【2767】円谷フィールズHD/進行期の予算進捗鈍いが、ウルトラマンの中国人気は想定超。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2767】円谷フィールズホールディングス (東証プライム)  BY


現在値 1,613円/100株  P/E 12.4  P/B 2.66  3月配当 株主優待なし

遊技機の企画開発、販売が軸。エヴァシリーズが著名。円谷プロのIP事業も。
配当は3月末一括の30円配当のため、配当利回りは1.86%となります。

 

円谷フィールズホールディングスは定常的な株主優待制度は導入していないものの、2023年3月末には記念株主優待として、ウルトラマンピンズセットの進呈がありました。

業績を確認します。

■2021年3月期 売上高 387億円、営業利益▲22.4億円、EPS▲52.9円  

■2022年3月期 売上高 949億円、営業利益 34.4億円、EPS 38.2円 

■2023年3月期 売上高 1,171億円、営業利益 109.5億円、EPS 126.7円 

■2024年3月期 売上高 1,230億円、営業利益 120.0億円、EPS 129.9円 ce

□2023年6月1Q 売上高 303億円、営業利益 20.2億円、EPS 21.1円(8/9)

□2023年9月2Q 売上高 615億円、営業利益 60.6億円、EPS 65.0円 四e 

2023年3月期の売上高はYoY+23.4%の1,171億円、営業利益は同*3.2倍の109.5億円となり、2月の再増額見通しを上回って着地しました。コンテンツ&デジタル(CD)事業は、円谷プロの中国事業が、空前のウルトラマン人気を背景としたトレカ売上増などライセンス収入が大幅に増加したほか、国内事業も“シン・ウルトラマン”の公開によりファン層の裾野が拡大しました。PS事業については、“Pゴジラ対エヴァンゲリオン”が業界最大の販売を記録したほか、“パチスロ犬夜叉”等のPB商材が堅調に推移し、販売は13機種21.9万台となりました。

 

進行中の2024年3月期の予算については、売上高がYoY+5.0%の1,230億円、営業利益は同+9.6%の120.0億円を見込んでいます。CD事業の中国・ウルトラマンについては、大連の海昌発現王国内”に新エリアを開業したほか、新シリーズの“ブレーザー”が中国・ASEANでサイマル配信となることから、更なるライトユーザーの獲得とトレカ等グッズ売上増が期待されます。またPS事業についても、昨年10月のスマスロ導入に続き、本年からはスマパチの本格化が見込まれ、16機種26万台の販売を予想しています。8月9日に開示済の1Qは売上高303億円&営業益20.2億円と低調も、会社側では“順調”としています。

 

当社は今般、2026年3月期を最終年度とする中計を公表しており、営業利益を110億円→160億円まで、年20億円ずつ引き上げる計画です。柱のCD事業の取組事項は、①グローバル展開、②グローバル協業推進、③IP創出、④グローバルMDの4軸を掲げています。注力中の中国事業については、本年の大連・成都でのテーマパーク内エリア開業に続き、延べ10ヶ所程度の開業を計画するほか、急速な認知度拡大に従って、トレカ・グッズMD・デジタル商材の拡販を進めます。

 

中国以外ではタイ、マレーシア、インドネシアといったASEANでのアトラクション導入を目指すほか、2024年には米国発のNetflixのアニメ映画を全世界同時配信予定となっています。他方、PS事業については、業界唯一となる全国展開のディストリビューターであることから、リプレイス需要が大きい新商材の“スマスロ”・“スマパチ”だけでなく、“従来機”の全方位展開を続けるほか、ダイコク電機(6430)の創業家から持株を買い取り筆頭株主成りしたことから、同社が保有するP店周りのビッグデータ活用により、新機軸での商品開発を志向します。

 

財務面については、自己資本比率は48%と高水準を維持しているほか、ネットキャッシュ230億円を保有しています。なお、当社はこれといった株主還元ポリシーは無く、配当予想は横ばいの年30円を見込んでいるものの、一過性ながら記念優待の進呈があったほか、増配による株主還元に意欲を見せていることから、利益成長に応じて追加的な増配が見込まれます。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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