【3836】アバントグループ/新5年中計で純益CAGR25%をガイド、高成長路線に回帰しよう。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

image

【3836】アバントグループ(東証プライム) OP

現在値 1,457円/100株  P/E 21.8 P/B 4.61  6月配当 株主優待なし

連結経営・会計システムのパッケージソフト開発、ライセンス販売など。

 

配当金は6月末の年1回19円であり、配当利回りは約1.30%となります。

アバントは株主優待制度を導入しておりません(記念優待の実施実績はあり)。

業績を確認します。2022年6月期より企業会計基準第29号の新収益認識を適用しています。

■2021年6月期 売上高 162億円、営業利益 27.9億円 EPS 50.2円

■2022年6月期 売上高 187億円、営業利益 32.4億円 EPS 54.3円

■2023年6月期 売上高 214億円、営業利益 32.8億円 EPS 55.6円 

■2024年6月期 売上高 240億円、営業利益 38.5億円 EPS 66.4円 ce
□2023年9月1Q 売上高 56.4億円、営業利益 6.8億円 EPS 12.8円(10/31)

□2023年12月2Q 売上高 118億円、営業利益 21.0億円 EPS 39.1円 四e

2023年6月期の売上高はYoY+14.5%の214億円、営業利益はYoY+1.3%の32.8億円となり、概ね予算どおりの着地となりました。「DivaSystem」を中心とした連結会計(GG)事業は組織再編にかかる営業制限で増収率が限定的となったものの、運用コンサルのBI(DX推進)事業はデータ活用ニーズの増大から2割近い増収となったほか、連れてOS事業も2割増収となりました。他方で利益面は、極めて積極的な採用(4Q単独で+119名)を実施したことから、横ばい圏に留まりました。


進行期である2024年6月期の予算については、売上高がYoY+12.0%の240億円、営業利益は同+17.0%の38.5億円と2桁の増収増益路線に復帰します。期初時点の全事業合算の受注残高はYoY+21%の73.5億円と高水準を確保しているほか、連結決算事業・経営管理事業・DX推進事業の3事業への組織再編を完了したため、受注制約が外れるほか、再編効果の発現が見込まれます。尚、10月31日に開示済の1Qは売上高56.4億円&営業益6.8億円で進捗しており、費用先行ながら豊富な受注残考慮で順調と解されます。

 

終わった期は5年中計の最終年度であり、売上高・営業利益ともに計画レンジ内の着地となり、無事達成となりました。今次公表の5年中計では、売上高を214億円→400~450億円に、営業利益を32.8億円から90~110億円へ、其々引き上げる計画です。これまで当社は売上高成長率と営業利益率の合計値GPPを40%をターゲットとし、売上(利益)が伸びない場合でも利益(売上)を確保する方針としてきたものの、今次中計は純益成長率CAGR25%と利益重視路線に変更しています。

 

今次中計における取組方針として、“ソフトウェアドリブン”を掲げており、事業ポートフォリオと人材ポートフォリオなど全てをソフトウェアありきで組むことを企図しています。具体的には、AWSを活用したSaaS型クラウドサービスである“DIVA LCA”を起点に、アウトソーシング分野の受注拡大を図るほか、経営管理システム“AVANT Cruise”も大幅な機能拡充により拡販を図ります。

 

2021年に財務情報分析のBIツールを手掛ける英国メタプラクシスの株式を取得して当社は第2位株主となっていますが、昨年末には同社ソフトウェア日本版“DIVA Empower”のソースコード買取まで実施しており、柔軟な開発とサービスインが出来る体制を整えています。なお、今次中計の5年間で総額200億円の投資を予定しており、手前の3年では海外のSaaSベンダー等との資本・業務提携でネットワーク構築を目指す一方、後ろの2年ではM&Aとソフト買取といった踏み込んだ取組を進めます。

 

株主還元については、4円増配となる年19円配(配当性向28.4%)を予想しています。当社は配当ポリシーをDOE基準5%程度としてきましたが、今次中計では最終的にDOE8%基準まで引き上げることとし、最終年度は年51円+の配当を計画しています。それでも無借金で65.8%という高い自己資本比率を鑑みると還元不足は明らかであり、進行期の増配幅は評価出来るものの、もう一歩踏み込んだ還元が望まれます。


*参考記事①  2022-11-11  1,427円 NT

【3836】アバント/高成長持続で中計は走破確実圏も、ストック比率と株主還元は物足りぬ印象。

 

*参考記事② 2021-10-27  1,640円 OP

【3836】アバント/中計は下限目標まで達成視野も、株主還元ポリシーに課題。 

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


このエントリーをはてなブックマークに追加にほんブログ村