【4680】ラウンドワン/国内外で既存店が順調に推移、値上げや為替効果で上振れの公算。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4680】ラウンドワン(東証プライム) BY

現在値  535円/100株  P/E 12.4  P/B 2.49 3月配当優待 9月配当優待

ボウリング、カラオケ、ゲーム、時間制スポーツなど複合エンタメ施設を展開。
配当は四半期毎で合計10円配当のため、配当利回りは約1.87%となります。

ラウンドワンは株主優待を実施しており、3月末・9月末に100株以上を保有する株主に対し、500円分の割引券を年4回進呈していますので、配当優待利回りは約5.60%となります(別途ボウリング教室券等の進呈あり)。


業績を確認していきます。

■2021年3月期 売上高 609億円、経常利益▲198.1億円、EPS▲67.4円  

■2022年3月期 売上高 964億円、経常利益 53.6億円、EPS 14.0円

■2023年3月期 売上高 1,420億円、経常利益 169.9億円、EPS 34.0円

■2024年3月期 売上高 1,504億円、経常利益 200.1億円、EPS 41.6円 ce
□2023年6月1Q 売上高 359億円、経常利益 39.9億円、EPS 9.5円(8/7)

□2023年9月2Q 売上高 734億円、経常利益 88.1億円、EPS 21.3円 ce

2023年3月中間期の売上高はYoY+47.3%の1,420億円、経常利益はYoY*3.2倍の169.9億円となり、3Qの再修正見通し並みで着地しました。国内事業は予算前提の平時比SSS101.7%に対し、AM領域のクレーンゲームの牽引で実績同104.8%となりました。
他方、海外事業は予算前提同109.8%と高いハードルだったにも拘わらず、実績同128.0%と非常に好調に推移し、中でもAM領域が同138.3%、ボウリング領域が同123.9%と軒並み大幅増となりました。利益面では光熱費高騰が圧迫も、営業時間圧縮で人件費は想定以下となりました。


進行期である2024年3月期の予算については、売上高がYoY+5.9%の1,504億円、経常利益はYoY+19.9%の200.1億円を予想しています。国内事業の予算前提はSSS105.4%とし、スポッチャ領域のみ2桁増を見込むものの、AMやボウリング領域は1桁前半増と保守的な見立てをしているほか、海外事業の予算前提は同99.7%と前年割れ想定となっています。他方、既に9月までの6ヵ月分が開示済の月次によれば、国内実績同111.5%&海外実績同100.7%と計画超の推移が確認されるほか、9月からの米国値上げと為替有利影響で上振れ公算が高い状況と解されます。

 

当社は特段中計を開示していないものの、①国内事業の既存店成長、②米国事業の出店と既存店成長、③その他海外事業(主に中国)の成長、の3軸が主な取組事項となります。国内事業の経常利益率12%に対し、海外は17%を超える水準に達しており、経常利益の実額も米国優勢となっている状況ではあるものの、国内は小規模な家族経営事業者の多いボウリング・AM他社の廃業が相次いでいることから、市場の縮小傾向に反して成長余地が残されている。

 

①国内事業(約100店)は、既存店のS&Bだけでなく、目下ではクレーンゲーム筐体を数百台規模で配備した“ギガクレーンゲームスタジアム”店への改装を進めています。著名youtuber等を起用した広告や昨今のアニメブームによりクレーンゲーム人気が継続しているほか、筐体リース料がまともにかかるのは3年間なのに対し、実耐用年数(10~15年)が長いことから、出店4年目以降より採算性が急改善します。ギガ実装店は既に67店に上っており、リース料減少による収益改善効果は2025年から発現する予定です。

 

②米国事業(約50店)は、進行期は4店の出店予定に留まるものの、翌期からは年間8~10店の新規出店する計画です。出店は店あたり約8億円弱を要するものの、2年目以降巡行時の粗利益率も18%程(約1.5億円)確保出来るため、出店数に応じて利益が積み上がる状況となっています。特に国内事業との両輪で、ギガ店に改装した際に撤去されたクレーン機以外のアーケード機等のAM筐体を米国店舗に移送して転用しており、償却済の“太鼓の達人”などの人気筐体は電気代だけで利益を叩き出すドル箱マシンとなっています。

 

このほか、2021年にはAM景品開発を手掛けるエスケイジャパン(7608)の持分の3割強を、同社の創業一族である久保一族から取得しています。同社は景品開発にあたり、本邦の有力IPホルダーと関係性が構築されているため、国内外のクレーンゲーム増強で景品需要が増大する当社にとっては、調達パイプラインの拡充という点で意義ある一手と言えます。

 

財務の状況については、自己資本比率33.7%と安定しており、手許現金が有利子負債をほぼネットしている状況です。株主還元については特にポリシーを定めていないものの、進行期については2円増配の年10円配当を見込んでいます(配当性向24.0%)。

 

*参考記事① 2023-02-24 474円 BY

【4680】ラウンドワン/電気代高騰で国内減額も、好調続く米国牽引で中長期成長が続こう。

 

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