億円 EPS 429円(10/28)
2022年9月中間期の営業収益はYoY+31.1%の4兆9,077億円、最終利益はYoY+18.6% の1,512億円となり、予算比は無いものの市場予想を上振れました。金属事業のアルミ等市況高効果、自動車事業の南太平洋域での販売台数増加、エレキ事業の値上げ浸透、アフリカ事業も自動車販売・ファーマシーが好調に推移するなど軒並み増となりました。前上期の一過性利益剥落影響が▲200億円程存在することを踏まえると、実力ベースで4割超の増益となります。
なお2023年3月期の通期見通しも中間時点で増額しており、最終利益はYoY+21.5%の2,700億円(期予:2,100億円)に修正しており、予算諸元の為替前提は125円→140円/$、135円/€(UNCH)に見直しています。市況・為替効果が追い風となる金属事業で+200億円、“玉不足”の解消を背景とした自動車事業で+130億円、自動車販売好調なアフリカ事業で+90億円を積み増します。他方、ユーラスエナジーのフル貢献する機エネ事業は、欧州電力価格の沈静化とのオフセットで+50億円程度の上積みとなっており、実勢比やや保守的な増額となっており、再上振れの余地が残ります。
当社はローリング方式で3年中計を公表しており、2025年3月期までに最終利益2,500億円(実績:2,222億円)、ネットD/E1.0倍以内(実績0.71倍)、営業CF/投資CFの3ヵ年累計7,500~9,000億円とすることを定量目標としていますが、既に大幅な前倒し達成が確実となることから、来年5月の中計で増額ロールを予定しています。今次中計での重点戦略分野としては、①ネクストモビリティ、②再エネ、③アフリカ、④循環型静脈事業が挙げられています。
①はトヨタ側の強いEV需要に応えるべく、2010年からリチウム確保を推進しており、豪資源大手のオロコブレと合弁(サレス・デ・フフイ、持分25%)でアルゼンチンのオラロス塩湖で日本初のリチウム開発を行っており、現状17,500t/yの生産体制を向こう3年で42,500t/yまで引き上げます。昨年11月には、二次加工品である水酸化リチウムの生産工場を福島県に竣工させており、此方は10,000t/yの供給体制を整えています。現状、リチウム価格は4~5万ドル/tと高騰が続いているため、中国や全世界の高いEV需要を背景とした単価効果の持続も見込まれます。
②については、既に60%の持分を握っていた国内再エネ発電最大手のユーラスエナジーに追加で1,850億円を投じ、マイナー株主である東京電力の持分(40%)を買い上げ、8月に完全子会社に収めています。本件買収により、当社の持つユーラスの企業価値が顕在化(4,625億円)したほか、本件追加取得により60億円程の取込利益増となることから、計算上PER30倍での買収となり、ENEOSのJRE買収やレノバのバリュエーションを鑑みると、極めてリーズナブルな買い物となりました。足許では欧州の電力不足も追い風に働いており、中長期的に非常に大きな一手になったと考えます。
他方、株主還元については、今次中計期間では「配当性向25%以上、安定増配」を還元ポリシーとしており、期初時点では2円増配の年162円配を予想していましたが、中間の上方修正で更に30円積み増し、年192円配まで増額しています。
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